海外生活体験者・社会人インタビューvol.6 ~後編~


A.Iさん。1977年生まれ。‘93年にオランダのInternational Schoolへ転校し、高校卒業後帰国。早稲田大学では会計学系の企業分析を行うゼミに入り、商学部卒業後、大手電機メーカーの経理部へ配属されInternational Financial Reporting Standardを担当。‘06年5月より産休に入り、現在は育児休職中。

女性が働くということ

―そんな中、女性はどういった立場にありますか?

日本の会社も、女性でどんどん幹部社員とか続けて働いてくれる人を育てたいっていうのはあるから、女性だから良い仕事に就くチャンスをもらえる、というのもあると思っています。もちろん損する部分もあるし、得させてもらっている部分もある。でも、やっぱり男の人が仕事して、女の人が自分の下で働くっていう考えを持っている人が全くいないわけでもなくて、中には混じっているから。大学ごとに色も違うように、会社も色っていうか性格が違って、それによって環境も変わってくると思います。

就活のときに、まずOB・OG訪問して、ある企業で働いている先輩に、職場で働いてる女性の環境がどうかっていうのを聞いてみたの。この業界は必要以上に女性が苦労することが多い環境だって言われて、何か特別やりたいことがない限り、あんまりお勧めしないって言われた。同業他社でも、上下関係が強いところや、男女で仕事の分担がはっきりしているような印象を受ける会社もあって。

メーカーは結構そこら辺が曖昧なところがあったから、メーカーを中心に見ようかなって。でも、例えば工場とかに行くと、やっぱり「女の子」がやる仕事、男性がやる仕事と分かれていたし、経理とか財務も細かい数字の入力は女性、それをまとめるのは男性っていう、昔ながらの仕事のやり方というのがあって、「女の子」っていう扱いはある。

母親が働くということ

―育児はどうですか?

やってみると、お母さんって凄かったんだなって凄く思う。仕事もやっぱり大変なのがやってみて分かったんだけど、ただ、それって自分の力で自分の時間の中でどうやって頑張るかっていうことが多い。でも、子育ては自分の時間とは関係なく動いている。子どもがいて、それと折り合いをつけながら何かやるっていうのが難しい。最初の頃は自分の時間がないのが大変だった。生活のペースを子供に合わせなきゃいけないし、自分のリズムで動かないっていうのが、仕事と違う。

―産休は実質的に使えているのでしょうか?

会社で制度として決まっているものは、きちんと使わせてもらえる。実際に、制度は動いているし、周りの上司の方もサポートしてくれている。本当は4月に保育園が決まれば会社に戻っている予定だったんだけど、抽選に外れて希望した保育園に入れなくて、今は空くのを待っているのと、あとどこか入れるところがないか探しながらって感じなんだけど、その間やっぱり会社は私が戻れなくなった分、私がいないところで、見えないけど、色々とカバーしてくれていると思います。

―現在、保育園が足りないって言われますけど、本当なんですね。

保育園はもういっぱい。最初、自分が保育園を選んでここに入れたいっていうので決めたいと思っていたんだけど、でもそれだとどこにも入れないんじゃないかっていう不安がよぎるくらい、どこもいっぱい。でも、妥協して変なところにも入れたくない。だから、延びちゃっている。

―これから仕事と育児の両立を行うわけですが、どう思いますか?

大変だと思う。凄い不安いっぱいだけど、同じ職場にもお子さんいらして働いている人がいるから、もうやるしかない。自分の姿が何となく見える。

―そういう先輩方は大変そうですか?

やっぱり周りの協力がないと出来ないというのは凄く聞くし、全部自分で背負っていない。そこまでわがままして良いのっていうくらい結構みんなやって、働いてる。

―それでも働き続けたいと思いますか?

自分がどこまで出来るか分からないけど、やっぱり旦那にも協力お願いして、分担しながらやってもらおうと思う(笑)

―男性が産休を取るのはまだ難しいのでしょうか?

会社の男性の育児休暇は、使いにくいっていうのはあると思う。前例もないわけだし。私もそうだけど、休んでると仕事してないし、評価っていうのも年功序列と成果主義のミックスみたいなところがあるから、仕事だけで考えると自分にとってどうしてもロスが出来ちゃう。そういうことを考えると取りづらいっていうのがあるのかな、仕事から離れるのが怖いっていうか。

女性は比較的出たり入ったりするけど、男性は転職で出たり入ったりしても、何かしら仕事に就いてるっていうのがあるから、産休でっていうのは中々ないかな。旦那は、海外にも旅行で一回くらいしか行ったことがないくらいずっと日本にいた人だから、若干の感覚の違いはあるのかなってのはあるけど、子供好きだからだいぶ手伝ってくれている方だと思う。

―オランダでは共働きは当たり前だし、正式に結婚を行わないカップルも多いですよね。オランダでの生活は仕事や育児に、どう影響を与えていると思いますか?

日本にいた時は、それこそ経済に興味はなかったし、働きたいと思わなかったし、かと言って結婚したいっていうのもなかったんだけど、オランダ行って仕事してみたいっていうのは出てきたから、関係あるといえば関係あるかな。

でも、共働きしてる人を見て、それがいいなって思ったって、そういうわけじゃない。どっちかっていうと、仕事してからのほうが、子供生まれても仕事続けてみたいと思ったかな。仕事は楽しいことばっかりじゃないけど、やっぱりずっと家にいて子どもと家のことだけをするんじゃなくて、自分の力で何かをする時間がほしい。今の仕事にこだわらなくても何かそういう時間がほしいっていうのは凄くあります。

自分が会社に通ってたときは、面倒くさいなって思うこともいっぱいあったんだけど、結婚すると、なおさら仕事がしたいと思うかもしれない。家事と育児を自分の仕事にしたくないっていうか、それもするけど、それは生活の中でしなきゃいけないことであって、それとは別に何かをやっていたい。やっぱり退屈しちゃうっていうか、刺激が足りない。世界を狭めたくない。

―自分の経験から、子どもを海外に行かせたいと思いますか?

思う。(それはなぜでしょう?)物の見方が色々変わってくるからかな、やっぱり。日本にいると、日本の中の目線しかなくなっちゃうっていうか。あんまり具体的には考えてないけど、子どもが行く国がオランダだったらいいなっていうのはある。日本人に対してあんまり偏見がないし、差別がないところの方が子供が行って苦労が少ないから。

オランダは凄く狭い。5時間車で走ったらパリにも行けるし、イタリアとかイスラエルも日帰りできるくらいの距離。島国じゃなくて国がつながってるっていうのはまた特異な環境だから、考え方が変わるっていうのはそこにあるのかな。イギリスに行ったときに、日本と似た雰囲気を感じた。海に囲まれて守られてる安心感っていうのが。ほかの国がすぐ隣につながってあるっていうのは、また違う感覚がある。

―最後に、子育てと仕事を今後両立していくことになるIさんから、これから就職する後輩たちへのアドバイスをお願いします。

会社に限んなくても良いんだけど、何かやりたいことがあった時に、自分より先にその仕事に関わった人の話をいっぱい聞いてみて、自分の感じたこと、フィーリングが合うっていうと変だけど、ぴんと来るものに素直に進めば、きっといい仕事に出会えると思います。

―後輩の女性たちにも一言お願いします。

自分が仕事としてやりたいことと、どういう生活をしていきたいかっていうことを考えて、仕事を決めたらいいと思う。やりたい仕事が自分のやりたい生活を邪魔するような形になっちゃうことは、会社によっても違うけど、そういうこともあるかもしれないし、どっちを優先するかっていうのはバランスを考えて選んでみてほしい。

インタビューアから一言

今回のインタビューウィは「海外体験者・社会人インタビュー」初となる、お子さんがいらっしゃる女性でした。自らの経験を生かしながら、日本の大手企業のトップ・マネージメントに近い仕事に就き、仕事に対して興味を持ち続けているIさんは、同時に懸命に子育てに励む素敵なママです。これから始まる仕事と育児の両立の難しさは私の想像を絶するものであるはずなのに、Iさんは萎縮せずにどんどん挑戦していて、むしろ自分の生活全てを充実させるように楽しもうという強い意思が感じられて、自分の4年後がこうであればと願うほどでした。最後に頂いた「仕事してからも遊びの時間も大切に!」というメッセージが、常に世界と繋がっていようと好奇心を失わないIさんの人生の楽しみ方をまさに表しているようでした。  

星野桃子。1987年生まれ。4歳で渡英、スタッフォードシャーで3年を過ごし7歳で帰国。しばらく日本に住み、14歳で渡米、アラバマ州で3年半を過ごし、高校卒業後18歳で帰国。現在、一橋大学法学部2年に在学中。写真部に所属。