海外生活体験者・社会人インタビューvol.7


松下政道さん。1970年台湾生まれ。日本人の母と台湾人の父を持ち、短大卒業まで台湾で育つ。卒業後日本へ渡り、武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科に学ぶ。卒業後、広告やステージ・デザインの仕事に就くが、ファッションへの意欲が高まり30歳の時渡米、ACADEMY of ART UNIVERSITYへ進み、degree of MFA (master of fine art) in Fashion Designを修了。在学中は学生代表としてOlympus Fashion Week in New YorkやCaliforniaのMacy's Fashion Showにも参加。数年間、現地のデザイナーの下で働き、‘07年2月に帰国。現在、自身のブランド「Sports Couture」の立ち上げのまっただ中にいる。

―松下さんは、一度社会人を経験してから大学院へ進むことを決意したようですが、なぜ就職も決まってから、あえてその道をお選びになったのですか?

仕事って、すれば経験になるんですよね。何も社会を知らないで会社にはいって、まずたたかれる(笑) そしてそのプロセスの中で「私にはこれは足りる、これは足りない」っていうのが解ってくるんです。

「本当は何がやりたいのか」、「どういう仕事、人生を生きていきたいのか」って考えるようになって、私は「もの作りとして生きたい」、「その中でも特にファッション」と思い、「じゃぁそのために何が必要か」考えました。その結果、大学院へ進みもっとファッションの勉強をしようと思い、その道を選びました。

―じゃぁ、小さい頃からファッションが好きだったんですか?

小さい頃はおもちゃが大好きで、おもちゃのデザイナーになりたいって思っていたんですよ。でも、高校生ぐらいになると、今度は機械が好きになって。だから、短大は工業デザイン科へ通っていました。

その後、日本へ行くことになり、「じゃあ日本で何をやろうか」って考えたとき、ちょっと大人になって、バーとかディスコも好きになってたので(笑)、「あっ、空間デザインやろう」と思い、大学では空間演出デザインっていうのを勉強していたんですよ。

―そこからなぜファッションの方に移行されたのですか?

大学卒業して、グラフィック広告会社で働いたり、コンサートの舞台作ったりしていて、ふと自分の技術を将来へつなぐのは何だろうと考えたんですよね。そしたら、それがファッションだった。

ファッションって、最後にたどり着くものなんですよ。最初にまずファインアートがあって、それがテキスタイル(素材)になって、最後に服になる。ファインアートの中には絵もあるし、音楽も彫刻も建築も、もの作りに関係することが全部詰まっていますよね。それが色々な形、Life styleになって、最後自分たちの一番身近なお洋服、ファッションになる。んーと、ファッションの意味はLife styleなんですよ。自分にあった生活や身なりをすることがファッションなんです。

―なるほど! じゃぁ日本とアメリカのファッションの違いって何だと思いますか?

そうですね、格好的には流行があって、上は結構似ていると思います。ただ、面白いことに下が違う。日本人はハイヒールを履くのに対して、アメリカ人はあまり履きません。なぜなら、彼らは機能性重視だから。だから、オシャレするとしても、動きやすいものを選びます。そのなかで可愛いもの、自分にあっているものを選んでオシャレを楽しんでいると思う。

―確かに私もヒールばかり履いちゃいます。背が低いから少しでも高く見せたいって思っちゃうんですよね(笑)

でも、西洋の人って意外に背低い人も多いんですよ。それでもヒールを履かない。逆にあなただけじゃなくて、中国や台湾とか、アジアの女性は皆ハイヒール履きます。うーん、confidentのためにオシャレしている感じですよね。

僕が思うのは、それって文化の進化のせい。進化するにつれてファッションって変わってくる。アメリカは新しい国だから、若い考えの人が多くて、だから機能性重視だったりする。あと、最近は昔に比べてカジュアルな服がすごく増えたし、昔に比べて消費者が素材を重視するようになってきた。これは多分エコが流行ってきて、飾らない自分らしさが自然な美しさだって、人々が気付いてきたからだと思うんですよね。

―そうですか。じゃぁ、これからは松下さんご自身、どういったLife styleを送っていきたいとお考えですか?

常に若くなった気持ちで長生きして(笑)、ずっと物を作って行きたいですね。そして、人に気持ち良い服を着させてあげたいなと思います。気持ちいいが最初で、その次がオシャレでスタイリッシュであること。そして、値段も手の届く範囲の服を作って、たくさんの人に、自分らしい生き方を提案させてほしいですね。

インタビューアから一言

松下さんは笑顔の素敵な方で、まっすぐな瞳を持った方でした。お話をしていると、本当に物作りが好きなんだということが、ひしひしと伝わって来ましたし、常にリラックスして、人生をとても楽しんで生きているという感じがしました。やはり、色々な経験を積んでいることが、松下さんの魅力の源なのかなと思います。インタビュー後にも、アトリエや松下さんの作品、NY, CAのファッションウィークのビデオなど、様々なものを見せていただきました。ファッション業界についても丁寧に教えてもらい、私にとってすごく貴重な時間になりました。

水谷真理。1986年愛知県生まれ。12歳まで名古屋で過ごし、その後渡米。ミズーリ州の現地中学・高校へ通う。卒業後帰国し、早稲田大学人間科学部情報学科へ入学。現在3年に在学。メディアコミュニケーションを専攻。