海外生活体験者・社会人インタビューvol.10


小松士恩さん。1977年兵庫県神戸市生まれ。2歳から18歳までアメリカのシカゴに滞在。現地の高校を卒業後、1997年一橋大学商学部に入学。大学ではInternational Businessと映画のゼミに入り学ぶ。卒業後、外資系IT企業に4年間勤務。その後、現勤務の映画会社へと転職し、海外ライセンス部にて活躍中。

―帰国後の生活はどうでしたか?

僕の場合、日本に住んだ経験がなかったので、全てが新しかったです。アメリカの大学に行こうかと迷った時もありましたが、結果的には日本に帰国してよかったと思っています。理由としては、アメリカだけにいたら、その視点でしか世界を見ることが出来なくなってしまう可能性があります。帰国したからこそ、日本からの視点も持ち得たし、ヨーロッパや他の地域に対する違った見方もできたと思います。大学でも、たくさんの違う国籍の友達ができて、視野が広がったと思いますね。

―小松さんのお仕事について伺わせてください。

簡単に言いますと、海外の配給業者に日本の映画を販売する仕事です。マーケットと言われる、映画を売買する催しが年に3回ありまして、そこには僕のように映画を売りたい人と現地の映画配給会社のバイヤーが集まります。近年製作される映画では、一本の映画にもいろいろな権利があり、例えば、劇場で公開していい権利、テレビで放送していい権利、ビデオにしていい権利、そういった権利を海外に売る仕事です。

―映画にはいつから興味があったのですか?

アメリカにいた人だと分かると思いますが、金曜や土曜の夜に何をするかといったら、映画館に行ったり、友達の家でDVDを見たりと、日常に映画があります。見た本数とかもすごかった(笑) 高校の時には、映画史の授業を取って、そこから本当に興味を持ち始めて、大学でも主専攻はInternational Businessを取っていましたが、副専攻として映画のゼミも同時に取っていました。しかも、卒論は日本映画業界の分析をテーマにして提出しました。

―仕事でつらいことは何ですか?

労働時間が長いことです。少なくても年に3回は海外に行き、細かい仕事もたくさんあります。僕は外資に昔勤めていましたが、その時よりもはるかに残業時間は増えました。それでも頑張れるのは、自分の興味がある製品を扱っていることと、興味のある業界で働いているからだと思います。もしこれが自分の興味がないものなら、絶対に続きません!(笑)

―逆に楽しいことは何ですか?

自分が手がけた映画には想い入れが出来ます。その映画が売れるとやっぱり嬉しい。本当にその映画が自分でも好きで、それで頑張ってプレゼンして、それに共感してくれて、「面白いから買ってみよう」「本当にいい映画だから買うよ」って言われるときは嬉しいです。

あと、もう一つ小さな夢があります。それは、アメリカにまだ住んでいる私の両親や友達に、私が手がけた映画のDVDを買ってもらうこと。その夢に向かって行けることは、毎日の仕事を楽しくしてくれます。

―帰国子女として仕事で生かしているものは何ですか?

やはり、英語力だと思います。私の部署の人たちは基本的には英語ができますが、その中でも出来る方だと思います。字幕のチェックとかも任されますし、商談もメールも資料も、ほとんど英語が必要となりますから。

また、いろいろな感性の人がいますが、自分が帰国子女でHollywoodを自分なりに体感しながらアメリカに住んでいたということで、私の観点・感性も他の人と違うかもしれない。そういうBackgroundを持っているっていうことに、常に誇りを持って大切にしています。

―私は今就職活動中なのですが、何かアドバイスをいただけますか?

三つアドバイスがあります。一つは、興味を大切にすること。職種なり製品なり、いろんな観点からでもよいですが、自分が興味のあるものは、頑張るモチベーションになるので、とてもいいと思います。

二つ目は、やり直しはきくっていうことです。最初に勤めた会社では、残念なことに、人事が最初に言っていたことと違っていたり、行きたい部署に行けなかったりするかもしれません。それで壁にぶち当たってもうダメだと思ったら、方向転換は可能ってことを知っておいてほしいです。まあ、今でこそ「第二新卒」という言葉も出来て、時代も私が新卒の頃と違っていますが。。。

三つ目は、過去に経験したことは決して無駄ではないということ。私は、IT業界に最初に勤めていて今の会社に入ったので、少し遠回りしているかもしれませんが、逆に言うと、ITの知識をもって映画会社にいる人は、今の会社でも指で数えるほどです。それは他の人との差別化ってことでもあります。社歴は短いかもしれないが、その経験が今の自分の強みでもあります。方向転換するにあたって、前の会社の四年間が無駄だと思ったことは一度もないです。一見遠回りに見えることも決して無駄ではないということは、みんなに言えると思います!

―最後に、将来の夢をお聞かせ下さい。

自分が関わった日本映画を、できれば自分が住んでいたアメリカでヒットさせたいな。ひとが入って入ってしょうがないって感じの(笑) 残念ながら、まだそのような日本映画はないので、時間はかかるかもしれませんが、ぜひこの夢に向かってがんばってみたいです。

インタビューアから一言

小松さんは最初に会った時から話しやすく、緊張がすぐにほぐれました。インタビュー中も、いろいろなお話をおしみなく話していただきました。小松さんが最後にくれたアドバイスの「やり直しは利く」ということは、もちろん最初に入った会社が自分に合っていることに越したことはないものの、今就職活動にとてもプレッシャーを持っている私にとって励みになる言葉でした。

古川あゆ美。1985年東京生まれ。0歳から5歳まで香港に滞在。日本に帰国し、中学校から再び海外へ。ミャンマーのInternational Schoolに6年通い卒業。2004年のSenior of the Yearを受賞。現在は東京外国語大学フランス語学科3年に在籍。小さい頃からダンスが趣味で、大学でもストリートダンス部”Quattro”に所属している。