活動報告 vol.5 井戸翔太


ちょっと遅くなりましたが、今夏のOVALビジネス・コンテスト参加の報告です。来年以降参加予定の方は、参考になされてはいかがでしょうか。井戸翔太さんの活躍をご覧下さい。

井戸翔太。1988年岐阜県生まれ。出生後東京に引っ越す。6歳の時に渡米し、カリフォルニア州サンディエゴに12年間滞在。Rancho Bernardo High School 卒業後、帰国し、東京大学文科Ⅱ類に入学、現在1年に在籍。RTNプロジェクトをはじめ、大学内外で様々な活動を行っている。

活動報告

―OVALのビジコンに参加する

mad_clover ある日大学へ行って、英語の授業が始まるのを待っていると、机の上のなにやらチラシのようなものが。ちらっと見てみて、「ビジネス・コンテストか……。高校の時にも似たようなことをやったな。」と思いました。それがOVALのパンフレットだったのです。選考は厳しそうでしたが、チャレンジしても損はないだろうと考え、応募を決意しました。

―選考課題をクリア

北京に行く前は一次選考(〆切り6月24日)と二次選考(同7月2日)がありました。

一次選考課題では「自分が魅力的だと考える既存のビジネス・モデル(製品又はサービス)を1つ挙げ、400字程度で論拠を示しなさい」というものでした。僕はアメリカのコストコについて書き、無事一次試験を突破しました。応募した160人のうち、60人が一次試験に合格。

以下、実際に提出した課題論文です。

私はコストコの会員制卸売店が魅力的だと考える。

会員が増えれば増えるほど、企業は利潤をあげることができる。消費者に入会させる誘因は企業が提供する低価格かつ多様な製品にある。これは、企業の大量発注によって可能となっている。大量発注により、製品の価格を低く抑えることができ、消費者は年間四千円を払うことによって他の店と比べ低価格で商品を買うことができる。毎年再契約する入会者を増やすことによって企業は会員から利潤を上げることができる上、商品の売り上げからの利潤も上がる。会員になった消費者は頻繁に来店すると考えられる。

アメリカの場合、膨大な土地を日本と比べて低価で借りることができるため、このビジネスモデルは成功した。日本の土地価格は高いにも関わらず、コストコは最近日本で店舗数を増やしている。これは、高い土地価格にも関わらず、大きな利潤を期待できるからではないだろうか。

costcoについて
http://en.wikipedia.org/wiki/Costco

二次試験は英語面接、日本語の筆記試験、英語によるグループディスカッション。

英語面接では「何故参加したのか」「OVALを通じて何を学びたいのか」「OVALを通じて何を得ると思うか」「東アジア共同体」について聞かれました。

筆記試験の課題は「日本での1年間の鉛筆の売り上げ本数を推測せよ。また、販売本数を2倍にする提案を出せ。本数の正確さではなく思考が評価対象となります。」

英語ディスカッションの課題は「あなたはフリーペーパーを出版することになった。3つの年齢層がある。 1.高齢者65歳以上 2.主婦30歳程度 3.若者18歳程度 それぞれのマーケットについて(市場の規模、考えられるコンテンツ等)グループで吟味せよ。」というものです。

英語面接の時、OVALの理念を理解してないと言われて落とされると思いましたが、幸いにも合格。結果発表を待っているあいだは、受験の一次発表のときみたいに緊張しました。

―いざ北京へ

懇親会・ガイダンスが7月中旬にありました。その後、渡航前の8月4日から6日まで、ビジネス・プランの作り方を学ぶ合宿に参加し、6日に中国に渡航。7日に中国の文化についての説明と観光。また、この日、初めて中韓のチームメイトに会いました。8日から1週間かけて、チームメート(日中韓3人1チーム)とビジネス・プランを作ります。

―怒涛の一週間が始まる

mad_clover 初日に課題が発表され、ブレイン・ストーミングを行いました。課題は「中国において失われつつある伝統文化に関係したビジネスを立ち上げなさい。その際に、北京オリンピックを背景に国内外の人々を巻き込み、かつ、一過性ではなく継続性を考慮すること。また、200万元を資本として5年間で300万元の純利益を創出しなさい」。まず、最初に何をするかをチームメイトと議論。
二日目に、影絵を題材にすると決めました。題材を何にするか決めた後、瑠璃廠にある影絵専門店に行き、店員に質問をしました。どういうビジネスになってるいるのか、コストはいくらか、顧客層はどのような人達なのかなど、ビジネスに関係する質問を次々にしました。リサーチが終わったら、夕方までは北京を満喫(笑) 夜から翌日提出する中間レポートに向けて作業を開始しました。

三日目は、夕方が提出期限の中間レポートを半日かけて終わらせ、そして夜はミニパーティーがありました。

四日目。コンサルタントに中間レポートを見てもらい、批評をいただきました。その後は、最終レポートを終わらせるため3人で徹夜。ひたすら頑張るのみ。

五日目の夕方に最終レポートを提出。それまでは、ひたすらパソコンの前でMicrosoft Wordを開いていました。レポートが終わった!!とリラックスしたかったものの、次の日にはプレゼンがあるので、パワーポイントの作成を始めねばなりません。前日同様徹夜。

―いよいよ本番

六日目の午前にビジネス・プランを発表しました。予選の評価はプレゼンテーション7割、最終レポート3割でした。6チーム1組(合計5組)に分かれて、点数が一番高かったチームが午後の決勝に進出できます。頑張りましたが、予選は通過できませんでした。後から聞いた話によると1位チームに僅差で負けたそうです。

mad_clover 午後は、5チームの優秀なプレゼンテーションを聞きました。予選を通過したチームばかりですから、どれもオリジナリティがあって面白かったです。すべてのプレゼンが発表されたあと、上位3チームが表彰されました。その日の夜は、韓国スタッフ主催のパーティーがありました。

―全てが終わって楽しむのみ!

七日目は一日中観光。ただただ楽しむのみ! 故宮、王府井、永安里を見学。故宮で撤去された外資系コーヒーショップの跡形は全く見当たりません。王府井で有名な小籠包店に行って、永安里では偽物グッズを見に行きました。値切りに失敗したのだけが心残りです(笑)

―帰国の途に着く

八日目は北京国際空港で半日待ち、夕方の便で日本に向かいました。成田空港で解散し、「OVAL Beijing 2007」の幕は閉じました。

―OVALのビジコンに参加して

東洋文化について考える良い機会でした。日中韓の文化は違うようでいて、根本的には共通点があると強く感じます。例えば、空手、カンフー、テコンドーは全て「マーシャルアーツ」であることには変わりがないし、ひらがなやハングルは根本に漢字があります。現状では、これらの差異を強調して、「テコンドーの方が空手より優れている」と争っているように感じますが、逆に、同じ「東アジア漢字文化圏」として、「根本的にあるものが同じだから、それを共有しよう」という見解の方が優れているのではないかと思いました。

mad_clover また、参加学生の意識は非常に高いと思います。各自がユニークな考えを持ち、独特な大学生活を送っているんだなと感じました。1年海外に留学した結果、学友が皆卒業して一人で5年生を過ごしている人もいれば、理科Ⅱ類から経済学部へ進学する熱心な人もいました。

OVALは生まれたバックグラウンドが違う人との議論の場を提供してくれます。そして議論の末にできあがるのが、全員のコンセンサスがとれたプランです。このようなプロセスがアジアのリーダーを育成するのに不可欠だと、OVALは参加者に感じてほしかったのだと思います。

実際、チームメイトと意見が合わないことが何度もありました。しかし、意見が合わないからといって、いつまでも平行線をたどるのは問題です。妥協案を出し合って一つの解決策にたどり着かなければ、中間レポートにも間に合わない、ビジネスプランが完成しない……、そして問題が解決されない。

OVALを通じて、自分の考えに固執するのではなく、他人と協調し、より良い解決策を模索し提示する必要性を学びました。同時に、多様な価値観を持った人が一番集まるアメリカで、自分はこうしたことを全くやらなかったんだなと反省しました。

最後にちょっと余談ですが、サンディエゴにいた友達の友達が参加者の一人でした。このようなところで、RTNプロジェクトが目指す「スモール・ワールド現象」を体験するとは思いませんでした(笑)

OVAL公式サイト
http://www.oval-official.org