海外生活体験者・社会人インタビューvol.16


大軒敬子さん。1977年東京都に生まれる。高校1年次に渡米。現地校卒業とともに帰国し、上智大学法学部入学。在学中は行政法ゼミと刑事訴訟法ゼミに所属。卒業後、司法試験に合格、弁護士の道へ。弁護士になって約3年間、一般民事・刑事を中心に扱う事務所で勤務した後、現在は、外資系の渉外事務所で勤務。趣味はバイオリン演奏、旅行、料理、読書など。

―海外生活についてお聞かせ願えますか?

私は、父親の転勤の都合で、高校1年生から3年生まで、アメリカで生活をしていました。アメリカに行った当初は、周囲の人たちが話している英語を理解できず、早く日本に帰りたいと考えていましたが、約1年くらいで生活のペースが摑め、3年目には、このままアメリカの大学に行ってもいいかなとも考えるようになっていました。

私がアメリカ生活に慣れたきっかけは、3歳のときから習っていたバイオリンでした。高校や地域選抜のオーケストラなどの音楽関係の場では、英語能力とは関係なしに、私を高く評価してもらえ、たくさんの友人に恵まれました。友人ができることによって、自然に英語を覚え、さらにアメリカの生活に溶け込めるようになったのだと思います。

実は、今からアメリカでの生活を思い出そうとしても、バイオリンを弾いていたことくらいしか、あまり思い出せないくらいなんです……(笑)

私の経験だけから言うと、何か趣味や特技があると、異文化に溶け込むきっかけになると思います。

―単刀直入にお聞きします! 弁護士の魅力を教えてください!

弁護士の魅力は、まず、「人と直に関わる仕事」だということ。依頼者には、いろいろな方がいて、要求される対応方法もまちまちです。それゆえに、苦労も耐えませんが、最終的には、依頼者から「先生、ありがとうございました」と感謝の気持ちを伝えられると、弁護士をしていて良かったと実感します。また、さまざまな方と接することによって、自分自身が人として成長できると感じています。

弁護士の世界には、「若手を育てる」環境があると思います。私は、弁護士になって3年目に、第二東京弁護士会国際委員会の副委員長に選任され、弁護士会の関係で海外を訪問する貴重な経験ができましたが、このことは、諸先輩方が私を育てようとして下さったからだと感謝しています。また、今年の4月からは、上智大学法科大学院の非常勤講師に就任しますが、それも諸先輩方のお力添えのおかげだと考えています。

―海外生活体験者としての経験を活かす機会はありますか?

私は、弁護士になってから約3年間は国内業務を扱う事務所にいましたが、その後、現在の事務所(外資系の渉外事務所)で勤務することになりました。一般的には、国内業務から渉外業務に移ることは難しいと言われていますが、それができたのは、海外で生活した経験があったからだと思います。また、今の職場は、日本人同士では日本語で話しますが、公用語が英語という雰囲気で、まさに海外で生活した経験が活かされていると感じています。

―帰国後の生活は、やはり弁護士になることを視野に入れたものだったのですか?

日本に帰国したのは、親が再び日本に転勤になったからです。上智大学の法学部に入ったのは、1年先に親友が入学していたからで、司法試験予備校に通い始めたのも、友人が通うことにしたからでした。大学生のころは、卒業したら結婚するのかな、くらいにしか考えていなかったので、ほとんど勉強していませんでした。

司法試験の勉強に真面目に取り組むきっかけとなったのは、司法試験予備校で知り合った友人が司法試験に合格したことです。また、周囲の同級生たちが就職活動を始め、次々に就職先が決まっていったことでした。

大学4年生の頃、東大法学部の学生たちと親しくなったのですが、東大では司法試験のために真面目に取り組んでいる学生が多く、良い刺激を受けました。そして、私も、彼らと一緒に、1年強の間勉強漬けの毎日を送り、司法試験に合格できました。

何となく周囲に流されてなった弁護士という職業ですが、今は、やりがいを感じ、また、楽しみながら仕事をしているので、私の天職だと感じています。忙しすぎて、仕事を辞めたいと思ったことはあっても、弁護士を辞めたいと思ったことは、今まで一度もありません!

―司法試験の勉強方法を教えてください!

試験勉強は、合格する保証はなく、今、自分がしていることが合格につながることなのか、不安に感じることがあると思います。そんなときに、励まし合える仲間がいることは、重要だと思います。ちなみに、私は、親友とは一緒に願書を出しに行ったから、本試験の受験番号も1番違いで、択一・論文試験を文字通り一緒に受験し、同じ年度に最終合格できました。

基本の基本は、条文の解釈だと思います。私は、毎朝、条文素読をする時間をつくっていましたし、移動時間中は、憲法の条文を音読した市販のテープを聞いていました。そうしているうちに、そのとき大好きだった刑事訴訟法は、条文を読んでいるだけでいろいろなストーリーが思い浮かんで、ワクワクするようになったくらいです(笑)

それと、だんだん勉強がすすんでいくと、知識を入れることを重視してしまいがちで、自分で考えることを疎かにしてしまう危険がありますが、司法試験で求められている能力は、自分で考える力だと思いますので、そのことは気をつけたほうがよいと思います。

どんな試験でも、運に左右される部分はあると思います。たまたま勉強した部分が試験に出ればラッキーだし、外してしまっていた部分が試験に出た場合はアンラッキー。試験に出る可能性のある全てのものを徹底的に網羅していれば、何が出ても大丈夫ですが、理想的ではあるけれど、試験勉強に使える時間には限りがあるから、ほぼ不可能。そこで、私は、試験勉強というのは、試験当日に、運で左右される可能性を減らすためにするもの、つまり、試験に出たらイヤだなと思う範囲を減らすものと考えていました。そう考えると、少しは、気が楽になりませんか?

―将来の夢はありますか?

具体的な将来像はまだ分かりませんが、今は、目の前にある仕事をきちんとこなすことによって、弁護士仲間や依頼者から信頼される弁護士になりたいと考えています。

―弁護士を目指す学生に一言頂けたらと思います!

弁護士は様々な可能性がある職業ですので、それぞれのスタイルで仕事ができると思います。司法試験は、一般的に難しい試験だと言われていますが、コツを摑めれば、合格への道が見えてくると思います。頑張ってください。

―最後に、座右の銘は何ですか?

「人は人と接することで成長する」です。

インタビューアから一言

大軒さんという方を紹介していただくまで、海外生活体験者として日本の大学に入学・卒業し、司法試験に合格した人は誰一人として知らなかったので、今回のインタビューをとても楽しみにしていました。大軒さんは、堂々としていて、品があり、優しく、気さくで、人間性に溢れ、とても魅力的でした。僕もこれからたくさんの人と接し、成長していきたいと思います!

石井竜馬さん。1987年千葉県出身。'05年、米国オハイオ州の現地高校卒業。'06年、中央大学法学部法律学科フレックスB入学。刑法ゼミ所属。 '08年、Asian Law Students' Association(アジア法学生協会)中央大学支部代表。同年6月、「弁護士と救済されるべき人を繋げたい」という想いから、iRasコンサルティンググループを設立し、現在に至る。趣味は水泳とイベント主催。