海外生活体験者・学生インタビューvol.19~前編~


吉田瑞穂さん。1986年生まれ。中学二年の秋に渡英し、4年半をイギリスのロンドンで過ごす。ISL(インターナショナル・スクール・オブ・ロンドン)卒業、IB取得後、京都大学法学部に入学。現在四回生。「薬害肝炎起訴訟を支える学生の会大阪」および「司法研究会」に所属。‘05年国際法学研究会模擬裁判大会において新人賞を獲得。‘06年インターカレッジ・ネゴシエーション・コンペティションに、京都大学代表として出場し、準優勝。

―ロンドンではどんな生活でしたか?

日本の中学では英語が得意科目だったので、イギリスに行くと決まったときには、不安よりは楽しみの方が大きかったです。しかし、いざ行ってみたら、授業で教授が何を話しているのかわからない、教科書も読めないといったありさまで、渡英したばかりの頃は、本当に辛かったのを記憶しています。

一つのきっかけは、地理の授業での発表でした。発展途上国の貧困について、政策提言の課題を提出したのですが、教授に大変褒めていただいたんです。そこで初めて自信がついて、私もイギリスでやっていけると思いました。

そこからの学校生活は楽しかったですね。アートの授業で、抱えきれないほどのキャンバスに油絵を描いたり、シャネルのファッションショーでは、見習いカメラマンを経験させてもらったりしました。

英語の授業では、学生自らfairy-tale projectというものを企画・実行しました。インターナショナルスクールだったので、学生の国籍も様々だったのですが、各国の代表者にインタビューをお願いして、それぞれの国の伝説や童話などを聞き取り、それに挿絵をつけて本として出版したんです。売上げはすべてユガンダ・スクール・プロジェクトというNGOに寄付しました。

また、地理の授業では、発展途上国の貧困問題を学んだため、学生同士で何か自分たちにできることはないかと相談しあい、fair-tradeの製品(=先進国の仲介業者に大幅なマージンをとられることなく、発展途上国の農業者にも利益が平等に行き渡るよう企画された商品。コーヒーやチョコレートなどがある。)を学校の購買に置いてもらえるように運動をしました。全校生徒の前で発表をして、無事、チョコレート・バー3種類を購買に置いてもらうことに成功しました。

当時は薬学にも興味があったので、病院にボランティアにも行きましたし、日本語の授業もあったのですが、そこでは宮沢賢治やフィツジェラルドについて研究論文も書きました。夏休みの一時帰国の最中に、図書館に日参してなんとか書き上げたのですが、これは本当に楽しくて、うっかり文学部に行こうかなとすら思ったほどです(笑)

―海外で学んだことはなんですか?

イギリスの学生は、とにかく行動力にあふれています。何をやるにも主体的ですね。自分が「おかしい」「こうした方がいい」と思ったことは、学生自ら企画してチャレンジする、そして、周りの方もそれを全力でバックアップしてくれる。そういう環境の中で過ごせたことは、本当に刺激的でした。

また、日本にいたころよりは、広い視野を身につけることができたと思っています。各国の友人の話、たとえば、オックスフォード大学に国籍を理由に入学を断られた友人のこと、故郷であるアルゼンチンの深刻な格差問題などを、ナマで聞くことができたのは貴重な体験でしたし、また、いわゆる暗記モノではない試験によって、「何事も自分で考えて消化する」癖がついたと思っています。歴史の試験なんか「キューバ危機について思うところを述べなさい」の一行問題であと7枚白紙の解答欄なんですよ!

でも、何よりも大きいのは、右も左もわからない中で、それでもなんとかやってこれたという自信です。最終的なIBのTOK(哲学のようなもの)や研究論文では満点を取れたし、4時間連続の試験もこなしてきた。今でも、「あのときに較べれば、こんなの大したことない」と、自分に言い聞かせていることがよくあります。

―京都大学での生活はどうですか?

夢だった法律を学べて、とても楽しいです。教授陣は著名な方ばかりで、基本書を書いたその正に張本人から直接学べるというところは、国立の醍醐味ですよね。京大法学部は3回生からゼミを受講できるのですが、先輩に紹介していただいて、2回生からゼミを受講していました。その年で尊敬する教授が退官されるため、特別にご許可をいただいたんです。

2回生の間は法社会学、3回生は民法を勉強しました。中でも受講した民法のゼミ(後期)は、京大法学部で一番厳しいともっぱらの噂だったのですが、いざ受けてみますと、確かに苦しくて(苦笑)。ゼミの予習と復習をしているだけで、一週間が終わってしまうような感じだったのですが、本当にためになりましたし、さまざまな視点から事案を検討するという姿勢も身に付きました。

前期の民法ゼミも大変楽しくて、事案をその場で配られてその場で解き、くじ引きで作成されたグループ4、5人で、即座に対抗式の弁論をするという形式のものでした。ゼミの教室が法科大学院の模擬裁判の教室だったので、部屋が裁判所そっくりのセットになっていたんです。法廷そっくりの場所で、初めて一人で錯誤の立論をしたときの緊張と気持ちよさは忘れられません。

2回生のときには、3回生の先輩方4人とともに、京大代表としてインターカレッジ・ネゴシエーション・コンペティションに参加しました。各大学が一つの会社の代表(副社長、財務部長、法務部長、開発研究課長、etc)として、会社に起こったトラブルを、仲裁および交渉の2ラウンドで、それぞれ解決するというものです。私は仲裁をメインで担当したのですが、立論の原稿を書いたり、「相手がこう言って来たらこう返そう」という抗弁集を作ったり、まだ習っていなかった会社法の資料を漁ったり、大変でしたが充実していました。その甲斐あって準優勝することができました。15万円の賞金がうれしかったです(笑)
後編はこちらから
 
  中村正太郎。1987年兵庫県生まれ。4歳から6歳まで香港に滞在。帰国し、沖縄で2年間過ごすが、8歳の時再度香港に渡りインターナショナルスクールに通う。小学校6年の秋に帰国し、東京で中学校3年の春まで過ごす。その後、ニュージーランド(オークランド)、そしてオーストラリア(シドニー)と2年間づつ滞在する。卒業後帰国し、現在京都大学経済学部2年生。大学では、日置ゼミ(経営戦略)、サッカーサークルに所属。