活動報告 vol.9 木村荘一郎~前編~


今回は、北海道大学に進学された木村荘一郎さんから、一年間の学生生活を振り返って頂きました。彼の成長の様子をどうぞご覧あれ。

木村荘一郎さん。1987年神奈川県生まれ。小学校3年時に栃木県へ転居。高校1年のときに、オハイオ州ダブリンへ渡米し、3年間滞在。高校卒業後、帰国し、北海道大学入学。現在、経済学部1年に在籍。

活動報告

1つ目の共同体 ―部活動―

部活。「力あるものが勝つ」という、ある意味では究極の実力主義であるスポーツの世界。その中で活動するのが部活。当然、実力主義的な体制が部内に望まれるはず。 しかし、僕の所属していた北大ヨット部は、人間関係や人の温かさを非常に重視していました。
そういった実力主義社会は、ヨットに金をかけられる財力、身長といった個人の資質によって、あきらかスタート地点で勝負が決まってしまい、「努力」というものが生まれにくい。だからこそ、「仲間のために、自分のために」といった、誰もが士気を高められるための環境づくりに励む。その一方で、部活動という性質上、実力主義を排除するわけにはいかない。この間でうまくバランスを取っていかなくてはならない……。

研究対象としては、非常に面白かったです。実際、ヨット部は非常に温かい場所でした。ですから、知り合いが身近にいない、北海道以外の地域から北大に来た学生「道外生」が部員の大半を占めます。

その反面、非常に堅苦しい社会でした。旧来型日本的雇用体系の縮図と言わんばかりの堅苦しさです。上下関係もありますし、年功序列もありますし、「理不尽」を「あい(愛)」と読ませるような環境であったことも事実です。個人の自由は、ほとんどありませんでした。共同作業をするのであれば、自分の自由に制約が生じるのは当然、と覚悟していたのですが……。

また、ヨット部はかなり多額のお金がかかります。

毎月の固定費。海の近くにある合宿所で、毎週末泊り込みで部活をやるので、生活費は移動費・光熱費・食費に消えていきます。

安全確保。洋上で行うスポーツなので安全第一です。そのため、個人が用意しなくてはならない部品も多いです。マイナー・スポーツであるが故、需要の低さから、そういった品物は決して安いものではありませんでした。

遠征。年平均3回はあります。北海道から遠征に行く場合は、フェリーか飛行機です。授業に出ることを優先するならば、飛行機しかありません。食費・交通費・宿泊費、全て個人持ちです。ひと月の生活費分のお金が飛んだこともありました。

人間関係維持費。人間関係を重視する方針を設けていたので、飲み会やイベントもたくさんありました。北大文化の一つである「ジュージャン」。数人の参加者でじゃんけんをし、負けた人が参加者全員にジュースをおごる。部内で頻繁に行われました。拒否権は存在しますが、拒否し続けると、あまりいい印象を持たれません。

そのため、アルバイトをしてお金を稼ぎました。大学、部活、この二つを両立させようとした結果、以下のような日々を送ることになりました。

月昼…大学 月夜…アルバイト
火昼…大学 火夜…睡眠
水昼…大学 水夜…アルバイト
木昼…大学 木夜…睡眠
金昼…大学 金夜…部活
土・日(全日)…部活

平日は、2日に1回しか寝る時間がありませんでした。

夏休みに至っては、以下の通り。

火夜~日夜…部活
日夜…アルバイト
月昼…睡眠
月夜…アルバイト
火昼…睡眠

冬はオフ・シーズンなのですが、毎日、来シーズンどうするか、ひたすらミーティングを開いては話し合っています。1日10時間、話し合うことも。シーズン中よりも時間を多くとられました。

共同体の研究対象としては非常に興味深いものでしたが、さすがに、コスト(時間・お金)がかかりすぎました。それを捻出するために、多くのものを犠牲にしなくてはならなかったのです。せっかく大学に勉強しに来ているのに、「単位さえ取れればいい」なんて考えにいたるような部員が大勢いたことにも落胆しました。なにより、ずっとやりたかった趣味の語学に、多くの時間やお金を割けるのも大学生くらいですし。

ついに、この1月、退部することにしました。寝食を共にした仲間と別の生活を歩むのは、大変心の痛むものでしたが、「自分は「人との関係に生きる」「自分のやりたいことをやる」どちらの要素が強いのか」ということを自問した結果、自分のやりたいことを優先させることにしました。この「集中講義」は、僕には高くつきすぎたのです。

船酔いも、結構きつかったですしw 後編はこちらから>>