活動報告 「世界の学校から」vol.3 谷岡杏

今回は、慶応大学法学部政治学科の谷岡杏さんから、シカゴ時代に通ったAdlai E. Stevenson High School(通称SHS)を紹介して頂きます。

谷岡杏。1989年カナダ生まれ。生後すぐにアメリカに移り、以後17歳までシカゴで過ごす。現地の高校を卒業後、日本へ。4月から慶応大学法学部法律学科に入学予定。

活動報告

私の通ったAdlai E. Stevenson High School(通称SHS)は、1965年の9月に、当時のイリノイ知事 Adlai E. Stevenson (元副大統領)より名を受け、開校されました。愛国者の象徴でもある緑と黄色をトレードマークにあしらい、開校以来、入学者の数は増え続ける一方です。開校当時は、467人の生徒と34人の教師という小人数でスタートしましたが、今では、シカゴ・メトロポリタン地区で、最も生徒数が多い学校として知られており、‘07年における在籍者の総数は、ざっと4500人と言われています。

学校の社会的評価

生徒数が多いことでも有名ですが、それに見合った大きさの校舎、安全性、教員数、最新の教材など、非常に高い評価を受けています。その証拠として、イリノイ州公立高校でただ一校、アメリカ教育省よりブルー・リボンを四本贈呈されたことで、世間にその名を知られています。 report_13tanioka_1.jpg
その他にも、数々の賞を受賞してお り、親からの支持も多く、US News and World Report’s ランキングでは、トップ100にも入りました。

教員

SHSにいる教員の平均経験年数は11年であり、73%の人間が修士号かそれ以上、27%の人間が学士号をもっています。生徒と教師の割合は18:1。

学校のファシリティ

SHSの敷地面積は76エーカー(93040坪)もあり、生徒は自由にその施設を使うことができます。各教室ではインターネットへの常時アクセスが可能であり、ビデオやオーディオ装置が設置されています。 また、1200席のある劇場や、オリンピック・サイズのプール、 野球場、フットボール・フィールド、 トラック、テニス・コートなど、 report_13tanioka_2.jpg
学校時間外には、一般にも貸し出される施設も備えてあるのです。

さらに、大学/就職カウンセリング・センター、チューター・センター2ヶ所、語学実習室2ヶ所、そして、150台ものコンピュータが生徒用に設置されたコンピュータ室も備えてあります。

学校の規模

‘07年—’08年の調査によると、SHSの生徒数は4,466名です。一教室に対する平均生徒数は21名。総教員数は252名。

その他、学校の特色

SHSが有名な理由の一つは、APクラス(大学単位のとれる授業)の数が多いことにあります。20クラス以上もあるAPクラスによって、生徒は高い知識と大学単位を手に入れることができるので、とても効率がいいのです。

そのせいでしょうか、SHSの大学進学率は98%に達し、その中でも10人に8人は4年制の大学へ進学します。

また、SHSには100種類以上のクラブが存在しており、全校の3/4の生徒が活用しています。こうして、学校時間外にも生徒間で人間関係を作れるのです。

学校生活

SHSは、とにかく……、でかくて人が多いです(笑) 校舎が二つあって、生徒は休み時間内に校舎を行き来したりするのですが、時にそれは10分もかかることがあります。通常の授業間の休み時間は5分ですが、校舎を行き来する人のために、トラベラーズ・ベルというものがあって、追加で5分もらえるのです。そうでもしなければ、とても授業に間に合いません。 report_13tanioka_3.jpg
初めてSHSを訪れる人は、まず、その大きさに驚嘆します。私もその一人でした。しかし、慣れてくると、ただでかいだけの学校ではないということに気付きます。でかい校舎に見合っただけの生徒数、教員数、そして、授業のバラエティがあります。また、学校の設備は最新のものが多く、最近では機械化された黒板を使う先生もいるほどです(笑) 成績などもすべてインターネット上で見られるようになり、とても充実しています。

生徒はカウンセラーと相談し、自分に見合った授業を自ら選択していきます。また、科目によっては、レベル分けされているものあります。レギュラー(regular)、エクセル(accelerant)、AP(advanced placement)、そして、ESL(English as a second language)と、自分にあったレベルを選ぶことが可能です。

授業がわからなかったり、行き詰まったりしたときは、resource centerを活用することできます。RC(resource center)では、チューター(指導員)、あるいは、成績優秀な生徒に、宿題やわからない問題について質問し、彼らに手伝ってもらうことが出来ます。私も毎週通っていました(笑)

SHSには100種類以上のクラブがあります。しかし、日本のように一つのクラブに一年中属する訳ではなく、季節によって参加できるクラブが異なるので、春はテニス、冬は陸上など、生徒は自分の都合に沿ってクラブを選ぶことが出来ます。クラブに入るとアメリカ人の友達も増えるので、私も毎年力をいれていました。

学校がある街の様子

SHSの学区であるバッファローグローブ、バーノンヒルズ、リンカンシャイヤー、ロンググローブは、シカゴの北の郊外にあり、環境的には恵まれた地域です。これらの街はレイク郡に属し、シカゴを含むとなりのクック郡に比べると、固定資産税が3、4割高く、その75%はschool district、つまり教育関係に使われる訳で、自然と教育施設や高教育レベルに恵まれる訳です。

私の学校生活

私はシカゴにある日本人中学校を卒業し、スティーブンソンへ転校しました。はじめの頃は英語も満足に話せず、ESLプログラムに入り苦労しました。助けてもらいたくても、英語が話せなければ、助けてももらえないのです(苦笑)

授業のある教室を探すだけで大仕事。迷うことはしょっちゅうありました。そんな私の大きな支えとなったのが、クラブ活動でした。私は、フルートを吹くのでバンドに入り、その他にテニスもやっていました。おかげで、様々な人種の友達を作ることができ、徐々に英語に慣れていったのです。その成果もあり、半年後にはESLを抜け出し、レギュラー・クラスに入り、シニアの年にはAPクラスを取れるほどにもなりました。

SHSでは、授業を通して英語を学ぶだけではなく、人との付き合いの大切さを学んだような気がします。一人では不安で仕方なかったことも、友達や先生方がいたからやっていけたと思います。2年半という短い間でしたが、私にとってSHSでの高校生活はとても大切な思い出/経験です。正直、SHSに転校したてのころは、日本で大学受験するまでの足掛けのように思っていました。しかし、今ではもっとSHSにいたかった。そう思います。