海外生活体験者・社会人インタビューvol.23~第2編~

interviewee_s_56_profile.jpg T.Kさん。1976年佐賀県唐津市生まれ。茨城県つくば市で育つ。中学2年の夏に家族でフィジーへ。4年弱を過ごした後、単身イギリスへ渡り、パブリック・スクールに通うも、3ヶ月で退学。その後、日本へ帰国し、高校2年の3学期から、神奈川県の高校へ編入。一般入試で一橋大学社会学部入学。卒業後は電通に就職。現在はTVブロス編集者。

ルールの違い、フィジーとUKと日本と。

K:で、その後、フィジー行ってー。でも、フィジーのせいで遅刻する癖が出来ちゃいましたよねー。未だに直らない(苦笑)
W:沖縄の人と同じ感じですねー。ゆっくり時間が流れてる。約束の時間の一時間前に伝えてって感じですね。じゃあ、やっぱりイギリスのパブリック・スクールは難しいですよねぇ。
K:そうですね、イギリスのパブリック・スクールはルールが凄いいっぱいあったんですよね。だから、その直後に日本の高校に行ったら違和感を感じましたよ。
W:へぇ。日本の高校はルールってなかったんですか?
K:多少あっても、イギリスほどはないなぁと思いましたね。ルールがない代わりに、結構、自分で判断してやりなさいっていう、見えない力を感じました。あとね、イギリスの学校とすげー違うなと思ったのは、やっぱ派閥ですね。
W:あれ、男子校だったんですか?
K:一応、男子校なんですけど、共学でもあるんですよ。
W:棟が違うとか?
K:そうそうそう。でも、高3で一緒になるんですよ。で、そこに高2の3学期から入ったんですけど、やっぱマンモス校だったってのもあると思うんですけど、なんていうか、こう、派閥以外の人は近くにいても見て見ぬ振り、みたいな。
W:それは、女の子が良く作る仲良しグループみたいな感じですか?
K:あんなんに似てます。男も同じ感じですよ。
W:何か怖い……。無視ってことですよね?
K:無視っていうか、なんか、イギリスとかフィジーとかだと、何も考えず話す、みたいな。乗り合わせた電車で、見知らぬ者同士でも、普通に喋ったりとか。日本では絶対にそれがない。
W:あー、確かに電車で喋ったことないですねぇ。
K:絶対ないですよね? 挨拶もしないし、なんもない。乗り合わせた電車状態なんですよ、クラスの中が。グループだけでする。クラスの中に、いっぱいグループがあって。
W:どこかのグループには入ったんですか?
K:掛け持ちで入ってましたね(笑) 普通にしてたら、結果的に掛け持ちで入ることになってました。そのせいでトラブッたこととか、ありましたけどね。お前、カラオケ行くって言ってたじゃねーかよ、いやいや、こっちが先約だよ、とかね。そういう、グループによって暗黙のルールみたいなのができるから、あんまりルールがなくても上手く運営できるのかなぁとか思ったんですけどね。学校側が言わなくても、自立的に動けるようになってんのかなぁって。イギリスとかフィジーとかは、ルールを作んないと、それからはみ出すヤツがいっぱい出てくるんじゃないかな。だから、日本って、逆に法整備が遅れてるんじゃないですかね。

空気を読む、とKY。

W:はぁー、フィジーは何にもないですか?
K:そういうルールとかシステムがない。イギリスはシステムがないと乱れちゃう。日本は、目に見えないシステムが出来てる。
W:あー、「KY」、空気を読む。
K:そう、それ! でもね、僕ね、その空気を読むっていうの、凄い嫌いなんですよね。何か気持ち悪い。
W:そうですか。社会に出て、お前空気読めないなって言われたこととかは?
K:多分、今でも言われてると思いますよ(笑) あのー、空気を読むっていうのは、一種のムラ社会だと思うんですよね。皆同じ土俵に立ててる、っていう前提での話じゃないですか。俺もお前も、基本、こういう部分で一緒。でも、移民の多い国だったり、外国人の多い国だったりすると、共有する部分がないですから、空気読むにも読めないんですよね。
W:確かに……。フィジーも、イギリスも同じ島国だけど、いっぱい入ってるから。
K:イギリスは大英帝国っていう歴史があって、移民がどかどか入ってるから、それが成立しえないんですよ。同じ島国でも、やっぱり、どういう構成になってるかで全然違いますよね。
W:やっぱり、日本って珍しいですよね。そんなに移民もいないし。
K:でも、今、中国やら台湾、韓国やら、凄い数で増えてますよね。イギリスがインド人に占拠されていっているように。だから、近い将来、KYなんて考え自体が、日本からもなくなっていくんじゃないかなあ? まあ、とにかく、空気を読むとか、そういうムラ社会みたいなの、嫌悪感を抱くようになっちゃいましたね。海外生活のせいだと思うんですけど。だから、芸能界とか、大っ嫌いですもん。特に糞バラエティ番組!! これは、今、深刻な影響を日本人の人間関係に与えています。日本人総芸人化!!(笑)
W:でも、電通は、結構。。。

ムラ社会で、いいポジション取りたいから。

K:電通はかなり空気を読まないといけないような社会ですね。
W:でも、ムラ社会って、海外から帰ってきた子は、最初のうちはそういうのを嫌うんですけど、大学に入って2年目とかになっちゃうと、結構同化しちゃいませんか?
K:みんなねぇ、そのムラに入ろうと頑張るんですよ。大学とか、就職ってところで、ムラがゼロ・スタートになるわけじゃないですか。で、その中でいかにいい土地に自分の家を建てるかって、競争して、ギスギスして。なんか嫌じゃないですか?
W:私は放牧されてたいです。。。
K:みんな頑張っちゃうんですよね。でも、それっていうのも、そのムラでいいポジション取りたいから頑張るんですよ。やっぱり、ムラがある限り、差別ってのも生まれるわけだし。同じもので固まってると、どうしても違うところにばっかり目がいっちゃうし。最早、そういう時代じゃないような気もするんですけど。ムラを感じることは良くありますねぇ。特に、既得権があるところはムラですね。この国は、大企業にしても、先達のいるところはムラです。でも、一旦染まると、居心地は良いんですよ。
W:染まっちゃいました?
K:だから、掛け持ちで染まってましたよ(笑) “キャラ”って言葉とかも、凄いムラ的な言葉だと思いません? そのムラの中でのそいつの役割。
W:あー、盛り上げ役、とかマネッジ係とか。
K:そうそうそうそう。多分、空気が読めないヤツが多くなってきたからこそ、そういう言葉が流行ったと思うんですよ、で、なんで多くなってたかというと、インターネットのせいだと思うんですよ。インターネットやってると、自分と同じ興味を持ったヤツとだけしか、接しないわけだから。現実と日常的に関わって生きていると、やっぱり嫌なこととか通過しないといけないわけじゃないですか。でも、周囲とのギャップを見なくて済むんですよ。それが「空気を読めない」って言葉になってるんだと思います。第3編はこちらから>>

第1編はこちらから>>

若林志帆。1986年広島県生まれ。高校2年まで外国とは無縁に過ごす。17歳の冬、無謀にも単身渡英。語学学校を経て、現地の高校へ。ケンブリッジで2年間の高校生活を送り、卒業後帰国。現在は慶應義塾大学法学部政治学科2年に在学中。