海外生活体験者・学生インタビューvol.24

    
    
S.N.さん。1987年兵庫県生まれ。4歳から6歳まで香港に滞在。帰国し、沖縄で2年間過ごすが、8歳の時、再度香港に渡り、インターナショナル・スクールに通う。小学校6年の秋に帰国し、東京で中学校3年の春まで過ごす。その後、ニュージーランド(オークランド)、オーストラリア(シドニー)と、2年間ずつ滞在する。卒業後帰国し、現在京都大学経済学部3年に在籍。大学では、留学生チューターとして活動し、日置ゼミ(経営戦略)、慈善事業サークルOISK、サッカー・サークルに所属。

―Nさんは色々な国に行っていますが、それについて自分で思うことはありますか?

父の仕事の都合で、小中高で合計7回転校しました。新しい環境に身を置くことは好きでしたが、友だちとの別れが毎回辛かったです。でも、辛いこと以上に収穫もありました。海外生活では課外活動に力を入れていて、スポーツ(サッカー、テニス、ラグビー)、福祉活動、そして、オーケストラ(ヴァイオリン)と、幅広く様々なことに挑戦していました。勉強があまり好きじゃなかったというのもあるんですけど(笑) 勉強から学べることも多々あるけれど、人生、勉強以外から学べるもことも多いですよね。僕は課外活動から、リーダー・シップや行動力を学ぶことができたと思っています。

―海外生活で一番楽しかったことは?

そうですね……。ニュージーランドの学校での部活動(サッカー、陸上、ラグビー、テニス、そして、オーケストラ)ですかね。朝5時からランニングして、昼休みや放課後も部活動をしていました。楽しいことばかりでなく、もちろん辛いこともありました。けれど、その中でチームプレーの大切さや、皆で目標を達成する喜びというものを見出しました。チームで目標を達成したときの達成感が、僕の中での生き甲斐となっていたのだと思います。楽しみというより喜びですね。

―京都大学の基本理念である「自由の学風」についてはどう思いますか? 特に、経済学部は、そのあまりの自由度に、「パラダイス経済」なんて言われて揶揄されていますが(笑)

自由だからこそ、自分のやりたいことに挑戦出来る。「ビル巡り」であったり、2、3回生の時に主催したイベントであったり。僕は自由の学風に共感します。僕の場合は、「学問するにおいて、上から押し付けない」といった意味合いを持つ「自由の学風」とは、少しずれているかもしれませんが(笑)

―でも、周りを見ていて思うのですが、経済学部はあまりにも自由奔放過ぎませんか? 自由奔放というより放置に近いような? 週授業1コマを実現したって、喜んで誇りにしている人も見かけます。

ただ勉強に力を入れなくても良いと喜んでいる人もいるし、僕のように自分のやりたいことに集中している人もいる。人それぞれ捉え方が違うと思います。自分のやりたいことに集中できる環境が整っているから、京大はノーベル賞受賞者が国内大学で最多なんだと僕は思っています。「挑戦のチャンスが与えられる=パラダイス」という意味で考えたら、京大はまさに「パラダイス」ですよね。

―帰国後の生活はどうでしたか?

大学入学当初、将来の「夢」というものが全く見えていなかったので、これから何に向かって歩んでいけば良いのかという不安に駆り立てられました。そのため、4年間という短い大学生活の中で、とにかく色々なことにチャレンジしてみようと思いました。そのステップとして、一回生の夏休みに「ビル巡り」をしました。社会人として働く意義や、お金を稼ぐ難しさを知るためにも、会社で働きたいと思って。そして2、3回生ではイベントの主催をしました。

―「ビル巡り」はすごいですね(笑)

最初はインターンシップを考えたんですけど、やはり一回生だから受け入れてくれる会社が見つからなくて。けれど、自分の中で何か諦め切れない部分があって、ビル巡りをすることを決意したんです。ほとんどのビルには、一階の受付付近に、そのビルに所属している会社欄があるんですよね。その欄に載っている会社を片っ端からメモって、働かせていただけないかと電話を掛けました(笑)

将来やりたいことが見えていなかったので、とにかく色々な業種にアタックしてみました。案の定、ほとんどが駄目でしたが、それでも、5、6社からは面接だけでもというお話をいただいて、最終的にはITコンサルにアルバイトとして雇われたんです。

1ヶ月間という短期間でしたから、何かを身に付けるというよりは、そこで働いている人とのコミュニケーションや彼らの動作から何かを感じ取り、学ぶことを目標としました。いざアルバイトをしてみたら、そこで働いているのは、ヘッドハンティングされた優秀な方ばかり。僕が普段触れたことのない知識を持つ人たちばかりで、非常に良い経験になりました。そこは福祉活動にも力を入れていて、僕自身ボランティアにも強い関心があったので、その点でも色々とお話を伺わせていただくことができました。

それで、行動力にはかなり自信がつきましたね。

―では、2、3回生のときのイベントについても教えてください。

イベントを通じて実現させたかったのは、『世代間のつながり』です。確かに、同年代のつながりは自然と強くなっていくものだと思います。しかし、世代を超えたつながりは、機会がなければ実現しにくいものがあります。そして、そのつながりは、将来何がしたいのか分からない人にとっても、もちろんしたいことが決まっている人にとっても、同じ海外生活を経験した先輩の意見やアドバイスを伺えるという意味において、とても価値があるものだと思います。僕は、そのような場、空間を、イベントに参加してくれた方々に提供することを目標として活動を始めました。初めのうちは、要領をあまりつかめずに、会場押さえから人集めに至るまで、様々な苦労をしました。しかし、良いパートナーや優秀なスタッフに助けられ、何とか成功することができました。色々な人に出会ったことや、様々な苦労を力合わせて乗り越えたことは、僕にとってのかけがえのない財産になったし、人間として成長できたと思います。

―最後に、将来の夢と大切にしていることを教えてください。

まだ漠然としか見えていませんが、将来は何かしらの方法で、社会に貢献したいと思っています。3月に、世界各国の光と影、いわゆる裕福な部分と貧困な部分を見たいと思って、世界を周りました。でも、1ヶ月という短い期間だったので、前者が中心となってしまいました(苦笑) 将来は、影を見て世界を周りたいですね。ただ影を見るだけではなく、影を光で照らす活動をしたいと考えています。その手段はまだ漠然としか見えていませんが。

大切にしていることは、一人一人との出会いです。僕の人生のテーマは「ミューチュアル・ラーニング」なんです。人から学べることってたくさんありますよね。異なる価値観が出会い、そしてまた、新たな価値が創造されていく。イベントを主催したのも、自分で企画してチームで何か大きなことに取り組むことが好きだというのもあるのですが、普段関われないような人と出会える空間、機会を創り出したかったからです。

インタビューアから一言

お話を伺って、Nさんは京都大学が理念とする「自由」を体現しているような印象を受けました。Nさんの行動力を示すお話に、インタビューアは終始驚かされっぱなしでした(笑) 人との出会いを大切にする姿勢には、僕も共感するところがあります。今年からの就職活動、その行動力と姿勢で頑張ってください! 応援しています! 今回はありがとうございました!
interviewer_s_57_profile.jpg 山下博之。1988年神奈川県生まれ。小学校6年生の時に渡米し、カルフォルニアに在住。以後、日本人学校に10年生まで通い、その後、現地の高校に転入し卒業まで在籍。帰国し、京都大学へ入学。現在、経済学部1回生。