海外生活体験者・学生インタビューvol.35 ~前編~

interviewee_s_48_profile.jpg 植田久美子さん。1987年大阪府生まれ。3歳から7歳まで米国シカゴに滞在した後、大阪の小・中学校を経て、イギリス・ロンドン郊外のACS Hillingdon International Schoolで高校3年間を送る。現在、一橋大学社会学部2年生。

今回インタビューを受けてくださったのは、植田久美子さん。現在は一橋大学社会学部の2年生です。インタビューアの私は、彼女とは予備校時代を共にしました。国分寺のカフェで懐かしい話をしながら、インタビューに答えていただきました。

関西人でもアメリカ人のノリには合わない?

木村(以下K:)高校生活はどんなものでしたか?

植田(以下U:)高校生活は、決して楽なものではありませんでした。高校一年生のときまで大阪に住んでいて、それから海外へ行ったので、環境に慣れるのも大変でしたし、英語の壁もありました。入学した高校は、一学年50人程度のインターナショナル・スクールで、その半数がアメリカ系の人ばかりだったので、その場のノリにも戸惑いました。

K:では、友人もアメリカ系の人が多かったのですか?

U:逆です。そのノリにあまり慣れなかったせいで、友人のほとんどは、母語が英語ではないヨーロッパ系の人々でした。友達作るためにサッカー部に入ったりもしたんですけど、部活動はシーズン制でしたし……。高校で生活を一言であらわすなら、「IBとArt」ですね(苦笑)

地獄のIBと癒しのArt

K:IB(インターナショナル・バカロレア)って、どんな感じなんですか? U:もう地獄でしたよ(笑) センター試験みたく、「その日一発勝負のために」っていうのではなくて、2年間課題に追われて、緊張状態がずっと続くんですよ。ですから、その分、IBのコースに入っている人たち同士は、「苦境を共にしている」ってことで、仲良くなったりするんですよね。

K:だから予備校で、インター組はあんなにIBの話で盛り上がってたんですねぇ。。。

U:そうなんですよ。それに加えて、曇り空の多いロンドンの気候のおかげで、余計に鬱になっていくんですよね(苦笑) そんな中で一番の癒しだったのが、Artでした。

スパルタ美術研修旅行

K:Artって、具体的にはどんなことされたんですか?

U:Artは、IBの中の一科目として履修したんです。そこでは美術史など学問的なこと、作品創造など芸術的なこと、両方やりました。キュレーターになったつもりで、美術館の展覧会を企画するなんてこともあったんですよ!

K:なんでまた、Artを?

U:Artはもともと好きだったんです。でも、IBの授業なので、趣味だとはいえ、課題に負われてるって感じもありました。それでも楽しかったです。

K:Artで一番思い入れのあることは?

U:“Art Trip”っていう、年一回の旅行が一番思い出深いですね。IBは二年なんで、合計二回行ったんです。最初はバルセロナ、最後はベルリンに。でも、旅行というよりは「スパルタ美術研修旅行」って感じでしたね。

K:(笑)

U:だから、本当につらかったんですけど、その分楽しかったです。これに行けたからこそ、建築、都市、文化などに興味を持てたんですよ。住んでた場所もロンドンで、ヨーロッパの都市には気軽に行けたので、頻繁に出かけていました。

K:では、「辛かったけど、行ってよかった」と?

U::そうですね。もしずっと日本に残ってたら、こういうことに興味は持たなかったんじゃないかって思います。イギリスへ行く前の私は、八方美人的な感じで、周りを伺うことが多かったですけど、こういうことに興味を持ち始めて、また、一人歩きできる安全なロンドンの街というのもあって、とても一人遊びが上手になりました。大学に入ってからも、よく友人に「よく一人でそんなことできるよねー」と言われます。

赤い糸が見えた!!

K:(笑) よっぽどArtが好きだったんですねぇ。では、美大とかに進学しようとは思わなかったんですか?

U:最初は美大への進学も考えました。ただ、「たぶん、まだ自分は甘いのではないか」「並大抵の努力や才能じゃ美大行ってもついていけないのではないか」と考えてしまったんです。「自由奔放な創作活動もいいけど、今の自分はまだ大人になるための教養が足らない。創作活動は、本当に諦められなければ後からやろう。教養をつけるのは今、大学生のうちしかない。」そう考えて大学進学を決めました。

K:それでは、なぜ一橋の社会学部に入学されたんですか?

U:大学に行こうと決めてから、日本とイギリスの大学をいろいろ見てたんです。正直、最初はどれもピンと来ませんでした。しかし、一橋大学のオープンキャンパスに行ったときに、「赤い糸」が見えたんです!!

K:また、すごいものの言い方ですね(笑)

U:この赤い糸のおかげで、IBも、帰国後の受験勉強も、精一杯頑張れたんです。部屋に一橋の写真とか張ってましたからね。だから、合格が決まったときは、「長年片思いしてた人への告白が成就した!!」って感じでした。

K:(爆)!!

居心地のよい大学と一抹の不安

K:長年の片思いが成就、その後はどうなったんですか?

U:そうですねぇ。最初は、「高校時代に自分がmissしてたものを取り戻せる!」と思いました。少人数制、クラス割、文化祭や体育祭、そういうのがあったので。

K:「とてもいい環境だなぁ」と?

U:ええ。学生も、みんなやる気のある人たちばかりで。勉強を怠ける気も起きませんでしたし。国立っていう立地が、社会の喧騒からも離れていて、とてもいい環境でしたし。ただ、言葉を選ばず言ってしまえば、「平和で狭い環境で、井の中の蛙にならないだろうか」「この環境に安心しきってしまわないだろうか」という不安も抱えるようになりました。 後編はこちらから>>

interviewee_s_41_profile.jpg 木村荘一郎。1987年生まれ。神奈川県相模原市、栃木県足利市、米国オハイオ州ダブリン市、東京都三鷹市と転々とし、現在は札幌市にて北海道大学経済学部の二年生に所属。興味の赴くままに活動し、この夏休みは「おにぎり販売」や「中標津合宿」に精力的に取り組んでいる。