海外生活体験者・社会人インタビューvol.23~第6編~

interviewee_s_56_profile.jpg T.Kさん。1976年佐賀県唐津市生まれ。茨城県つくば市で育つ。中学2年の夏に家族でフィジーへ。4年弱を過ごした後、単身イギリスへ渡り、パブリック・スクールに通うも、3ヶ月で退学。その後、日本へ帰国し、高校2年の3学期から、神奈川県の高校へ編入。一般入試で一橋大学社会学部入学。卒業後は電通に就職。現在はTVブロス編集者。

何にも属さなくて良いために。

W:お仕事始めたんですか?
K:いや、選挙がしてみたいと思って。
W:え? 選挙? 立候補したんですか?!
K:いや、さすがに(笑) ちょうどその時、衆議院選挙があって。で、知り合いに頼んだら、石原都知事の三男の選挙事務所だったら、紹介してあげられるよって。じゃあ、そこで良いですって、手伝いに行ったんですよ。
W:今度は選挙ですかぁ。あれって、ボランティアですよね? 私もやってみたいなぁーと思ってるんですけど、どんなことするんですか?
K:いやー、最初はね、本当に色んな人がいるんですよ。自分みたいな良く分かんないのもいれば、主婦みたいな人とか、おじさんとか、若い人とか。で、皆何をやっていいのか、良く分からないんですよね。ただ集められただけなんで。でも、徐々に形になっていくんですよ。僕は、取り立てて何かのスキルがあるってわけでもないけど、この段々出来上がりつつある組織の中で、出来るだけ良いポジションに上り詰めるにはどうしたらいいか。正直、その人の当選とかよりも、そっちの方が自分にはテーマになってたんですよね。
W:石原さん、どうでも良くなっちゃったんだ。
K:そう。この選挙のために集まったぐちゃぐちゃな人たちが、1ヶ月後の投票日にはきちんとした組織になってるんだったら、その中でより良いポジションになっていようと思ったんですねぇ。それでまず始めたのは、観察だったんです。よーく見てたら、皆仕事するにしても、何するにしても、道具探してるんですね。「ガムテどこいったーっ!?」「台車どこーー?!」って。そこで、自分はその備品の場所全部覚えたんですね。「ガムテどこいったーっ!?」「そこーーっ!」、「台車どこーーっ?!」「ここーーーっ!!」って。備品の場所を把握して、管理するようになった。そうするとね、その備品を欲しがってきた人が、それを使って何がしたいのか、状況が分かるようになった。状況が分かるようになったら、今度は何をすれば良いのか、先が分かるようになった。で、そうこうしてると、段々仕事を一任されるようになった。じゃあ、次は勧誘の電話を掛けたいから、ここのフロアを使ってやって、とか。で、そこで思ったのは、人に頼られるようになれば、自ずと情報が集まるし、仕事も大きくなってくし、食いっぱぐれはないだろうと思ったわけです。だったら、別に、何にも属さなくてもいいや。自由気ままにやっていけるぞと。そこさえ踏まえてれば、と思ったわけです。で、そこにたまたま大学の先輩がいたんです。聞けば、中川さんといって、博報堂を辞めて、ライターをやってる同期がいると。へー、じゃあ、何か仕事を回してもらおうと思って、連絡を取ったところから、今の仕事が始まったわけです。

編集というお仕事。

W:今は、編集? フリーなんですか?
K:フリーです。何にも属さない。全然あれですよ。今、偉そうなこと言ってましたけど、僕なんてまだまだです。フリーの編集として、何か凄いことやってんのかと言ったら、別になんにもやってないし。まだまだ、頼られてねぇなぁってことばっかりですよ。
W:いやぁー、そんなー。じゃあ、編集ってどんなお仕事なんですか?
K:企画立てて、このテーマで書いてくださいって。上がってきたものを、直して、デザイナーさんに渡して、デザイナーさんがそれを誌面にしてくれて。で、それを最終チェックして出す! そういう仕事です。
W:へぇー。それは、一日に何本とか決まってるんですか? 中川さんは一日に何本上げてーとか、おっしゃってたんですけど。
K:あぁ、中川さんはネットの仕事されてますからね。僕は一日に何本とか決まってないです。基本、メインでやってる雑誌が2週間に1度出る雑誌なんで、2週間に1回締め切りがあるんですけど、そこにめがけて、自分の担当しているページを埋めていかなきゃならない。現場監督みたいな仕事ですよ。大工さんにお願いして、家建ててもらって。こんな家にしたいって、設計もするわけですね。こんな家にするには、どんなライターさんにお願いすればいいかなぁ、って。でも、はっきりいって僕は、媒体に縛られるような仕事をしたくないんですよね。今って結構、テレビの人、雑誌の人、ラジオの人っていうふうに、メディアによって縦割りになってますけど、本来ものを作る人たちって、メディアの種類にしばられるべきじゃないと思います。ましてや、今なんてメディアの数が多いんですから。一つのことをやるときに、この部分は雑誌が良いよねってなれば、雑誌に持って行って、ここはネットの方が良いよねってなれば、ネットでやってって。そういうふうにやっていくべきだと思うんですよ。メデイアを持ってる方が偉い。旧来から、地主が偉いんですよ。いわば、僕らは小作人、編集は小作人の長みたいな話ですよ。「おらーっ、耕せー! 美味しいリンゴを作るんじゃーっ!」って。で、地主に、「地主様、美味しいリンゴが出来ましたー。」(苦笑)
W:「どうぞお納めくださいーーー」(笑)
K:そうなんですよ。インターネットだの、フリーペーパーだの、デジタル・チャンネルだの、なんだのってのを切っ掛けに、今は畑の面積が増えたんですよ。そうすると、そこで作物を作るノウハウを持ってる人の発言権の方が大きくなるはずなんですよ。それに、今までは、雑誌っていう特定の畑だけを耕してた人が、テレビだ何だって、他の畑も耕せるチャンスが増えるわけですよ。今まで、土地が少なかったですからね。まぁ、その中でどう振る舞って行こうかなぁーって話ですけどね。
W:将来は?
K:見えないですけどね。ただ、おもしろいことやり続けていれば、生きてはいけますけどね、きっと。
W:ずっと編集をするってわけじゃないんですか?
K:ずっと、これってわけじゃないですね。なんかね、他の仕事だってね、おもしろそうだったらやりますしね。だって、僕、全然浮気して良い立場なんですもん。
W:し放題ですよね(笑)
K:そうですよ。だから、フリーなんですから。
W:じゃあ、他に興味のあることってなんですか?
K:興味ねぇ……。色んなのに興味ありますけどねぇ。。。エアラインとか。
W:エアライン??
K:いや、間違いなくね、飛行機に乗る人って増えるわけですよ。でも、今はなんか、原油高だなんだって、大変じゃないですか。飛行機会社きっと潰れたりしますよねぇ。凄い、変革の時期に入ってると思うんですよね。チャンスだと思うんですけどねー。
W:飛行機会社設立しますか?
K:やりたいんですけどねぇ、元手がないんでねぇー。他ねぇー……。色々興味ありますよ。でも、なんかちょっとね、今までの世の中を変えたいですね。たとえば、終電がなくなっちゃうとかね。
W:あぁー、嫌ですねぇ!
K:21世紀なのに、終電を気にしなきゃいけないなんて不健全ですよ。あとはー……、なんだろうなぁ。でも、正直まだバラバラだから、何か結論を言うってステージじゃないんですよね。第7編はこちらから>>

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若林志帆。1986年広島県生まれ。高校2年まで外国とは無縁に過ごす。17歳の冬、無謀にも単身渡英。語学学校を経て、現地の高校へ。ケンブリッジで2年間の高校生活を送り、卒業後帰国。現在は慶應義塾大学法学部政治学科2年に在学中。