海外生活体験者・社会人インタビューvol.33

interviewee_s_79_profile.jpg 田中紺さん&美帆さん。田中紺氏は26歳でアメリカにわたり、MBA(経営学修士)を修了後、ニューヨークにてアクターとして活躍する。田中美帆さんは小さい頃から父親の転勤で日米を往復し、計15年間ほどアメリカで暮らす。ニューヨークで出会った二人は、現地で婚約したあと、’06年末に日本に帰国。現在、夫婦共に田中紺氏の実家のレザークラフト会社バンカクラフトで働く。

観る、観る、観るようになった?!

岩崎(以下I):美帆さんは長年アメリカで生活されたあと、婚約を機に日本に帰国されたわけですが、日本に帰ってきて一番初めに気付いたり、思ったりしたことはなんでしたか?

田中美帆(以下M):そうね……。まず思ったのは、例えば、みんな同じお笑い番組を観てたり、同じネタを共有してたり、「あれって面白いよね」とか「これは絶対に面白くてこれは凹む」みたいな常識があるとこかな。アメリカだとそういうのが少ないから、そういう意味では向こうにいるときのほうが楽だったね。

I:でも、美帆さんはやっぱし友達もちろん欲しいでしょうから、みんなについていこうとして、その人気番組とかやっぱり……。

M:観る、観る、観るようになった(笑)

I:やっぱり観るように努めたんですか(笑)

M:努めましたね。で、努めていると怖いことに、面白くなってきちゃうのよ。なんか、最初とか、日本のお笑いとかあんまり分かんなくて、“What are you laughing about?”っていう感じだったんだけど、しばらく観てると「あ、面白いじゃん」みたいに、なんかツボが分かってくるようになってきて(笑) だけど、それって慣れてくれば楽しいけど、慣れるまでは大変だと思うわ。

I:へぇ~~~~~。

スポーツジムにデビューする。

M:そういう葛藤もあったけど、でもやはり一番困ったのは、人との付き合いかな~。特に、女性って大事じゃない、その、ご近所との付き合いとか。

I:公園デビューとか?

M:本当ね、それだね! うん。私が一番最初に困ったのがジム、スポーツジム・デビューかな。向こうって結構ぜんぜんもう個人個人じゃない、みんな好き好きで。なのに、こっちって派閥みたいなのがあるみたいなのね。

I:そうなんですか!

M:そうなの。なんか、いつも会うグループの中に中心人物みたいな人がいて、その人が「あの人っておかしいわよね」って言ったら、それが絶対みたいな(苦笑) 「え~!? なに? この世界」って思って、なかなか入っていけなくて、結局そのスポーツジムはやめました。はい(笑) 「めんどくさーい」とか思って。

I:ただ、スポーツジムは運動の場所であると同時に、交流の場でもある程度ありますからねぇ。

M:うん、なんか、別にわたしは一人でもOKだったんだけど、同じクラスとか、同じタイミングでシャワールームに行って、サウナとか入ってると、みんな「○○さんってさぁ、○○よね~」みたいな内輪な話をしゃべってるの。どのタイミングでジョインしていいか分かんなくてさぁ……。

I:うう~ん。

M:多分、最初に「初めまして。こんにちは。田中です。初めてなんで、よろしくお願いします!」って言えばよかったんだと思うけど、アメリカンなノリで“Hi!”みたいな感じで入っちゃったから、「この人何者?」っていう感じになっちゃったんだと思う。それからなかなか入るのが難しくなってしまって。

I:それで、今はどうされてるんですか?

M:今はそのスポーツジムじゃなくて違うジムに行くようにしました。

I:で、そこではちゃんと「こんにちは、初めまして」と?

M:そうそう「こんにちは、初めまして」って。「感じのいい日本人」として受け入れてもらえるように、気をつけてます(笑)

田中紺さん登場

I:それでは早速お訊きしたいのですが、紺さんは、やはりサンディエゴに行かれて、アメリカで俳優をされるつもりでいたのですか?

田中紺(以下K:)まぁ話すと長くなるんだけどね(笑) もともとは、普通に大学を卒業して、サラリーマンやってました。それでうちは自営だから、まわりや家族はゆくゆくは継ぐだろうと考えているでしょ? で、そこを飛び出してきたわけだから、アメリカでいきなりアクターやりたいとかっていう建前では行きづらかった(汗) だから、MBAを取りにいくと言って、なんか「全然興味ねぇ~」と思いながら2年間も勉強して、それでサンディエゴでその学校を終えたあと、次にロスに行こうと思ったんですよ、最初は(笑)

K:それでハリーウッドのアクティング・スクールに行ったんだけど……。なんかねぇ、雰囲気が好きじゃなかった。なんか、もろにお金というか、みんなアクター、パフォーマーやりたいのか、有名になりたのかっていうのが、よく分からない感じで。それでニューヨークに一回遊びに行ってみたら、なんか芝居具合というか、シアターの感覚で、ロスはどっちかというと映像の世界だったから、舞台で鍛えてからロスに行くのもいいなぁっていう感じで、ニューヨークに住み着いちゃったわけです(笑)

I:そうだったんですか。それでお二人の馴れ初めはニューヨーク……。

M:そう。向こうの劇団の即興演劇クラスで初めて会いました。

K:実はうちらは12歳違うんだけど、意外と初めから意気投合で。僕は26、7ぐらいでアメリカに行ってるから、その前はずっと日本なわけで、ヨメともぜんぜん育ちも違うんだけど、なぜか妙に話が合うところがあって。なんかこの人いやに……。

M:日本ぽいなぁって?(笑)

K:古くさいな、昭和っぽいな~っていうのが、第一印象だったかな(笑)

M:うん、でも逆にそういう教育受けなかった?!

I:……なんか、アメリカにいたからこそ、みたいな……。

M:逆に日本ぽい教育みたいな。

I:逆に日本を残したいなぁって。

M:そうそう。それで、親が昭和の発想のままアメリカに行っちゃうと、どうしてもその古いままで子供を向こうで育てちゃうと思うの。それで、子供は子供で他の日本のテレビだとかメディアにあんまり洗脳されないまま古い教えを受けるから、わりと感覚というか、感性が古くなると思うわけ。

取って置きの質問?

I:それでは、ここで話題を変えて、取って置きの質問をお訊きしたいと思います。そこで質問ですが、ジャジャ~ン! 例えば、血液型で言えば、どの血液型が海外生活には一番向いていると思いますか。

M:ほほほ。ああ面白いじゃん、面白い。

K:面白いね。……まぁ一般的にAが真面目で几帳面っていうでしょ。個人的にはA以外の人が合うんじゃないかなぁと思うんだけど。あんまり細かいことにこだわり過ぎる人は、大変だと思う。だって、色々な違いがいっぱいある海外で、一回一回腹立ててたりとか、落ち込んだりしてたらやってられないでしょ。だからある程度……。

M:O型みたいにのんびり、おおらかな感じの人のほうが向いてるんじゃないかなぁ。でも、例えば自分の子供をアメリカに行かせるとしたら、A以外がいいね。

K:確かに、マイペースな方が向いてるかもしれない。

I:なるほど、マイペース。

M:じゃないとA型の頑張り屋さんがいたら、それでがんばって何かGETできるならいいけど、押しつぶされちゃう気がするんだよね。ちなみに私はABなの。

I:AB? ABって二重の顔持ってるとか?

M:良く言われる(笑)

K:良く知ってるねぇ。アメリカ人ってあんまり血液型言わないでしょ。

I:いや、僕、今日のために色々と勉強してきたんです(苦笑)

M:マジで?(笑)

I:長いあいだ色々とありがとうございました。それでは、ここで最後に、美帆さんから帰国子女の後輩たちに、何かアドバイスの一言をお願いできないでしょうか。

M:帰国子女にもさまざまなステージがあって、2、3年で帰国した人、10年以上たって帰国した人、それぞれ違った壁や悩み、苦労があると思います。「帰国なのにしゃべれないプレッシャー」だったり、「ズレてる日本人扱い」されてしまったり。過大評価されてしまったり、認められなかったり。でも、どんな期間でも海外で経験したことは人生の糧になってるし、今の自分の価値観や人間性に自ずとつながっていると思います。

M:Be proud of  yourselfで濃い人生を送ってください!

バンカクラフト® :http://www.vanca.com/

インタビューアから一言

田中紺さんとお会いするのは今回が初めてでしたが、田中美帆さんは僕の大学の先輩で、生い立ちも自分と重なるところが多いので、非常に楽しいインタビューになりました。お二人とも色々とエピソードが盛りだくさんな生活を送られてきているので、話が一回も途切れず、あっという間の2時間でした。美帆先輩、そして紺さん、これからも色々とよろしくお願いします!
interviewer_s_55_profile.jpg 岩崎元太。1986年、東京都品川区生まれ。幼少時代から小学3年生まで品川で過ごし、小学3年から大学4年生までアメリカで暮らす。アメリカの大学でUrban Studiesを専攻後、’08年に早稲田大学に第3年次編入。現在法学部に在籍し、英米法の宮川ゼミに所属する。