海外生活体験者・社会人インタビューvol.37

interviewee_s_86_profile.jpg 藤崎壮滋さん。1974年千葉県生まれ。小学校3年間をブラジル・サンパウロ、高校時代をアメリカ・シアトルで過ごす。京都大学法学部を卒業後、6年間のIT企業勤務を経てフリーに。創業した零細貿易会社を運営しながら、タイに住んだり、好きな学問に打ち込んだり、京都のまちづくりに参画したりの日々を過ごしている。

京都大学には出会いがない?!

ところで、山下くんは、京都に4月から来ているわけだけど、もう京都の美味しいもの食べた?

―いや~、郷土料理って、何回か食べてみたんですけど、当たりじゃなかったんだと思います。親と一緒に、あまり美味しくなかったねとか言ったりしてました(笑) でも、発掘は続けたいです。大学周辺の安い店なんかは、友人と一緒に散策しているので、安くて美味いものは食べてます(笑)

そう言えば、大学の中に立派なレストランがあるそうじゃない?

―あれは学生が行くような場所ではないです!! フランス料理のフルコースとかがメニューらしいので、一食3万円近くするとか噂を聞きます(笑) そんなものは食べられないですけど、気づいたらお金は飛んでいますね(苦笑)

学生の時のお金は、彼女絡みだったなぁ……(苦笑)

―大学に女の子は少ないですね~。経済学部の女の子人数も、他の学部に比べて相対的に多いだけです(笑)

俺も現法研っていう法学部のサークル所属で、そこは男9対女1だったから、大学では出会いがなかったなぁ。主に合コンだったかな~。

でも、今考えたら行くところ行ったら大丈夫だと思うよ。事業戦略と同じで、ターゲットを定めて、その居場所を見極めて、そこに自分のリソースを集中投下すると。向こうも向こうでニーズがあるので、噛み合うはずだよ(笑)

まあ、大学界隈を知っているだけに、あの周辺じゃ出会いを期待することは無理だろ。基本的に、講義受けて、飯食って、帰って寝るだけじゃない? 釣り糸も垂らしてないのに、それじゃあ、出会いなんてあるわけないだろ(笑)

俺の方が逆に出会いあるのかも?! 今度よかったら紹介してやるよ(笑)

(注文お願いします)

あ、じゃあチキンサラダと……ナスの一本漬。それとビール2つ。

かんぱーい!

―かんぱーい! お疲れ様です!


京都の街並みを作る

あ、そうそう、来年の4月から多分京大の院に行くよ。

―え?! そうなんですか?(笑) 大学院で何を学ばれるのですか?

京都市伏見区みたいな街の将来を考える学問をしたいわけよ。どこでそれを学ぶかだけど、京大の院には地球環境学舎っていう大きな枠があって、そこは、法学部の環境政策、経済学部の環境経済学とか、工学部の水圏化学とか、農学部の森林学・生態学とか、環境っていう切り口で寄せ集めたとこなのよね。ここなら環境からまちづくりを学べる。あと、都市の交通政策とか上下水道とか河川とか、いわゆる都市工学から入るなら、桂キャンパスにある工学研究科だね。

―どういう経緯で地域政策を学びたいと思ったのですか?

RTNのインタビューっぽくなってきたね(笑) 京都って不思議な街で、歴史だけではないのよね。割と最先端だけど、自然もある。学問も盛んで、京都市内には37もの大学があって、寺の力も強い。それらが重層的に重なり合って、そんな場所は中々他の場所にはないの。大学生活を京都で過ごせることは、凄いラッキーなのよ(笑)

ビール上手いねぇ。。。で、続きか(笑) 海外に長くいると、日本の文化に逆に目覚めるのよね。日本の文化を大切にしたいと思ったわけ。で、京都を選んで、たまたま来た伏見に一目惚れをしたって感じ。このまちを守り、創っていきたいって、実は伏見でもう家を買ってしまったのよ(笑)

―伏見は酒造メーカーが集っていますね。お酒好きにはたまらないんだろうなあ……(笑) 今までは、RTNのインタビューって聞くと、堅苦しいイメージだったんですけど、今回はお酒を飲みながらのインタビューで、個人的には非常に新鮮で、今回のインタビューは好きです(笑)

あ、神聖の冷酒2つお願いします(笑)

―神聖ってどんなお酒なんですか?

山本本家で作っているお酒の銘柄だよね。伏見の銘酒。美味いねぇ(笑)

RTNプロジェクトの課題

RTNプロジェクトに関しては、言いたいことはいっぱいあって、そもそもが、帰国子女っていう冠をかざしていること自体が嫌なんだよね。RTNはreturneeの略だよね? ターゲットは海外で暮らしたことがある人全てなんでしょ? だったら帰国子女を意味するRTNはやめた方がいい。そもそも、帰国子女って言われるのは、せいぜい大学生活の間だし、社会に出たら何も関係ないよ。

―僕もそう思います。結局は個人の問題で、優秀なやつが残っていくだけですよね。境遇が帰国子女だったか、そうじゃないかだけだと思います。ただ、RTNプロジェクトは、日本にいる外国人とか、海外生活体験者全体を対象にしてますし、そうじゃない人も含めたオープン・エンディッドなプラットフォームを目指してます。

高々と海外生活経験者をネットワーク化してプラットホーム化するとか言っているけど、学生向けのコンテンツしかないね。社会人には読むところが少ないんだよね。俺にもう一度就活をやれってか?(笑)

それと、プラットホーム、平たくいえば人が集まってくるようにするには求心力とかキーコンテンツとかがいるけど、RTNのそれは何なの? mixiにも海外生活体験者のコミュニティだってあるのだから、わざわざ新たに立ち上げるのなら、何か他では出来ないようなものを打ち出して、RTNに行けばこれがあるよっていうものが必要だよね。インタビューとか活動報告とかには、よく読むと面白い内容もあるけど、整理されてないし、キーワードから記事を検索する機能もないし、全部読むのって結構たいへん。

―まだ、立ち上げて一年半くらいの団体ですし、リソースも限られてるから、仕方ないところはあると思いますが、確かに、今のところは、そのようなコンテンツはないです。これからHPも充実させようと思います!

ユーザーという立場の俺からしたら、RTNの人材データが欲しいんだよね(笑) 誰が、今何何しているとか、どこから来たとかのデータ・べース。そうしたら興味ある人間には、こっちから勝手に連絡するのにさあ。内容次第ではRTNのHPにのっけてやってもいいぞと(笑) ある情報を基にして、さらに付加価値のある次の情報が生まれる。それに刺激を受けて誰かがまた動き出す。これって、まさにRTNの設立趣旨と違う?

―LinkedInのような仮想人材バンクですか? なるほど、それは求心力になり得そうですね。是非、藤崎さんにお願いします(笑)

インタビューを通してまなぶこと

―個人的に一番思うことはインタビューですね。毎回、インタビューで何を聞いたりしたら良いのかわからなくなり困ります。何かアドバイスをもらえますか?

それは結局、編集長がいないからなのよね。編集っていうのは本来色を出すべきで、色だしっていうことは、つまりどこに力点を置くのか、どの切り口でこの人を攻めるのか、という大方針のことなんだけど、それがはっきりしないと読んでいても面白くない。俺は、帰国子女は若い時から色々な文化を観ているから相対的にものを見ることができると、普通の日本人とは違ったものの観方をできるはずだと、思ってるんだよね。だから、今号は日本文化、次号は社会起業、その次は各国の教育制度とか、そういうキーワードで大方針を決めれば、内容も他にない面白いものになるだろうし、自ずからインタビュー対象も、インタビューアが聞く内容も見えてくるよね。

―出来る限り、インタビューアに任せて、記事も出来る限りオリジナルを尊重するというのが、RTNプロジェクト海外生活体験者インタビューの編集方針なんです。ただ、3、4回生に比べたら、1、2回生なんて就活や社会の話なんてわかってないと思うので、3、4回生がインタビューした方が、質問などもより深くなって有益になるのではないかって思います。

就活ねえ。そんなの俺の人生のごくごく一部よ。もうちょっと大きく考えてみてさ、この時こうこう、こういうことをしていたから、今のこういう自分があるのよって考えてみたら、就活以外にも聞くことってあると思うのよね。絶対、その方が面白いと思う。就活だけのためなら、他にもサイトはたくさんあるしさ。

―確かにそうですね! 結局はインタビューア自身の関心の持ちようですよね。自分自身が聞くべきことを持っているのかどうか。耳が痛いです(苦笑) それにしても就活ですか……2年後です。大学生活は、もう8分の1以上が終わってしまったので、就職活動まであっという間なのでしょうね。

帰国子女って親の職業をなぞることが多いのよ。若いころから世界を観て来たのに、日本にこれが足りないとか、国際支援をしようとかが、出てこない。いや、発想としては持ってんのかな? でもそれが行動にならない。結局、商社とかマスコミとかに行くプチ・エリートがほとんどなのよ、帰国子女って。

でも全員が商社マンとかマスコミって面白くないじゃない。俺が世界の貧困を解決するんだ!とか、海外で暮らした結果農業に目覚めました!とか、金にならないけど社会貢献したいんです!とか、そんなのがいてもいいよね。俺は河合の帰国3期生だけど、そろそろ何かしら毛並みの違うのが表に出てきてもいいんじゃないかなーって、果報を寝て待っとる(笑)

―それは、すどうさんもよく言ってます(苦笑) とりあえず、僕は親の職をなぞろうとは考えてないです! やりたいことをやりたいですね。もちろん、嫌だけど必要なことはします。

そういうのが大事だと思うよ。そういうぶれないものが必要で、そういう一番大事にするものっていうのが、最終的に自分自身になっていくのだと思う。多分これからの何年かっていうのは、ぶれないものを探す何年かだと思うよ。

―頑張ります! 今日はありがとうございました。

まだ、飲むぞ!(笑)

インタビューアより一言

今回は酒造メーカー集う伏見でのインタビューでした。お酒を飲みながらの一風変わったインタビューが面白かったです。インタビュー前には、藤崎さんに伏見の有名どころ案内をしてもらい、インタビューというよりは観光でした(笑) 坂本竜馬ゆかりの「寺田屋」にも連れて行ってもらいました。藤崎さんと来年からはキャンパスで会うことがあるかもしれないので楽しみです。これからもよろしくお願いします!!
interviewer_s_57_profile.jpg 山下博之。1988年神奈川県生まれ。小学校6年生の時に渡米し、カルフォルニアに在住。以後、日本人学校に10年生まで通い、その後、現地の高校に転入し卒業まで在籍。帰国し、京都大学へ入学。現在、経済学部1回生。