海外生活体験者・学生インタビューvol.40

interviewee_s_88_profile.jpg 芳住啓輔さん。1984年札幌に生まれる。現在、北海道大学工学部応用科学化物質化学専攻4年に在学中。大学3年生次に、ドイツ・ミュンヘン大学に1年間留学。帰国後、”StuSta(シュトゥシュタ)”という団体で、ボランティア活動を行っている。

今回インタビューを受けていただいたのは、北海道大学工学部の芳住啓輔さん。彼のドイツへの留学滞在経験と、それを活かした帰国後の活動について、お話を伺いました。

留学に向けてキックオフ

―海外に行こうと思ったキッカケは何ですか?

えーっと、日韓共催ワールドカップです!(笑) このワールドカップの、札幌ドームでの試合を見て、海外に興味を持ち始めたんだ。それで「大学生になったら06年のワールドカップのときに、ドイツに留学しよう。きっと、多くの国からたくさんの人がくるはず。」と思って、北大に入って留学することを目指して頑張ったんだ。北大の協定校にドイツの大学があることは、入学前に調べてあったから。

ドイツを選んだ理由は、当時それほど深くは考えてなかったんだ。でも、「英語圏以外に行ってみたい」「いろんな国から来た人に会いたい」「サッカーが好き」っていう3点セットが、ドイツに行けば叶うと思ったからね。

ドイツでのボランティア活動との出会い

―では、ドイツのミュンヘン大学に行ってからは、どのようなことをされたのですか?

もちろん、学生としてちゃんと勉強してたよ(笑) それと、ミュンヘン大学は日本学が盛んだったので、教授の授業のお手伝いとかしたりもしてたなぁ。

具体的には「授業の人数が多くて、教授が生徒の課題を全員分見られない!」ということだったので、対話の練習とかをしているときに、教授とは別の生徒を見てまわって、「ここは~っていう文法を使うんだよ」とか、「ここは○○って文法使うといいよ」といったアドバイスをしてた。ほとんど教授と同じことしてたかなぁ。

―ミュンヘン大学は日本学が盛んだということは、留学前から調べてあったのですか?

いや、調べてないよ(笑) 向こうに行ったら、実は日本学が盛んでした、といった感じかな。ミュンヘン大学に先に留学してた日本人の先輩たちから、こういった活動を紹介してもらったんだよ。この活動が縁となって、ボランティア活動もするようになったね。例えば、日本ドイツ協会っていうのがミュンヘンにあって、そこが年1回、「日本祭り」というのを開催してるんだ。結構デッカイ祭りだったから、そこでボランティアとして働いてたよ。

その日本祭りは、着物の着付けがあったり、能の演舞があったりして、能には人間国宝の方が来て演舞を見せてくれたんだよ。僕はボランティアだったから、3回もタダで見ちゃったね(笑)

―いいですねー(笑) ボランティアならではの特権ですね。

帰国後と“StuSta"

―日本でもボランティア活動をされていると伺いましたが、それは、ドイツにいた頃のボランティアが関係してるんですか?

直接は関係ないんだけど、僕がミュンヘンにいる間、僕の先輩にあたるドイツ滞在経験者の人が札幌で立ち上げた活動で、“StuSta”というボランティア活動をやってるんだ。

先輩が立ち上げた当初は、ドイツに興味のある人、ドイツに行ったことがある人、これからドイツに行く人、ドイツに関わることを教えている人といった、ドイツに関係の人たちが集まって、留学の情報を交換したり、単純にドイツ語を話そうとしたり、そういうコミュニケーションの場を作る活動をしていたんだ。僕が帰国したころには、それを立ち上げた先輩はもう卒業間近だったので、僕と友人の2人が、そのまま引き継いだようなもんなんだけどね。やる気も満々だったし。

今では、そういった会合は月1回くらいの頻度で行っているよ。他にも、これが縁となって、個人的に活動していることもあってね。例えば、札幌国際プラザというところから、ボランティアやオフィシャルな活動を斡旋してもらったりもしているし、北大の留学生センターのお手伝いなんかも、割と頻繁にやってたりするよ。

―日本にいるドイツの人や、ドイツに興味のある人たちを結ぶ媒体といった感じなんですか?

初めはそうだったんだけど、次第に収集がつかなくなってきて(笑) ドイツだけではなくなってきたんだよね。例えば、ドイツからの留学生が、他の国からの留学生友達を連れてきたりとかして。後は、有名なところでいうとJICA。StuStaへの参加が多いのは、南米に住む日系人で、1年間、派遣として日本に働きに来てる人たちかなぁ。ドイツ語は話せないけど、こういう交流の場を求めてやってくる。こうやっていろいろ通じていくと、一回の会合で9ヵ国くらい集まることもあるのさ。だから、最初に想定していたものよりも、規模が大きくなってる。

ドイツから来る人も、また、いろいろな人が来るんだよ。留学生はもちろんのこと、ドイツ語の教師だったり、インターンシップをしにきている人だったり。あと、兵役を逃れてくる人もいるんだよね。ドイツは、兵役かボランティアをしなきゃいけなくて、それで、日本にボランティアに来ている人とかもいるのさ。こういう人との出会いは、札幌国際プラザが紹介してくれたりすることが多いんだけど。

こうして出会った人たちと、会合だけでなく、いろいろな活動をしたりするんだよね。例えば、札幌の「雪祭り」とか、「ミュンヘン・クリスマス市」とか。そして、またそこで、新しい人に出会って、“StuSta”に誘って……といった感じで、規模が大きくなっていったのさ。僕も友人も、いろいろなところをチョロチョロしてるから、いろんな人に出会って(笑)

―すごく魅力的な活動ですね。なぜ僕は今まで知らなかったんだろう……。ちなみに、“StuSta”とは、どういう意味ですか?

それは、僕らがミュンヘン大学に留学していたころの学生寮の名前なんだよ(笑)

―そうなんですか(笑)

“StuSta”とRTN Project

―北大にも、海外から来た人と交流するサークルや団体などがありますけど、そういったものに入ろうとは思わなかったのですか。

うーん。そういったサークルや団体は、「北大生だけ」とか「学生だけ」とかいう縛りがあって。僕はそういうのは嫌で、サークルに所属しなくてはいけないといった縛りを設けず、誰でも自由に、自分の都合が合うときに参加して、交流を深めていく……といったスタイルを取りたかったし。

―まさに、RTN Projectとそっくりじゃないですか!

そうだね(笑) 僕も最初に荘一郎くんからRTNの説明を聞いたとき、「似てる」って思ったもん。でも、僕たちの活動は、RTNと違うところがふたつあって……。

ひとつは地域に根ざした活動を主としていること。ネットでの情報交換よりも、実際に会うことを重視しているし、札幌で開催されているイベントに積極的に参加してる。まぁ、僕は札幌大好きだからね(笑)

もうひとつは、あまり大々的に宣伝をしていないこと。交流を深めることや、地域に根ざした活動をしたりすることを主としているから、ただの飲みサーのようになることだけは避けたいのさ。だから、不純な動機を持った人とか、海外経験を鼻にかけているような人とかには、ご遠慮願いたくて、あまり積極的な広報活動をしていないんだよね。それに、この団体に合う熱意ある人には、僕がほっつき歩いているときに出会えたり、もしくは向こうから来たりと、出会いが必ずあるから。

―なるほど。では、他の地域に、“StuSta”と似たような団体があったとして、そこと会ったりとかはされないんですか?

それは厳しいかなぁ(笑) いろんな人がいるだけに、会うためだけに長距離を移動するのは、なかなか大変だからね。それをするなら、地域に根ざした活動を一緒にたくさんするほうが、コスト・パフォーマンスの面でもいいし。ただ、ノウハウの共有なんかはやっていきたいなぁと思う。

―RTNからも、ぜひノウハウの提供をお願いするかもしれないので、そのときはよろしくお願いいたします。

いつでもどうぞ(笑)

情報はぁ~歩いてこない、だ~から歩いてゆくんだねぇ~♪

―大学卒業後については、何か考えていることとかありますか?

いや、実は全然ないんだよね(笑) 僕、4月からまたドイツに半年留学して、その後、オーストリアに、今度は2年間留学するんだよ。この留学は、一回目の留学とは違って、入学当初とかは全然計画してたものじゃなくて、去年の2月くらいに、「よし、行こう」と思って決めたものだから。そんな感じで、勢いに任せたところもあるから、具体的なことは何も。ただ、海外に滞在できる仕事には就きたいなとは思うかな。

―エネルギッシュですねぇ。

まぁね(笑) “StuSta”が、実際に会うことや地域に根ざした活動を中心としているのもそうなんだけど、やっぱり、何かに出遭うには、自分からアクションを起こさないとね。情報は歩いてこないから、会ってもらってこないと。芋は、芋も蔓も土の中だけど、蔓のところまで歩いていって、労力惜しまず引っ張れば、それこそ芋づる式にたくさん出てくるでしょ?

―おぉ! 確かに。

最後に一言

―では、最後に一言お願いいたします。

海外滞在経験は、帰国子女にしろ、留学生にしろ、それをそのままにしていては、無駄になってしまう。ひけらかすのは良くないけど、前向きに使いましょう。印籠は、上手く使わないとね(笑)

―今日は、ありがとうございました!

インタビューアから一言

インタビュー後も、札幌で行われている海外交流イベントについてお話を伺いました。芳住さんとお会いするのは、実は今日でまだ3回目でした。そのキッカケとなったのは、僕が10月に知り合った留学生の友人に誘われた会合です。その友人と知り合ったのも、僕が授業で一緒だった彼に、話しかけたことから始まりました。その一声のアクションが、3ヶ月後には、札幌で盛んに行われている海外交流イベントへの第一歩に結びついたと思うと、行動力の大切さを改めて実感しました。芳住さん、素晴らしいお話をありがとうございました!
interviewee_s_41_profile.jpg 木村荘一郎。1987年生まれ。神奈川県相模原市、栃木県足利市、米国オハイオ州ダブリン市、東京都三鷹市と転々とし、現在は札幌市にて北海道大学経済学部2年に所属。興味の赴くままに活動し、現在は3年生のとき何に没頭するかを模索中。