海外生活体験者・学生インタビューvol.39〜第3編〜

interviewee_s_84_profile.jpg 山田尚輝さん。1987年愛知県豊田市生まれ。中学2年生の時に渡米。アメリカのミシガン州・デトロイト郊外にて中学・高校時代を過ごし、卒業後単身で帰国。’07年4月に早稲田大学に入学、現在は法学部2年に在籍中。2年次を通し、緑法会のゼミ内にて、刑法レクチャー・チーフを務めている。早稲田大学射撃部にも在籍。次期OB主任。

―そう言えば、そんなお忙しい中、射撃もしていらっしゃいますよね?

大学に入って新しいこと始めようって思ったときに、一番最初に勧誘されたのが射撃部だったの。いろんなことに好奇心もって、挑戦して行きたいって思ってるから、アメリカ時代も、いろんなことに挑戦してはやめ、挑戦してはやめをしていて。早稲田に入ったら、登山部とかカバディとか、いろいろあって、だからなんか、新しいスポーツをやってみたいなと思ってたんだ。

入ったはいいけど、部活ってきついね……。あれはすごい! びっくりした。未知の世界だった。まずさ、入ったとき4年生が15人、3年生が15人、雑用をする2年生が7人、1年生が6人っていう酷い状況で、逆ピラミッド状態だったの。で、最初に新人合宿みたいなのがあって、これがまあ、きつい。

まず、朝6時に先輩方を上から起こしていく。食事の時間はご飯をよそって準備して、最初に監督さんが降りて来て、「おつかれさまです」とおっしゃる。そしたら1年生が全員で「おつかれさまでーす」って挨拶。で、4年生が降りて来て「おつかれさまでーす」。1年生返事、「おつかれさまでーす」。3年生が……以下続く(笑) で、最後に1年生が「おつかれさまでーす」って言って席につく。

「俺は何をしてるんだ」と思いつつ、案外やめるって思わなかったのは、うん、面白かったな。人数が少なかったっていうのもあるんだけど、なんか運命共同体みたいになってて、「ここで俺が倒れたら、他のやつらが死ぬ」って感じだったから。「楽だよ」って言われて勧誘されて、実際入ったら「楽じゃねえよ」っていうとこなんすけどね、ほんとは(笑)

―射撃、やってみてどうでした?

初めて射撃したとき……、射撃ってさ、たぶんさ、弓道よりも動きが少ないのね。たぶん、スポーツの中で一番少ないんじゃないかな。最終的に動くのはここだけなの(※実演していただきました)。それ以外は動かしちゃいけない競技なのね。

本当に、新しいこと始めて見たかったっていうのが、正直なとこ。射撃が自分にあってるとは、あんまり思わないし。でも、射撃部入って、競技以外のことで学んだことっていうのが、多かったかな。いろいろと、なんて言うんだろうな。射撃も面白いのは面白いし、撃ってて点数が出れば「よし!」とは思うんだけど、それ以上に射撃っていう一つのものに対して、いろんな人がいて、例えば主将がいて、主務がいて、OB主任がいて、いろんなポジションの人たちが、それをまわしてく、動かしてくっていうのが、垣間見られた。

たぶん、普通の人たちが会社に入ってから初めて体感するようなことを、先取りできたっていうのは、デカかったと思う。射撃部としては、競技真面目にしろよ!って言われるかもしれないんだけど(笑)

―いろいろな人が回していく……ですか。何かひとつ、エピソードなどありますか?

射撃って、60発10点を狙い続ける競技で、自分で標的を交換しようにも、火薬銃になると、50m先に標的があるから自分で交換は出来ないわけ。で、一年生のときに「監的」というお仕事があって、先輩が撃ったらその的を下げて、標的を換えて上げるっていう作業を、ずっとやってたの。それも部の仕事の一つであるんだけど、寒いし面白みもない作業ではあるんだよね。

ただ、ある先輩が部の新記録を出したときに、監的やってたのは自分で、そのとき、一言ぼそっと、「監的がすごいよくて撃ちやすかった」って言ってくれたってことがあった。自分の仕事ひとつがしっかりしていれば、部の大きな記録が産まれる。いろんな人が部にかかわっていることを実感した出来事ではあったなぁと思う。

正直ね、競技面では、あんまりレギュラーになったこともないし、自分は部の一員だっていう実感も、そこまではないんだけど、ただ、さっき言った刑法レクチャー・チーフと同じように、小さな仕事をひとつひとつやっていくうちに、あ、これよかったな、あれよかったなっていう、満足感、達成感かな? そういうのを感じたときに、「ああ、俺、射撃部やっててよかったな」って。

しかも射撃部でさ、幹部になっちゃってさ。OB主任補佐だよ(笑) だから、将来的にはね、射撃部のOBの方々が集まったときには、俺が接待をして、ビールを注いで、OBの「面白い」話を聞かないといけないの。知ってる? ビールを注ぐ時にはラベル上なんだよ。(「えー、そうなんですか?!」)そうだよ! そうじゃなきゃいけないらしい。裏見せちゃだめなの。……そういうことなの。そんなふうに、作法も覚えたしね。

―学んでみて、作法について、今どうお考えですか。

すごく大事だと思う。やっぱりね、結局、最初人を見る時に判断するのって、その人の話し方とか作法とか、所作とかだと思うんだよね。第一印象を覆すのは、厳しいっていうか、難しいって最近感じつつあるんだ。作法というか、人に対して挨拶をするとか、細々したこと、それも作法といえばそうかな。

それって正直、めんどくさいっちゃめんどくさいけど、タダでやれることなわけよ。それで第一印象良くなって相手が良く思ってくれて、相手が自分のことを喋ってくれたら、こっちにとっても、あとあとやりやすいし、その人のこと知ることができるし。それこそ、コミュニケーション・ツールとして、作法っていうのは大事だなって思うよ。挨拶をしっかりする。悪いことしたら謝る。そういうことしてるだけで、いろいろ変わってくるんじゃないかな? みんなが自分を見る目とか。人に会ったらしっかり挨拶した方がいいです。……と、部活の後輩には言ってる(笑)

後輩が今年15人はいって、人数が多いから、まとめんのめんどくさい(笑) 正直、頭下げるのはタダだし、頭を下げたことで、後々自分の評価があがると思えば、下げるのが嫌で拒否するっていうのはなんか違うだろ、そこらへんのチョイスは自分で考えろって言ってるんだけど。まだ高校上がりの子たちはなかなか聞いてくれないのがつらいなぁ(笑)

後輩の指導は本当に難しい。本当に人にものを伝えることの難しさ。今頑張って探求してるんだけど。上手く言語化しないと伝わらないって後輩に言ってるけど、自分も出来てない。いつになったら出来るのかわからないけどねー(笑)

部活はそんな感じでやってます。部活は、競技っていうよりは、人間関係を学ぶ場って位置づけてやってる、今。正直いいます。自分は練習しても、全然あたんねーんだよ(笑) あたんねー以上、競技にのめり込むよりも、別の方向を探ってみようかと。違う方向からアプローチしてみようかと。常に他のところでも心がけているんだけど。第4編はこちら>>

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倉門亜実。1988年、東京生まれ。国内を幾度か移動した後、中学2年でスイス・ジュネーヴに移り住む。インターナショナル・スクールを卒業後、帰国し、現在は早稲田大学法学部1年に在籍。