活動報告 vol.21 徳橋功

インタビュー・サイト「My Eyes Tokyo」の徳橋功さんが、ついに本を出版されました! その苦闘の準備期間5ヶ月の足跡も含め、出版体験記をご報告いたします。徳橋さんには既にインタビューにご登場いただき、また、山口絵理子さんへのインタビューについてもご報告いただいております。そちらも併せてご覧ください。徳橋さん、本当におめでとうございます!

interviewee_s_58_profile.jpg 徳橋功さん。1973年千葉県習志野市生まれ、四街道市育ち。明治学院大学経済学部経済学科卒業後、テレビの制作会社に入社し、報道番組に3年携わる。 ’01年2月に、米国カリフォルニア州にある、現地のテレビ局でインターンをする。’02年日本に一時帰国。’03年2月、今度は同じくロサンゼルスの日本語テレビ局に入社。’04年4月に日本に帰国。現在は衛星放送のニュース番組に携わる。その傍ら、’06年10月に、東京に住む外国人・国際派のインタビューを集めたサイト、「My Eyes Tokyo」を立ち上げる。趣味は音楽・旅行。

活動報告

今年3月25日、私が運営するインタビュー・サイト「My Eyes Tokyo」(http://www.myeyestokyo.com)の記事を、書籍として出版いたしました。私がこれまでインタビューしてきた約40人の中から、日本茶カフェ店主やそば職人、ミュージシャンなど、10人をピックアップし、最新の情報をアップデートした上で、掲載しました。また、サイトには掲載されていない特別インタビューも1本、合計で11人のインタビューを掲載しております。 report_20tokuhashi_1.jpg

書籍化を考えたのは、「自己満足からの脱却」を図りたかったからです。それまで私は、翻訳などをお手伝いしていただくことはあったものの、基本的にはサイトを一人で作成・運営していました。発注者は自分であり、受注者も自分。締め切りも特に設けていない。全てを自分一人でコントロールできる状態です。

しかし、そんな状況で、果たして本当にクオリティの高いものを作れるのか、という疑問が生じました。世の中の製造物には、ほとんど全てに発注者と受注者がいて、しかも、その2者は別の人間(または組織)であることが普通です。だから、私は編集者を発注者に据え、自らを受注者とすることで、締め切りを設けクオリティの高いものを作ろうと考えました。それが書籍化を考えた第一の理由です。

私は、サイトの書籍化に賛同していただけそうな出版社に、いくつかメールであたってみました。しかし、この不況の中、私の企画にお金を出してくれるところは皆無でした。

ちょうどその頃、幻冬舎の本を2冊立て続けに読み、すごく面白かったので、「幻冬舎はどうかな……?」と考えたのです。しかも、幻冬舎社長の見城徹氏には、10年前ぐらいから興味を持っていました。「今まで他で断られてきたんだから、見城さんが首を縦に振るわけがない。」そう思いながらも、ダメモトで会社のサイトを開いてみました。

すると、この会社に自費出版部門があるではありませんか。自費出版は子会社で手がけていますが、社長は見城氏と共に幻冬舎を立ち上げたメンバーのひとりです。この方の「今まで人々が持っていた自費出版のイメージを覆し、商業出版と比べても遜色ない高いクオリティの本を作っていく」という言葉に賭けようと、問い合わせフォームから私の企画を送りました。

3日後、千駄ヶ谷にある幻冬舎の会議室で、私は2人の編集者と向かい合っていました。彼らは私の企画意図に賛同し、そして、私たちは一番重要なこと、「私が本の出版を通じて何をやりたいか」を話し合いました。

「本を作ってMy Eyes Tokyoの事業化につなげたい。」

「わかりました。徳橋さんの事業化のために、名刺代わりになるような本をつくりましょう。」

それからは1日の休みもありません。掲載するインタビューの選定、本のテーマや読者層の想定から始まり、10人に対する追加インタビューと1人の新規インタビューの実施、そして、またさらに追加インタビューを数回重ね、原稿の執筆、整理、構成の変更を何十回も繰り返していきました。

私は別に本業を持っていましたから、体力的にも精神的にも、すごくキツい。一時たりとも気が休まる瞬間がなかった。だから、出版しようなんて言うんじゃなかったと、後悔したことも何度かあります。

それでも、本を出すことは自分が決めたことですから、このハードルを越えてこそ、自分もMy Eyes Tokyoも、新たな局面を迎えることが出来るんじゃないのか。そういう期待感の方が大きかった。だから、出版までの5ヶ月間、全力疾走できました。

編集者からの容赦ない注文にも、私は全力で応えてきました。心の中では「もう勘弁してよ〜」と泣き言を言いたくなることもありましたが、考えてみれば、そ れだけ私の企画に全体重をかけて下さっている証拠。だから気を取り直し、頭を上げて、「あと一息、もうひと踏ん張り」と自分を励ましながら、キーボードを 叩き続けました。全く寝ずに、全てのゲラに目を通して赤字で訂正し、そのまま会社に出勤したこともありました。
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3月10日。全ての文章の訂正が終わり、あとは出版を待つだけ。あまりにもギリギリの入稿のため、私が自分の目で最終確認をすることは無理でした。出版までの2週間は、出版社や印刷会社にとって怒濤の日々。私にとっては不安を抱えながらの悶々とした日々でした。そして3月24日、著者献本分の100部が送られてきました。

 ……とりあえず問題なし。もしかしたら、インタビュー協力者が完成版をご覧になって何かおっしゃるかもしれませんが、私の目で見た限りは問題ありませんでした。ようやくホッとしました。出来上がった本を手に取り、改めて読んでみて、世の中に自信を持って送り出せる一冊になったと思いました。

そして、これまで5ヶ月間続けてきた作業こそが、自分一人で完結していたら全く不可能だった、本当の「ものづくり」の過程だったんだと実感しました。この経験によって、またひとつ成長できたと思います。

東京という異郷の地で闘う11人のマイノリティたちが、何を見、何を感じ、そして、どう生きてきたのか……。それらがこの本に綴られています。若くてまだまだ大きな可能性のある皆様には、是非読んでいただきたいと思います。海外生活をご経験の皆様なら、必ずどこかに共感していただけるはずです。そして、今後の国際交流に微力ながら貢献できれば本当に幸いです。

My Eyes Tokyo :
http://www.myeyestokyo.com/
社会人インタビュー vol.25 徳橋功 :
http://www.rtnproject.com/2008/05/vol25.html
活動報告 vol.17 徳橋功 :
http://www.rtnproject.com/2008/06/_vol16.html

My Eyes Tokyo マイ・アイズ・トウキョウ (単行本) 徳橋功(著)