海外生活体験者・学生インタビューvol.45〜前編〜

interviewee_s_95_profile.jpg 矢野麻由佳さん。1984年に生まれ、小学校から高校1年まで日本で過ごす。その後、父親の仕事の都合で家族そろってベルギーのブリュッセルに滞在する。インターナショナル・スクール・オブ・ブリュッセルを卒業後、IBを取得して日本に帰国したのち、慶應義塾大学文学部に入学し、医療人類学を専攻。所属サークルではヴォーカルとして活躍し、今年4月からカネボウ化粧品に就職。

バスが道に迷った挙句に、レジで30分総立ち

―ベルギーでの生活はどうでしたか?

ベルギーでの生活はとってもゆるやかで、時間に縛られないで生きているというのかな、日本と違って皆がマイペース(笑) 例えば、私がスーパーに行ったときに、レジのおばちゃんとおじさんが会話を始めちゃって、30分以上話し込んでいるから、当然、他の並んでいる人は皆総立ち。なんだけど、文句を言うどころか、むしろ、「話してるようだから、他の列に並べばいいんじゃない?」といった感じで、みんな他のレジに向かって別々に散っていくわけ。

日本じゃ考えられないよね、ホント。待たされるイライラや早く買ってお店を出たいという焦りは、あまり感じていないみたいだった。もちろん、全員が全員そうじゃないと思うけど、そういった、物さえ買えればそれでいいといった考えだけじゃなくて、知らない人でも、自分と何かしらの関わりがある人とのコミュニケーションも、自分の生活の一部と考えていて、他の人もそれをどこか尊重してあげようという習慣があるからなんだと思います。

他にも、バスの運転手がバスの経路が分からないときって、仕事上そんなことあってはならないことなんだけど(笑)、乗っていたお客さんが集まって、ああでもない、こうでもないと、みんなで話し合い、助け合ってバスを誘導していく光景は、なんとも微笑ましいものでした。日本では文句言って、怒って途中下車してしまうのが普通ですよね?

たぶん、そのせいか、バスが到着時刻に来ないことはしょっちゅうで、日本に長くいた私にとっては多少イライラするものでしたが、ここはベルギーだから仕方ない、と自分に言い聞かせているうちに、だんだん慣れてきました。まあ、悪く言えば、ベルギーはテキトーなのかな?(笑)

晴れのち、曇りのち、雨です

―そうですね。私もスイスに滞在していましたが、矢野さんと同じようなことを感じました。気候や、衣食住に関してはどうでしたか?

チョコレート! 美味しかった!!(笑) もともとそれほどチョコレートは好きではない方だったんですけど、町中至るところにあるので、そりゃあ、手を出してみたくなりますよね? お陰様で、今では大のチョコレート好きです(笑) あと、露店にベルギー・ワッフルを売っているお店もたくさんあって、街中にあまーい匂いが漂ってくるんですけど、ベルギーチョコのソースとワッフルの相性は最高でした☆

―チョーわかります。僕もスイスチョコを食べ続けてきましたから(笑) あ、ちなみに、通は段々ブラックチョコレートを好むようになるそうですよ。もちろん、実体験済みですw

あはは!! なるほど。じゃあ私はまだ食べ足りないのかな? 修行してきます(笑) そうそう、気候に関しては、ベルギーは雨が多いです。だから、天気予報でも、「晴れのち、曇りのち、雨です」とか、天気予報というか、全部じゃん! そりゃどれか当たるよ!(笑) で、結局雨かよ!って、突っ込みを入れたくなる日が多いです。

あと、ベルギーの冬はとっても寒いです! そして、9月くらいからだんだん昼が短くなってきて、あとはもう夜が長くなるだけ。12月から1月なんかは、お日様がようやく上ってくるのは昼ごろからで、17時を境に、また暗くなってくる。太陽もっと仕事しろよ!って感じ(笑) でも、逆に夏は22時すぎでもまだ明るいので、時間を気にせず目いっぱい遊べます。極端なんですよ、ほんと。

―それもすごく良く分かります。夏に昼が異常に長くて、逆に、冬は異常に昼が短いのは、僕もびっくりしました。サマータイムだから1時間進めるとか、不思議な感じですよね。

そうですね。私も、サマータイムだから1時間進めることは知ってましたけど、いまいち実感が湧きませんでしたね。でも、朝起きて寝坊したと思っても、あ、そういえば昨日より1時間早いんだっけって、なんだか安心したような、得したような気持ちがしたのは覚えてます。ほんの数日で慣れちゃいますけどね(笑)

話は変わりますけど、ブリュッセル市内には、トラムという路面電車が走っているんですけど、これがものすごく遅いんですよ。駅から駅まで、信号待ちとかあった場合、下手したら走ったら追いつけちゃうくらい。それに比べて日本はすごいですよね。スイカとかパスモとか。日本に帰ってきて、一番びっくりしたのはそれかな。でも時々、チンチンって鳴りながら街中を優雅に走っていくトラムを懐かしく思うときもあります。

―そうですね。トラムはなんか、可愛らしいところありますよね。外見とか、走っている様子とか。遅くても良し!みたいな(笑)

胸の内からゾクゾクが広がって来て……

―矢野さんの学校での生活はどうでしたか?

私は、こっちに来て初めは英語をほとんど話せなかったので、最初の1年はESLという英語を集中して学ぶクラスに入りました。それからメインストリームに入って、IBのカリキュラムをやったのですが、とても苦労したのを覚えています。でも、IBは大変だったけど良い経験になりました。

学校内の活動では、声楽(choir)のクラブに所属していました。私は中学からずっと声楽やっていて、ブリュッセルに来てからも、学校のクラブに所属して続けていこうと思っていましたので。IBのカリキュラムがハードで、両立していくのが大変だったんですけど、インターの卒業式の時に、Awardの受賞発表式があって、その時にchoir2004Awardを受賞したときは、続けて良かったと心から思いました。そのあとに、全校生徒・先生の前で歌ったんですけど、今までの人生で一番緊張しました。でも、楽しかったかな(笑) 歌ってイイよね☆

Choirは私にとっては自分を知ってもらうきっかけになって、そのおかげで友達や先生とも仲良くなれました。大学でも続けようと思ったのは、そういう理由があったからかも知れません。練習は、週一で、月に何度か全体練習があって、年に何度かはコンサートもありました。歌い終わった後に、観客から拍手が巻き起こると、胸の内からゾクゾクが広がって来て、とても幸せで、気持ちいいです。

―そういった経験を経て日本に帰ってきて、矢野さんが帰国子女として培われたと感じるものってなんですか?

与えられた環境でも、自分はここまで頑張れる、というメタ認知ができるようになったことかな。単純にいえば、適応力みたいなもの。今いるシチュエーションにおいて、自分のキャパシティーが図れるし、もしちょっとオーバーワークなタスクが与えられたとしても、そこまでにどれだけ頑張れば達成できるかが推し量れるようになれた。語学は、わたしより堪能な人はごまんといるから、まあ、オプションかな。後編はこちら>>
interviewer_s_47_profile.jpg 倉門和遠。1986年東京生まれ。高校1年まで日本で過ごすが、その後、父の転勤により、スイスのジュネーブでおよそ4年間過ごす。その後、大学受験のため日本へ帰国。慶應義塾大学に進学し、法学部法律学科3年に在学中。