帰国子女大学入試・合格体験記vol.26

荒木智博さん。1988年静岡県生まれ。東京の小・中学校を卒業後、高校1年の夏から3年間韓国に滞在。Seoul Foreign Schoolを卒業後に帰国し、07年4月に慶應義塾大学法学部法律学科に入学。大学2年までは、バンド活動と遊びに明け暮れる。現在3年に在学し、心機一転、就活に向けて着々と準備中である。

【慶應義塾大学法学部法律学科合格】

滞在年数の短い、慶應文系および一橋志望の受験生へ

最初に言っておきたいのは、人それぞれ受験対策の方法は違うということです。例えば、海外で18年間過ごした人と、私のように3年間インターに通っただけの人を同じに考えるのは、実にナンセンスです。

また、受ける大学・学部によって、選考方法は大きく異なります。自分の経歴や能力、進路などを十分に考慮した上で、それぞれ自分に合った対策を練って下さい。

この体験記は、海外滞在年数が比較的短く(3~4年程度)、かつ慶應文系および一橋を目指す受験生の方々に向けたものです。

慶應一次選考

書類選考です。主に、①統一試験又はIB等のスコア②志望理由書の2点が見られます。私は統一試験による受験でしたので、IB等に関する話は割愛します。

まず、統一試験(SAT&TOEFL)のスコアについてです。これは、大変重要です。なぜなら、慶應文系に関しては、ハイスコアを持っていれば、それだけで受かる可能性が非常に高いからです。統一試験では高い英語力が要求されるため、どうしても滞在年数の長い人が有利になりがちです。私は滞在年数が3年と短かったこともあり、一次合格最低ラインにギリギリのスコアしか取ることができませんでした。結局次に説明する志望理由書でなんとか挽回できたのですが、現地にいる間にちゃんと勉強して、できるだけ高い点数を取っておくと安心だと思います。

次に、志望理由書についてです。どう見ても統一試験のスコアが足りないと思った私は、志望理由書での逆転を狙うことにしました。予備校の先生の指導の下、何度も添削を繰り返してもらい、最終的には1000文字近いものを書き上げました。提出書類の志望理由欄内に収まりきらなかったため、欄内には「別紙添付」とだけ書いて、別紙にプリントアウトしたものをホチキスで止めて提出。結果として、私と同じようなスコアの受験生が一次で落とされる中、無事に二次選考まで進むことができました。統一試験のスコアに自信がない方は、全力で志望理由書を書くことをお勧めします。

慶應二次選考

小論文と面接です。学部によっては、一次選考通過者のほぼ全員が受かったところもあったので、そこまで心配はいらないかと思います。二次選考に通れば、晴れて合格となります。

まず、小論文に関してですが、慶應文系の場合、選考の上で占めるウエイトは小さいと思われます。課題文をよく読んだ上で、聞かれていることにキチンと答えることができれば、それでOKです。ただ、慶應を受ける受験生の大半が、同時期に早稲田や上智などを併願されるかと思います。そちらではレベルの高い小論文を書くことが要求されるので、いずれにしろ小論文対策はしっかりやっておくべきです。小論文を書く能力は、その後の国立受験でも絶対に必要になるので、早い段階から対策を始めるに越したことはありません。

次に、面接に関してですが、私のときは、生徒一人に面接官二人という個人面接でした。最低限のマナーや、大学で何を学びたいかなどの基本的なところを押さえた上で、帰国生入試特有の質問に気をつけておけば特に問題ないと思います。

帰国生入試特有の質問とは、「海外生活で印象に残ったことはなにか?」「なぜ日本の大学に行きたいのか?」等のことです。海外体験やそれに関連する事柄について、自分の言葉で説明できるよう対策しておく必要があると思います。また、学部によっては面接中に簡単な数学の問題を出されたところもあったので、経済や商志望の人は注意して下さい。

国立受験(一橋)

慶應合格後、私は国立大学の受験のため勉強を続けました。結局二次選考の面接で落ちたので、ある意味「不合格体験記」ではありますが、参考までに軽く書いておきます。私が受験したのは、一橋大学法学部です。

大前提として、文系で東大もしくは京大の受験に関しては、統一試験でかなりのハイスコアを持っていることが必須条件になります。慶應で要求されたものよりも、さらに上のスコアが要求されます。スコアが基準に満たない場合は一次の書類選考でバッサリ切られ、試験を受けることすら許されません。ですから、東大・京大に行きたい方は、現地にいる間にひたすら統一試験の勉強をして、できる限りのハイスコアを取っておいて下さい。一方で、一橋大学など、統一試験のスコア等は全く考慮しない大学もあるので、スコアが足りない受験生はそちらを目指すことになります。

まず、一次選考の筆記試験対策についてです。小論文および読解要約は、予備校で何人かの先生の指導を受けていました。先生ごとに言うことが違ったりして困惑するかも知れませんが、量をこなすことで次第に書き方が分かってくると思います。

英語は、一般受験と同じ問題なので、帰国生にとってはそこまで難しくはないと思います。予備校の模擬試験や赤本を何度かこなして特徴がつかめたら、あとは自分に足りない部分を勉強するのみです。

個人的には、英語よりも、小論文および読解要約を中心に勉強した方が吉と出るように思います。筆記試験をパスした人は、日を改めて二次選考の面接を受けることになります。

次に、二次選考の面接対策についてです。志望理由、海外体験、大学で学びたいことなど、どんな質問が来てもいいように一通りの答えは事前に用意しておきました。加えて、予備校での模擬面接を通して、自分では気付かない点(喋り方やクセなど)を客観的に指摘してもらい、その改善にも努めました。当日は一対一の個人面接で、質問は極めて基本的なことしか聞かれなかったように思います。私の場合、大きな失敗もせずに可もなく不可もなくという感じで終わったのですが、結果は不合格でした。理由は今となっては闇の中ですが、どこかしら至らない点があったのだろうと思います。

受験勉強から得たもの

半年ほど受験生活をしていたわけですが、その中で私が得たのは、何も慶應法学部への切符だけではありません。一番の収穫は、予備校での小論文の授業などを通して、社会の様々な事象についての知的好奇心なるものが、自分の中にしっかりと芽生えたことです。それは、良い意味でその後の私を大きく変えました。これから受験される方々も、もしかしたらこの先、そんなことを感じるときが来るかも知れません。いずれにしろ、まずはしっかり受験勉強に取り組むことが大事だと思います。半年は、長いようで、実はあっという間です。気合入れて、がんばって下さい。

Seoul Foreign School :
http://www.sfs.or.kr/