海外生活体験者・学生インタビューvol.62〜前編〜

interviewee_s_126_profile.jpg 田中栄助さん。1986年7月16日生まれ。アメリカのニュージャージー州に4歳から9歳まで滞在し、帰国する。船橋市立旭中学校、慶應志木高等学校を経て、慶應義塾大学経済学部に進学。同学部設置のプロフェショナル・キャリア・プログラムに所属し、フランスのビジネススクール、HEC経営大学院(École de Hautes Études Commerciales)に1年間留学する。現在は4年に在籍し、化学メーカーに内定。

アメリカでの体験 ―大自然の中で伸び伸びと育つ―

~アメリカのど田舎で~
   
アメリカでは、すごい田舎に住んでいたので、世間知らずだったというか。ニュージャージーの田舎の中でも、輪をかけて田舎のところに住んでいたんですよ。どこに行っても芝生が辺り一面にあって、修学旅行もりんご狩りにという具合でしたね。街の風景といえば、牧場で牛が歩いていたり、道路を鹿が横断していたりと、野生動物もたくさんいました。

僕は現地校に通ってたんですけど、友達との遊びといえば、森に入っていって狩猟ごっこをしたり、道路わきでバスケットボールをしたりするくらいでしたね。宿題もほとんどなかったので、勉強とは疎遠な生活を送っていました(笑) 本当の意味で自然育ちです。

帰国後の体験

~帰国後の周りとのギャップ~

日本との接点は帰国するまでほとんどないに等しかったですね。いわゆるザ・帰国子女でした。日本の小学校に転校してきたときは、外人が学校に来た! と周りから珍しがられました(笑) 日本語の発音も多少変でしたし、表現力も稚拙だったので、今振り返ると当たり前かもしれませんが。

あと、日本の小学生の話題にも全くついていけませんでした。コロコロコミックとかスラムダンクとか、まったく自分の中になかったので。アメリカにいた頃は、メジャーリーグの誰々が凄いとか、NBAが云々という、現地のことしか知らなかったので、しばらくは友達を作るまでに時間がかかりました。スポーツはもともと好きだったので、すぐにバスケ部に入部して、そこから友達が徐々に増えていきました。

~生徒会長の経験が自信へ~

すっごくシャイだったんですよ、もともと。アメリカにいたときは、週1で日本語学校に通ってたんですけど、国語の時間に音読をさせられると、緊張して顔が真っ赤になって、うまく息継ぎができずに、呼吸困難になるほどでした。それぐらい、人前で何かをすることが苦手だったんですが、その一方で、そういうシャイな部分を克服したいな、という気持ちはずっと持ってました。

その転機になったのが、中学校2年生の時の生徒会長の経験だったと思います。約1年間、運動会などのイベントや入学・卒業式など、全校生徒の前でスピーチをする機会が否応なしに増えました。場数を踏むごとに、人前で話すことに少しずつ慣れていきましたね。それは自分の中での自信に繋がりましたし、新しいことに挑戦していこうというポジティブさが、ここから生まれた気がします。

~忘れられないクループワーク~

大学に入ってからは、もちろん色々な人と出会いましたし、初めての体験もたくさんあったんですけど、自分が関わっている人の範囲が、すごく限られてる気がしてたんですよ。それで、大学3年時にGPAC(アジア国際交流会議)っていう、アジアの学生会議に参加しました。その年は台湾で行われてて、韓国、日本を含めた3ヵ国の学生が論文作成とプレゼンを10日間かけてやるんです。みんな凄く良い意味で真面目でしたね。お互いが考えてきた素案をくっつけるのでも、徹夜でずっと話し合ったり、資料作りをしたりしてましたね。自分の意見を論文に反映できたのは、すごくうれしかったし、最後に大勢の前でプレゼンができたのは、貴重な体験でした。あと何と言っても、アジア圏に住む他の大学生と、グループワークを通して仲良く慣れたのが一番大きかったと思います。

留学体験 ―フランスのHEC経営大学院(École de Hautes Études Commerciales)へ―

~あの体験をもう一度~

HECに行くのは、自分の中で大きな決断でした。留学を決めた理由として、慶應の国際センターの科目を取っていたんですけど、海外からの留学生といざディスカッションするってなったときに、自分から意見を発信していく姿勢とか表現力が乏しいなって思って、そういう実感があったから、留学して自分から意見を発信せざるを得ない環境に身を置いてみたかったんです。

それと、HECはグループワークにすごく力を入れている学校なので、自分から意見を発信していく練習の場がたくさんあると思いました。クラスが少人数で、多い授業でも三十人弱とかで、五人くらいのグループに分けて、ケースを読み込んでプレゼンするんです。留学前に一度、HECの方が慶應に説明しに来たときがあって、そのときに、これは絶対面白いな! って確信したんです。GPACでのグループワークみたいな体験をもう一回出来たらいいなあって思いました。

~アメリカ人とヨーロッパ人~

授業が始まるじゃないですか。そうすると、授業の中でケースの概要を誰かが発表するところから始まるんですけど、そういう簡単なところは、アメリカ人がたいてい全部言ってしまうんです。この会社はこの業界の中にあって、こういうことをやってますと。で、だいたい基本的な話が終わったところで、教室が一瞬静まり返ってくるんです。で、その基礎的な議論が出来上がったところで、そこに突込みを入れたりするのは、ヨーロッパ系の人が上手いみたいですね。論理付けとか方向性が変な方向に行ったときに、軌道修正を入れる感じで。もちろん、ザックリ人種ごとに特性を分けることは無理だと思うんですけど、それぞれに何となく得意分野がありそうだなという風に感じましたね。

~付加価値の重視~

たぶんヨーロッパの人たちって、あたり前のこととか、皆が分かっているだろうっていうのを、あんまり言いたくないんでしょうね。自分が言わなくてもいいやみたいな。改めて自分で言うことを良しとしないというか。こう、もっと付加価値に意識を置いているのかなぁって。アメリカ人は、分かっていることでも、自分が発表することが大事なんだってところがあるんですけど。ドイツ人やフランス人とかもそうで、ヨーロッパ人は誰もわからないだろうってところで、自分なりの切り口を入れて言う感じですね。おそらく、そういった部分に重点を置いているからこそ、議論でもそういった特徴が見られるんじゃないですかね。後編はこちら>>
interviewee_s_102_profile.jpg 長澤慶美。1987年千葉県生まれ。13歳のときに単身留学し、カナダのトロントへ。約6年間滞在し、Victoria Park Collegiate Instituteを卒業。帰国し、慶應義塾大学法学部政治学科に入学。現在3年に在籍。経済学部のPCP(プロフェッショナル・キャリア・プログラム)に所属。