海外生活体験者・学生インタビューvol.63

interviewee_s_126_profile.jpg 大島芳乃さん。1987年生まれの大阪市出身。小学6年生で単身渡英、CanterburyのKing’s School に高校卒業まで通う。高校時代はラクロスで全英ベスト8にまで勝ち上がったこともある。予備校での受験を経て、2007年4月に京都大学経済学部へ入学し、現在は3回生。大学では留学生のチューターを担当し、日本語を教えている。また、経済学部ゼミ対抗のフットサル大会を企画。幅広い交流を楽しんでいる。

小5で決断、単身で渡英

―ではまず、海外での滞在歴を教えていただけますか。

6年生までは日本の小学校に通っていて、中学・高校とイギリスに留学しました。普通に日本の中学に行こうと思って、受験勉強していたのですが、ある日突然、父から「イギリス行ってみたくないか?」と言われて、「行きたいっ!」って言ったら、本当に行くことになったというか……。行かせてもらえることになりました(笑)

―お父さんには「子供を帰国生にしたい!」なんて理由があったのでしょうか?

自分が若い頃というか、小さいときに、国際経験というかなんというか、外国に行って活躍したいって夢があったみたいで、それを託されたって感じです(苦笑) 突然だったので、どうやろって思って、一回は戸惑ったんです。高校から行ったらだめかって聞いたのですが、3年だったらあんまり意味ないんじゃないかと言われ、でも行きたかったので、じゃあ中学から行きますと(笑) 一応、大学は日本に帰ってくるっていう条件つきでしたが。

―英語を喋れるようになるまで、どのくらいかかりましたか?

あまり当時の記憶がなくて……。でも5ヵ月くらいかな? 早いのかな? 必死でした。誰ともコミュニケーションとれなかったら、寂しくなるでしょう? 行ったときには、小学校の最終学年に入りました。そこで一応、中学高校に行くための受験があり、向こうの数学というか算数が簡単だったので、それで平均をあげました。後は、留学生っていう特権を使って(笑)、中学高校と一貫のとこに入り、5年間ずっと寮生活です。

寮生活で学んだこと

―イギリスの全寮制私立学校というと、お金持ちのイメージがあるのですが。

来てる子ら、周りにいる子らのお金持ち度が半端なかったです(笑) 写真とか見せてもらったのですが、家が冗談抜きにお城みたいな子とかいましたから。授業で一度、家にトイレ何個あるかについての話題が出たのですが、大体日本の家って1個か2個でしょう? うちもトイレがひとつしかありません。でも、みんな5個!とか答えるんですね。さすがに、1個とかもう言える雰囲気じゃない感じでしたので(笑)、1個って言えずに2個って言っておきました。後は、冬休み明けとかに皆帰ってきたときとか、どっか南国行ってました系で、無駄に焼けてる子とかいました(笑)

―私もアメリカの学校で1年寮に入っていて、人間関係がひどかったのですが(苦笑)、イギリスのお金持ちの寮で、いじめとかどろどろした関係とかありましたか?

2、3人好かれない子は、寮にはいました。その子たちはちょっと問題でしたが、いじめは全くありませんでした。5年間ずっと一緒の寮なので、いじめとかあってもおかしくはありませんけどね。そういう面では、結構みんな大人っぽかったと思います。「じゃあいいよ、あたし、今回は行くわ」みたいに、フォローしてくれる子もいましたし。「5年間どうにも出来へんし、それやったら考えんとこ、しょうがない」って割り切ってる感じでした。

イギリスに行ってから、最近は、「自分て、もうどこにでもすめるんやろな」と思うようになりました。最初に一ヵ月だけ慣れる期間をくれれば、もう大丈夫だと思います(笑)

イカ京しかいないと思っていた

そして、両親との当初の約束どおり、日本の大学を受験するために帰国した大島さんは、07年4月、ずっと「憧れて」いて「雰囲気が好き」だったという京都大学へ進学する。

―京大には、カルチャー・ショック受けましたか?

カルチャー・ショックと言っても、京大って、イカ京(注:いかした京大生……ではなく、いかにも京大生の略)しかいないと思っていたので(笑) 本当に、もうめがねかけて、オタクみたいな人しかいないと思ってました。で、やってけるんかなと思ってたのですが、入ってみたらAFAF1など、最近っぽい人もいることに安心しました。全然想像してたのとは、別の意味で違いました。それはカルチャー・ショックでしたね(笑)

最初ちょっと吉田寮2があんな風になっていることを知らなかったんです。だから、吉田寮入ろうかなとか思っていました。今まで自分が入ってきたような普通の寮やと思ってたので、実際、見てみたらもうホンマに……(笑) えっーーーー! みたいな感じでした。外から見る分には、京大らしくてホンマ好きですが。最近は建て替えの案が出てますけど、どうなるんでしょうね。地震来たら一発らしいですし。

ニュース・キャスターになりたい?

―今3回生で、もうすぐ就活ですけれども、将来何になりたいとか、夢はありますか?

小5くらいから京大入る前くらいまでは、ニュース・キャスターになりたいと、ずっと思ってました。だけど、日本帰ってきて、フジテレビのアナウンサーとかが超アイドル化してるのを見て、自分の考えてた報道とは違うなと感じました。私が憧れてるのは、NHKの国谷裕子さん3というニュース・キャスターです。彼女をイメージしていたから、アナウンサーがキャッキャしてるのが許せなかった(苦笑)

最近、たまたま一回上の友人3人がテレビ局に入社したのですが、その方たちの話を聞いていると、アナウンサーはそうやけど、ああいう人ばっかりじゃないよって言われます。悪いところばっか見すぎてるって怒られました(笑)

―大島さんは「ニュース・キャスター」とおっしゃいましたが、「アナウンサー」との違いは何でしょう?4

アナウンサーは、ニュース・キャスターのアシスタント的な存在です。フジテレビのスーパーニュースの安藤さん5ですね。あの人がニュース・キャスターで、その隣でニュース読んでる人がアナウンサーです。

友人から聞いた話だと、国谷さんとか安藤さんとかのレベルになると、ディレクターに渡されたニュースを読むのではなく、自分が読みたいニュースを書いたり探してきたりして伝えられるそうです。そういうニュース・キャスターは尊敬できます。

ビジネス・マーケティングへの興味

営業やマーケティングにも興味があるという大島さん、実はこの日も、同志社大学がスタンフォード大学と提携して提供しているサテライト講義に出席してきたとのこと。

―大学の授業で将来興味のある分野を模索していたりしますか?

ゼミでは、途上国を拠点とする鞄ブランドのお店のビジネスモデルを発案するプロジェクトに携わっています。途上国への支援が「お金をだせばいい」というものに片寄っていることに疑問を抱いたこの会社の社長さんが、バングラディッシュで、「どうすれば現地の人たちを助けられるか」と立ち上げた「Mother House」6という会社です。

現地で作られた鞄は、社長さんのライフ・ヒストリーに共感した多くの人には購入されていますが、実際のデザインや質を見られていないのが現状です。すぐに飽きられてしまうかもしれない「ストーリー性」だけで売るのではなく、会社の存続のためにも、近い将来はどのように売っていけばいいのかを、仲間と日々考えています。

もうひとつ、4人で「京都のものづくり活性化・ビジネスコンテスト7」にでる予定です。京都の産業をひとつ選び、それをどう活性化させるか、プランを立てて発表し、勝ち上がっていくというビジコンです。優勝したら、京都市長にプレゼンをする機会があります。今回は京都の和装産業・着物についてとりあげるつもり。私たちの年代にどう着物を着せるか、そして、衰退している着物産業をどう改革するかというプランを、今考えているところです。

それから、ミホプロジェクト8というアート・プロダクションの会社を手伝っています。歌舞伎や狂言のアーティストと海外の劇場を結びつけるメール連絡の通訳として、一応インターンという形で働いています。最近では、そこで働いている学生と一緒に、土取利行さん9のワークショップ10とコンサートを企画しました。

―神田うのさんみたいですね! 彼女も最近和服のデザインを多数手がけてますよね。大島さんが将来やりたいことというのは、報道や今のゼミの活動など、語られるべき理由のあることを世間に広めていくことなのですか?

マーケティングでは、新商品を開発するにあたり、どう売るかやどう知ってもらうかなど、伝えていくプロセスは確かに好きです。プレゼンをすると、教授に多くのことを批判・指摘されたりもしますが、自分なりの解決策を練って、良いものを作っていくといったことはやりがいがあります。

―最後に、後輩に何かメッセージをお願いします。

大学生活でしか、思い立ったことや好きなことはできません。だから、大学のうちに自由に自分の好きなことをやるべきだと思います。充実させようと思ったら、特に京大なら、いくらでも出来ますから(笑)

King’s School :
http://www.kings-school.co.uk/
マザーハウス関連 : 活動報告 vol.17 徳橋功
http://www.rtnproject.com/2008/06/_vol16.html

1,AFAF:京大では珍しい「チャラい系」テニサーの頭文字。
2,吉田寮:竣工は1913年(大正2年)。現存する日本最古の学生寄宿舎。
3,国谷裕子さん:現在、NHKの「クローズアップ現代」メイン司会者として活躍している。
http://www.nhk.or.jp/gendai/caster.html
4,「本来の意味にしたがった両者の違いは、「アナウンサーはニュースを “読み上げる”、ニュースキャスターはニュースを “語りかける”」と表現されることがある。」(Wikipediaより引用、詳しくは「ニュースキャスター」内の項目を参照)
5.安藤優子さん:ジャーナリスト・キャスター。現在は「FNNスーパーニュース」(フジテレビ系)のメインキャスターとして活躍中。

6,http://www.mother-house.jp/(バッグ販売、かばん、通販、途上国発ブランド、マザーハウス)
7,http://www.neotradition.co.jp/all-win
8,http://web.kyoto-inet.or.jp/people/yu-an1/index.html
9,土取利行さん:演劇界の巨匠、ピーター・ブルックの国際劇団で30余年にわたって活動してきた、パーカッショニスト。

10,http://blog.livedoor.jp/mihoproject/archives/1179063.html
interviewee_s_89_profile.jpg 岸茉利。1990年3月23日生まれ。小学校6年生の夏に渡米、フロリダ州オーランドで10年生まで過ごす。06年にリベラル・アーツ・カレッジであるBard Collegeサイモンズロック校に入学、07年に中退。日本に帰国し、予備校を経て、08年京都大学法学部に入学。現在に至る。マーチングバンドの管楽 器ユーフォニウムを得意とし、フロリダ代表としてチームでヨーロッパ演奏旅行をしたこともある。主としてジェンダー論に興味を抱いており、大学2回生の今、自分の目指す道を精力的に模索中である。