活動報告 「世界の学校から」vol.15 徳井洋平

前回に引き続いて、カナダ・トロントの学校を紹介していただきます。紹介者は立教大学社会学部2年の徳井洋平さん。Pine Ridge高校はトロントの郊外に位置し、オンタリオ湖に隣接した街にあります。地域一帯の気候は寒冷で、冬の寒い日にはマイナス30℃になることもあるそうですが、治安もよく老後の生活を送るには最適の場所とのことです。

徳井洋平さん。1989年生まれ。三重県出身。小学1年から中学3年まで、アメリカのロサンゼルス、シカゴなど、様々な土地で暮らし、高校3年間はカナダのト ロントで生活し、Pine Ridge Secondary Schoolに通う。大学受験を機に帰国し、立教大学社会学部に入学。現在2年に在学中。大学では、朝から講義、午後は放送研究会のサークル活動のため、多忙を極める。趣味はサッカー観戦で、ACミランのカカをこよなく愛す。

活動報告

第二の故郷Pickering

私はPine Ridge高校に1年生から2年間半通っていました。住んでいたPickeringはトロント郊外に位置し、オンタリオ湖に隣接した街です。気候は、ほぼ 一年中冬だったため、大雪の上、寒い日にはマイナス30℃になることもありました。家から学校まで苦労して通学したことは鮮明に覚えています(笑)

Pickeringは白人と黒人しかいない地域なので、住み始めた頃は治安が安定してないイメージを持っていましたが、実際には差別もなく、お年寄りの方たちがカフェでコーヒーを飲みながら本を読んでいる光景を毎日見かけました。老後に住む環境としては最適でしょう。

街の様子

Pickeringでは、東洋人を見ることは皆無と言っていいほどなく、家の近くにあるPickering Mall Centreというショッピングモーグでは、白人と黒人しか見ませんでした。カナダ人の尊敬できる点は、偏見を持っていないところです。初対面にも関わらず、その日の内に店員の方と友達になることもあり、そこが私の行きつけになりました(笑)

また、私の近所に住んでいたのはお年寄りの方ばかりでしたが、大雪のときにはお互いに協力して雪掻きを行い、とても気さくに私に接してくれました。トロントに住む前は、ロサンゼルスやシカゴに住んでいましたが、私にとって最も住みやすく、居心地が良いと感じた街はPickeringでした。もし、またトロントに戻れる機会が出来たら、足を運んでみたいと思います。

学校の設備について

Pine Ridge高校は1992年に設立されたばかりの、割と新しい学校のため、設備が非常に整っていました。また、校舎が非常に広かったため、登校初日には、教室を探すだけでも一苦労しました。

Pine Ridge高校は豊かで多様性な施設を多く持っています。例えば、充実した図書館、学校体育施設・屋内体育館暖房施設、快適な多目的・全面芝生グラウンド、モダンで最先端の技術室等の施設を設けています。特に、私はこの学校の施設の中で、教室が一番のお気に入りでした。Pine Ridge高校では、最高品質の教育を受ける機会を提供するために、教室の部屋が広く、防音工事もなされており、とにかく授業に集中できる環境でした。

学校生活について

私はgrade11~12までPine Ridge高校に通っていましたが、学校の教育システムのレベルはとても高く、特に、カウンセリングが充実していました。以前、シカゴの高校に半年通って いましたが、アメリカと比べてカナダのカウンセラーは、学生一人一人に対して、進路や卒業について真剣に相談に乗ってくれました。

カナダのオンタリオ州の高校では、University、College、Work Placeの3つのコースに分かれており、私は大学進学を希望していたため、University Courseを選択しました。そのコースでは、私が唯一の東洋人でした。最初は戸惑いましたが、周りの生徒が私を快く受け止めてくれ、最終的には将来について相談できるほどの友人もできました。

日本人が在籍していない学校だったため、転入当初の学校生活は一言で表すと、「過酷」でした(苦笑) 留学生のサポートシステムが整っていない上に、教育レベルが高かったため、授業の内容を理解するだけでも大変苦労しました。

例えば、シェイクスピアを読む際、現代英語と中世英語を同時に読まされました。それまで現代英語しか学んでいなかったため、そもそも英語に中世英語があることに驚きました。その他にも、カナダ史が必修科目としてありましたが、アメリカの歴史しか学んだことがなかったため、新たに違う国の歴史について暗記することは労力を要しました。英語の授業では、週に3回2000字のレポートを提出する必要があり、いつもコンピューターと向き合っていた記憶があります。

しかし、これら全ての経験は、自分を成長させる絶好の機会だと考えるように努めました。そうしなければ、精神的に追い詰められますから(笑) 実際に、様々な分野の授業を受講でき、特に歴史学・経済学・家族学の授業は、教養を養うことに繋がりました。当時は挫折や苦労を感じましたが、今はその経験があったからこそ、どんな状況に置かれても苦に感じることがありません。それがカナダでの生活で得た最も貴重な財産だと思います。

私の学生生活はとても充実していましたが、唯一心残りになっていることは、卒業式に出席出来なかったことです。普通の学校では卒業式は六月に行われますが、私の学校では卒業式は11月に行われ、私はその頃、日本で受験の真最中だったため、卒業式に参加出来ませんでした。私は小学生の時から、高校の卒業式にガウンを着るのが夢だったのですが、その夢が叶えられなかったのが残念です。

アイデンティティーの確立

前述のとおり、Pine Ridge高校には、東洋人が少なく、高度な授業レベルに挫けることが何度もありましたが、その反面、自分のアイデンティティーを確認できた、恵まれた環境でもあったと今になって感じます。白人・黒人中心社会だったからこそ、改めて私が日本人であることを強く意識し、自分に向き合うことも出来ました。

高校時代は苦労したことしか思い出がありませんが、逆に「自分を高める最高の高校」だったと胸を張って言えます。海外の高校に留学することを希望されている方は、日本人が多くいる学校を探すよりも、日本人が少ない学校に行くことを勧めます。在学中には「挫折」を経験することは絶対にあると思いますが、必ずその苦労した日々が糧になり、財産になることは間違いありません。

Pine Ridge Secondary School :
http://pineridgesecondaryschool.ca/