海外生活体験者・学生インタビューvol.66

interviewee_s_135_profile.jpg 二岡佑介さん。1984年東京生まれ。小3年までの4年間をアメリカ・ニューヨークで過ごし、Bellows Elementary Schoolへ通う。帰国後、千葉県の公立学校に在籍するが、中学のときに再度渡米。アメリカ・コネチカットのGreenwich High Schoolを卒業後、東北大学工学部建築学科へ進学。現在は東京大学大学院新領域創成科学研究科人間環境学専攻2年に在籍。某メーカーに就職が決まっている。

日本の部活はスポ根、海外の部活は効率的
 
―海外生活では何をされていましたか?
 
小学校から続けてきたサッカーの他にも、テニス・陸上・スキーをやっていました。部活はシーズン制だったので、一度にいくつもかけもちしていたわけではなく、春はこのスポーツ、秋はこのスポーツという感じで、年間を通していくつかのスポーツをしてましたね。
 
日本の部活は朝から晩まで練習があり、まさにスポ根漫画みたいな世界(笑) でも、海外の部活は、練習も週に3日、それも一日に2、3時間くらいで、時間よりも効率的、科学的なトレーニングを行っているという印象を受けました。
 
―海外の高校の印象はいかがでしたか?
 
日本と海外の高校の大きな違いは、大学のように授業が選べるところでしょうか。高校は全校2000人くらいの学校だったんですが、100人くらいが日本人でした。日本人ばかりで固まっていると、英語も伸びませんが、みんな日本人と外国人の交流のバランスをうまくとっているという感じでした。

東京と仙台、カルチャーショックを受ける

―大学生活について教えてくさい。
 
大学は、東北大学に入学し、学科は建築学科です。大学では8割が東北以外の地方出身者でした。大学院に進学してからは東京なのですが、東京と仙台では、やはり様々なことが違い、逆にカルチャーショックを感じることもあります。学部時代の友だちは、意外にも今東京で働いている人が多い。やはり、東京の方が、視野が広がるように感じます。
 
―学部ではどんなことなさっていたんですか?
 
卒業研究では、コンクリートの構造解析を行いました。建築学科はデザイン系と構造系という二つの部門に分かれるのですが、前者をやって行くには、アートのセンスがある程度必要。だから、後者を選びました。ただ、大学院では機械工学を専攻として選択しました。というのも、機械工学の研究範囲は広く、自分の興味のある分野が勉強できると感じたからです。
 
―勉強以外には、どんなことをなさっていたんですか?
 
研究以外では、学部時代はESS、フットサルなど、5つくらいサークルに所属して、どれも中途半端に活動しました。冬はスノボーです。何しろ冬は他にすることがないですから(笑)

それ以外では、建築を勉強しにスペインへ留学しました。日本の大学で博士号を取得した先生がスペインの留学先大学にいたので、その先生の設計の授業だけはスペイン語と日本語で受けていました。留学は本当に行ってよかったです。やはり視野が広がったと思います。ヨーロッパは10ヵ国ほど回りましたが、社会福祉が充実していて、生活をエンジョイしているという印象でした。

コロンブスの卵的なものが好き

―大学院にも進学されたんですよね。
 
大学院の研究室では、コンテナの振動解析をやっていました。コンテナが7個重なったときに、コンテナにかかる振動の度合いを研究するんですね。現在、実務でコンテナは2段積みしかできないのですが、コンテナの四分の一の大きさの模型を作り、それを7個重ねて、何か他のものが衝突したときの影響を実験してたんです。また、模型を作るのではなくて、コンピュータでコンテナを7個積み、そのときの振動の波を研究したりもします。このコンテナの実験では、船に搭載されたコンテナの落下事故をなくことを目的に分析するんですよ。研究は船会社と共同で行っています。
 
―大学院はいかがでしたか?
 
大学院は、頑張って週末も勉強している人、やる気がなく週一回しか学校に来ないひとなど、いろいろといましたね。大学院での経験は、学会に出たり研究に出たり、プラスにはなっています。
 
研究・学会のほかに、東大アントレプレナーコンテストにも出場しました。このコンテストは、UTECという学内ベンチャーキャピタルが、大学生の事業化を支援しようという試みです。僕たちは最終審査に残ったので、現在、ベンチャーキャピタルの方と弁護士の方がアドバイザーとしてついてくれています。社会に出ても、事業化のプロフェッショナルが無料でアドバイスしてくれる機会は滅多にないと思いますので、東大の人脈と資産を最大限に活用できたのは非常に有意義でした。
 
コンテストで入賞すれば、北京大学との交流会や賞金が獲得できます。ただ、優勝しても、実際に事業化されるのは、ベンチャーキャピタルの方が認めたごく一部の高レベルのものだけです。昨年出場したときは中級で落ちましたが、今年もまた参加して、10月に準優勝し、現在はさまざまなビジネスコンテストにも参加しています。

留学に限らず、学生時代のうちは、色々経験しておくべきだと思いますね。例えば、今夏に東南アジアにも行ったのですが、現場を見るのは勉強になるし、それまで面倒くさくて進まなかったことも、現場を見てインスピレーションを受けることで、やる気が出ました。カンボジアとベトナムに行ったときに地雷の博物館を訪れ、何かしないと、という思いに駆られ、それまで進んでいなかった発明コンテスト提案書を一気に仕上げる要因になりました。出場案はどのような発明でも構わないのですが、自分としては、大学の研究をそのまま応用したものではなく、コロンブスの卵的なものが好きですね。

周りやマスコミの意見を疑ってみる
 
―就職活動について教えください。
 
理系の就職は、半分くらいが推薦で、半分が文系の学生と同じような形で就職して行きます。今のメーカーは推薦で内定がきまったのですが、それ以外にも海運会社、商社、メーカー、生命保険、SEなどにエントリーしました。
 
実は、学部時代にも就職活動した経験があります。学部時代は商社・外資系の金融を中心に就職活動をしていました。2回就職活動してみた感想として、1回目は売り手市場、2回目は買い手市場だったため、就職活動の雰囲気が全く違いました。
 
1度目の就職活動のときに、外資系企業から内定をもらっていたのですが、結局辞退し、大学院に進むことになりました。その頃は、学生の意識として外資系に行ったら勝ちというムードが漂っており、それに流され就職活動をしてしまったんですね。そのため、就職活動後冷静に振り返ったとき、自分自身十分に納得できなかったのだと思います。
 
内定をもらってからは、周りから「外資系ってすごい」みたいなことを言われたのですが、もしクビになったらどうするんだろうと考え始めました。いろいろ考えた末に、最初は日本企業でやった方がいいんじゃないかという結論に至り、大学院に進むことにしました。結局、突き詰めて考えられてなかったんじゃないかと思います。とりあえず、はやく人気企業に就職を決めようと、周りに流されていました。
 
僕自身、最初の就職活動では流されて失敗しました。だから、今就職活動している人には、周りの意見やマスコミの意見を一度疑ってみる必要があるということを伝えたいですね。まず、30年のスパンで考えてみることが重要だと思います。また、会社だけでなく自分がやる仕事についても調べた方がいい。自分のやりたいことをイメージして、それに合う仕事を選ぶことがすごく大事です。高い給料もらってもやりたくない仕事であればやめてしまうかもしれないし、安い給料でも好きであれば続けられます。やりたい仕事が今自分に合ってないとしても、本当に自分がやりたければ、いずれ合ってくると思います。
 
マスコミの意見を鵜呑みにするのもよくないです。昨年マスコミは、家電・自動車産業は終わったという話をしていましたが、今年は昨年と一転し、家電・自動車産業の復活を唱えているマスコミもあります。斜陽産業論などがよく唱えられていますが、日本の大手企業なら、各業界内トップ数社は歴史も資金力もあり、安定しているので、大丈夫ではないでしょうか。
 
自分の仕事を通じて社会に貢献したい
 
―卒業後の具体的な業務内容についてお教えください。
 
メーカーの知財部門で特許関係の仕事を行う予定です。具体的な業務内容は、明細書を作ったり、他のメーカーの技術調査をしたりします。友人が知財部門から内定をもらい、それで興味を持ちました。
 
内定先では知的財産を扱い、外部と交渉する際に国内外のメーカーや特許庁、特許事務所などと関わります。弁理士の資格をとるための勉強ができることが魅力的でした。最初からフルアクセルではなく、生涯賃金という、退職するまでのトータルの賃金で考えました。資格を取りたいと思ったのは、手に職をつけたいと思ったからです。
 
―最後に、ご自身の夢や大切にしていることをお聞かせください。
 
イノベーションによって社会貢献したいと考えています。ただお金をもうけるだけなら、ネットでアフリエイトで稼ぐとか、いろいろ方法はあります。お金持ちの家に生まれた人なら稼がなくていいわけですし。でも、ただ金儲けするだけじゃなくて、自分の仕事を通して社会に貢献し、人の役に立つようなことをしたいと思っています。

Greenwich High School :
http://www.greenwichschools.org/

インタビューアから一言

就職活動におけるアドバイスが心に残っています。私もメディアの情報を鵜呑みにせず、情報を取捨選択したいと思います。また、周りに流されやすい私にとって、周りに流されないようにというアドバイスは考えさせられました。二岡さんのアドバイスを肝に銘じながら就職活動していこうと思います。研究の話については、わかりやく説明してくださったので、理系の知識が全くない私でも理解できました。大変興味深かったです。お忙しい中ありがとうございました。

interviewer_s_13_profile.jpg 秋山雪乃。1986年京都府生まれ。中学校2年の夏まで日本で過ごす。中学校2年の夏に渡米し、高校2年で一時日本に帰国。その年の夏に再度渡米。高校卒業までアメリカ・カリフォルニア州で過ごす。University High School卒業後、早稲田大学法学部に入学し、現在4年に在籍。大学3年次に北京語言大学に留学。学生NGOチャオに所属。ゼミは憲法水島朝穂ゼミ。