帰国子女大学入試・合格体験記vol.33

interviewee_s_141_profile.jpg 吉村政龍さん。1989年東京生まれ。小学5年から約8年間台湾に滞在。Dominican International Schoolを08年に卒業し、帰国。予備校で約1年間受験勉強に明け暮れた末に、京都大学に合格。現在は京都大学法学部1回生であり、授業にサークルにバイトに大忙しの充実(?)した大学生活を過ごしているところだが、この頃大学で学ぶことの意味に疑問を感じ始めている。

【京都大学法学部合格】

なぜ日本の大学に?

自分は、高校のとき、「将来は弁護士になりたい」という漠然とした夢を持っていました。国際的に活躍するには、アメリカでライセンスを採るというのがベターな選択肢だったのかもしれませんが、いかんせん学費的に厳しかったし、渡米するという考えすら当時の自分は持っていませんでした。そのうえで、自分が日本の大学で法曹を目指すことに決めたのは、今から思えば、学費が相対的に安かったからだろうし、「祖国へのあこがれ(?)」によるものだったのだろうし、単なる惰性によるものだったのかもしれません。

こうして自分は日本で進学することに決定したのですが、次に問題となったのは、学部は法学部なのは言うまでもないにせよ、どの大学を選ぶかということでした。これに関しても、自分はそれほど考慮せず、世間で「一流」と呼ばれる学校に絞って、自分の志望校としました。日本の大学にキャンパスの外観以外の差異は見い出せませんでしたし、俗に名門校と呼ばれる大学なら、教授陣や学友、設備や人脈においてもハズレることもないだろうと思ったのです。

今思うと、このようにして志望校(及び自分の将来)を決めたのは、とても安易だし、情けなくも感じてしまいます。しかし、ちょっと滞在国の言葉が話せて、ちょっとその国について知っていること以外は、日本の一般的な高校生となんら大差ない生活を過ごしてきた自分にとって、これは努力し、最大限に考え抜いた末の決定だったのです。少なくとも、今の自分はこの選択を後悔はしていません。

9月―序盤の成功

こうして日本で学ぶことに決めた自分は、帰国し、帰国生コースを持つ大手の予備校に入って勉強し、9月、すなわち帰国生の私立大学受験シーズンを迎えました。予備校では与えられた課題をこなし、予習・復習もしっかりやっていたかめか、受けた3校のうち、2校に運よく合格することができました。

そこでまた自分は一つの決断を迫られました。すなわち、そこで受験をやめるか、あるいは翌年3月の国立大受験まで頑張るかどうかということです。自分は悩まず後者を選びました。9月から4月入学までの7ヶ月間を有意義に過ごす自信はありませんでしたし、上に登れるだけ登りたかったのです。結局、自分は東大文Ⅰを第1志望とし、京大法学部を第2志望としました。

翌年1月―目標変更と勉強法

油断していました。たしかに統一試験の成績が例年の最低合格ラインぎりぎりの水準だったとはいえ、まさか1月末の書類選考で東大に落とされるとは思ってもみませんでした。ですが、それ以前から東大・京大両方に向けて勉強を進めていたので、2月に行われる京大の二次試験に向けて、何とか万全な準備を整えることができました。

ちなみに、当時の自分は小論文を中心に勉強していました。国立大学の文系学部の帰国生入試は、一次試験がSATなどの統一試験の成績を含めた学業成績、二次試験の小論文と面接によって決まるとはいえ、なにより小論文の比重が圧倒的に大きいというのが経験則のようですから。具体的には、塾で課された課題小論文の予習・復習・書き直しを行い、答案に関して先生と議論を戦わせ(?)ました。また、過去問も十年分以上こなしました。ここまで過去問をやれば、受験校特有の回答形式、毎年出題されるテーマの傾向、及びそれらの背後にある共通のテーゼらしきものが見えてくると思います。

もちろん、小論文を書く前の段階としての基礎もしっかり固めてきました。授業で扱った内容や自分の考えを整理してノートにまとめることで、どのようなテーマが出題されても、即座に自分のスタンス、その根拠が明確に示せるようになったと思います。また、勉強を進めると昔の内容をある程度忘れてしまうので、それらを復習するのにも役立ちました。大学生となった今でも自分はこのノートを時々復習し、社会の諸問題に対して自分の考え方を示すうえでの参考にしています。

その一方で、法律や社会問題に関する新書も読みました。それに際しては、「量よりも質」を重視し、一冊ずつ熟読することに努めました。そのほうが新しい本を次から次へと読み替えるよりも、より多くのものを学び取り、それらを小論文に反映させることができると思ったからです。なお、新聞はあまり読みませんでしたが、余力があるならやった方がよいとは思います。とはいえ、自分が考察する限り、大学が小論文を通じて問いかけてくるテーマの種類は限られているし、内容もさほど変わることはないので、最新の時事よりも、それについて自分はどう考えるかが重要になってくると思います。

以上のように自分は勉強を進めました。特に、入試直前期は、まさに一日中勉強に費やしましたし、今に至るまで、自分の生涯で一番勉強した時期だと思います。また、人にはそれぞれ自分なりの勉強法があるとは思いますが、これくらいやらないと、国立大に受かるのは困難ではないかと個人的には思います。もちろん、絶対受かるという保証はありませんが、自分が納得できるまで努力すれば、仮に不合格になったとしても、後悔しなくて済むのではないでしょうか。

2・3月―試験・結果発表

こうして自分は京大の二次試験を迎えました。試験科目は小論文と面接であり、まずは小論文のほうを受けました。これは小論文を2本、それぞれ90分以内に書くというものでしたが、今まで学んできたものを踏まえて、何とか書き終えることができました。正答のない小論文に相場というものはないと思いますが、敢えて言えば、90分以内に1200から1500字程度で、それなりのレベルのものを書ければいいのではないかと思います。

一方、面接のほうは口頭試問と呼ばれるもので、文章を読まされ、それについて答えるという形式のものでした。これもそれほど難しくは感じませんでしたし、何より志望理由を聞かれないことが助かりました。

このようにして、大学受験という難関を切り抜けた(?)自分でしたが、受験後当初は自信満々だったものの、結果発表の日が近付くにつれて、その自信も徐々に磨り減り、当日は「あ~~、落ちたらどうしようかな~」と電話機の前でブルっている有様でした。

おわりに

エラそうに長々と駄文を書いてしまいました。こんなものが帰国受験生の皆さんに役立つかどうか不安ですが、せめてもの罪滅ぼしのために、以下に二つほどアドバイスをさせていただきたいと思います。

  ・志望理由は適当に取り繕い、本当に将来何をしたいかは大学に入ってから考えよう。
4年間のモラトリアム(大学生活)はそのためにあるのです。

  ・国立大を目指すなら、予備校に入ろう。
私立ならまだしも、国立を目指すとなれば、その勉強量は半端じゃありません。とても独学では太刀打ちできないと思います。また、予備校が敷いてくれるレールに沿って進んだほうが勉強も容易でしょう。もちろん、自分なりに勉強することも忘れてはいけません。

以上が本稿で自分が述べたかったことの全てです。大学生活こそが始まりであり、大学受験などただの準備体操にしかすぎません。さっさと突破して次のステージに進みましょう。

では、またどこかの大学で逢えることを願っています。

Dominican International School:
http://www.dishs.tp.edu.tw/