活動報告 「世界の学校から」vol.18 藤原彩加

Elmwood High Schoolは、「社会のリーダーになる女性を輩出すること」をモットーするガールズスクールで、カナダにおいて最も入学が難しいと言われる私立高校の一つです。逸話によると、子供が生まれたときにWaiting Listに申し込んでも、小学校に進学する6歳までに順番が回ってこないこともままあるとか。今回は、慶応義塾大学法学部政治学科3年の藤原彩加さんに、Elmwood High Schoolをご紹介いただきます。

    
    
藤原彩加。1988年生まれ。5歳から9歳までフランス・パリで過ごし、帰国後、東京の小学校に通う。小学校6年からインドネシア・ジャカルタ。中学1年の時に日本に一時帰国、中学2年でインドネシアに戻るが、その直後にカナダに渡り、オタワにある私立高校へ編入。卒業後、慶應義塾大学法学部政治学科に進学し、現在3年に在籍。RTNプロジェクト広報代表&慶應義塾大学支部代表として活躍。

活動報告

Elmwood High Schoolはこんな高校です!

Elmwood High Schoolは、カナダにおいて最も入学が難しいと言われる私立高校の一つです。逸話によると、子供が生まれたときにWaiting Listに申し込んでも、小学校に進学する6歳までに順番が回ってこないこともままあるとか。

ESL(English as Second Language)プログラムがないため、基本的にノンネイティブの生徒は積極的に受け入れられていないようです。ESLでも受け入れが可能なのは、世界の姉妹校からの留学生と大統領・首相・外務省の子弟など。

Elmwoodはガールズスクールなのですが、「社会のリーダーになる女性を輩出すること」をモットーに行われる最先端の教育は、高い社会的な評価を得ています。9学年-12学年の高校4年間、生徒は教育の一環としてPCを一台ずつ配布され、授業はすべてそのPCとSMARTboardのタッチパネルを使って行われます。

また、北米で初めて3段階レベル別のIBプログラムを取り入れた学校であること、大学進学率が100%であること、クラスが少人数制であることも、社会で の高い評価に関係しているようです。統計によると、大学進学率100%のうち、98%の学生が自分の希望の大学に入ります。先生対生徒の割合は1:7で、 クラスはどれも2人から20人です。

「リーダーになる女性を輩出する」教育方針

Elmwoodは「社会のリーダーになる女性を輩出する」という明確な教育方針および目的を持っています。これは裏を返せば、現状では女子があまり学校で 活躍できていないということを示唆するものです。やはりカナダとはいえ、一般的に男女共学ではまだMale-dominantなところも多く、生徒会など の面でも、授業参加度の面でも、女子に遠慮が見られることも多いと言います。こうして育った女性が、果たして社会でリーダーとして活躍できるのか。それ が、Elmwoodが女子高であり続ける理由のひとつです。

Elmwoodは女子高なので、そうした点では他の高校とは全く違います。授業でもディベートでも生徒会でも、女子同士、みんなが遠慮なく競い合い、助け合い、高めあう。そのせいか、アグレッシブな女の子が多いようで、一度学校の授業を見に来た友達などは、「この学校の女の子は、みんなすごく元気がいいよね」と驚いていました(笑)

「でも、現実社会は男性と女性が混じっているんだから、共学のほうがいいのでは?」など、女子校に関しては賛否両論あります。でも私は、人間として基本的 な芯が形成され始めるティーンネイジャーの時期に、「男性に引けをとらない」いわゆる「男勝りな」メンタリティを身につけられたというだけでも、 Elmwoodを卒業した意味があったと思っています。現実社会への適応や男性との関わり方など、懸念されるようなことは殆どすべて、あとで学ぶことが出 来るものですが、こうしたメンタリティはなかなか身につかないものだと考えるからです。

ESLがないからこそ、英語を学ぶのにうってつけの場所

ESLクラスに関しては、そういった制度自体がないだけでなく、そもそもESL生徒自体がほぼ皆無です。ESL生徒にとっては、まさに「逃げ場がない」状態です。だからこそ、英語を学ぶにはうってつけの場所だと思います。実際、私がそうでした。

13歳のとき、殆ど何も話せない状態でカナダに移り住んだ私は、挨拶すらもちゃんと出て来ないような状態でした。うんざりして「あー、誰か他にも私みたいな人はいないかしら」と思っても、そんな人はいないわけで、逃げ場がないわけです。だから、自然とベクトルが目の前のカナダ人に向き、「英語を勉強しなきゃ、早く追いつかなきゃ」と前向きに考えることができました。

ElmwoodにはESL制度がありませんが、だからと言ってESL生徒にとって学びにくい環境かというと、そんなことは全くないです。むしろ他の生徒が優秀なので、私のように英語が出来ない者は、学校の先生がマンツーマンの特別授業をしてくれるなど、かなり手厚いExtra careをしてもらえました。そのおかげで、1年目から取っていたレギュラーの単位も、ひとつも落とさずに済みました。本当にElmwoodの先生方には感謝の気持ちがいっぱいです。

IBについて

Elmwood High Schoolが近年取り入れた、Ontario州のThree levels of the IB Programmeですが、私の知る限り、USのIBともUKのIBとも異なります。そして、まだ日本ではあまり知られていません。そのため、現段階では、大学の受験選考の際に不利に働く可能性があると私は考えています。

High level IBを取った暁には、週末の睡眠時間も削られるほど大変なのに、スコアはIBスタンダードで測られるのでやや低めになることも多く、私のときは踏んだりけったりのシステムでした。Art IB High Levelくらいなら趣味の延長で取ってもいいかも知れませんが、大学受験で、必ずしも大学側がこの特殊なスコアシステムを理解しているとは限りません。Full IBはやりがいがあるのは確かですが、受験を考えるならとらないほうが無難だと私は思います。

ハウスについて

小説「ハリーポッター」で、Slytherinとか、Griffindoreとか、名前のついたハウスがありますよね。Elmwoodにもそれがありま す。入学時に決められたハウスは、卒業するまで変えることができません。ハウスカラーがそれぞれ決まっていて、赤のFry, 紺のNightingale, 水色のKeller, それと黄色のWilson。私服登校が可能な日には、必ずハウスカラーで登校するという決まりがありました。同じハウス同士だと会う機会も多いので、自然 と勉強面で助けあったり、仲良くなったりします。

私たちより下の代のElmwood生はハウスへの帰属意識が強かったようですが、私達の代はハウスに対する帰属意識があまりなく、それこそFryの子が黄色い服で登校したりすることがままありました。別に私たちはそれで大丈夫だったのですが、「あいつはFryなのに!」という他学年の視線が痛かった(笑) 人種も言語も均一なので、ハウスカラーが人を区別する基準になっていたような気がします。

Elmwoodからの帰国受験生へのメッセージ

そんなニッチな方が、果たして私の他にこれから現れるのかどうか疑問ですが、私の思うところを書きます。

ガールズスクールだからこそ学べること、ESLがないからこそ出来ること。それがElmwoodにはあります。私はElmwoodを卒業して心から良かっ たと思うのは、「女性として社会のリーダーになる」というメンタリティを養えたことと、すばらしい環境で英語が学べたということです。この学校、合う人に はぴたっと合います。

合う、合わないというのはもちろんありますし、オタワにはGlebeなどの充実した公立校も沢山ありますが、私は女の子にはぜひElmwoodをお勧めします。ここで得られるものはそれほど大きいものだと思います。

Elmwood High School :
http://www.elmwood.ca/