海外生活体験者・社会人インタビューvol.54〜後編〜

report_19fujiwara_1.jpg 藤原彰子さん。新聞記者の父の転勤に伴い、6歳から11歳までの5年間をエジプトのカイロで過ごす。その後、中学2年から高校1年終了の3年間をイタリア・ローマに滞在。日本の高校に編入後、学習院大学に入学。入学直後の8月からエジプトのカイロ・アメリカン大学へ留学し、約2年間にわたりエジプト考古学などを学ぶ。学習院大学に復学し卒業後、読売新聞社に入社。「読売新聞」の外資系の広告営業担当、英字紙「ザ・デイリーヨミウリ」の広告営業担当を経て、現在広告局マーケティング部で調査や取材などを担当。

歴史がある国っておもしろい

―考古学の勉強っていうのは、実際に発掘とかもやるんですか?

専攻が考古学であれば発掘とかもやるんですが、私の場合、教養課程の一年目だったので、発掘まではやりませんでした。その代わりに、フィールドワークとして、教授と一緒に遺跡や博物館めぐりなどをしてました。

―エジプト留学中に印象に一番印象に残ったことってなんですか?

ピラミッドの周りって砂漠なんですけど、そこには今でも山のように遺跡が埋れているんです。5000年前と現在が共存してます。歴史がある国でおもしろいという印象でした。また、エジプトでは勉強をたくさんしないと、大学の授業についていけないので、けっこう勉強しましたね。どの科目も毎週テストがありますし。

あとエジプトにいてよかったことは、日本にいたら絶対に知り合えないような国々の人々と、知り合えることができたことです。クウェート・リビア・イラン・パレスチナといった国の人と友達になれたことは、自分にとって財産になっていると思います。

目標があるからこそ勉強も楽しくなってきた

―勉強がそこまで好きじゃないとおしゃってましたが、勉強するようになったきかっけを教えてもらえますか。

帰国子女だと、父親の仕事の関係で、小さい頃からいろいろな人と触れ合う機会があると思うんですね。外交官や商社マンなど、小さい頃からいろんな人をずっと見ていて、そうゆうふうになりたいという目標が無意識にあったんだと思います。

目標を高く持つことはやっぱり大切で、目標まで届かなくても、目標のちょっと下までいけるのかもしれないと感じる。目標を心に持っていると、それが原動力となる気がします。ただやみくもに勉強するだけだと面白くないけれど、目標があるからこそ勉強も楽しくなったのだと思う。

よく会社の上の人たちが言ってるんですが、社員の多くは入社するときはすごく優秀らしいんですよ。でも、入社してから、伸びない人も多いらしいんですね。それまで、ずっと努力しつづけてきて、安心しちゃうのかもしれない。会社に入ってからも、頑張って続けて勉強しようという人が少ない。今までの日本の場合、会社に入社することがゴールだったのかも。ただ、外国人を見ていると、会社に入ってからも、常に切磋琢磨している感じがします。

そういうふうになってしまうのは、日本の受験戦争が大変すぎるからかもしれないですね。小学校のときは中学受験、中学のときは高校受験というように、常に頑張っているから、ある時点で疲れてしまうのかもしれない。そういう意味で、帰国子女のように、子供の頃自由時間があるのは、社会に出てから強いんじゃないかなっていう気がします。なんてったって力を温存してるから(笑)

「君は広告のほうがいいんじゃないか?」

―新聞会社に勤めている方って、すごく激務なイメージなんですが、実際どうですか?

そうですね。記者は、最初地方で警察廻りなどをします。本当に「夜討ち朝駆け」です。3年から5年、地方の支局で苦労して、そのあと東京へ戻ってきます。それから各部署に配属されます。ただ、私は広告局に所属しています。

広告局の仕事っていうのは、新聞に出る広告を探してくる。新聞に広告を出してもらう仕事です。ですから、お客さんのところに行って「広告出してください!」とセールスするのが、主な業務内容です。一言で言うと お金を稼ぐ部署です。お金を稼ぐやり方が、通常の広告掲載だったりイベントだったり、いろいろあります。

―やはり最初から広告局希望だったんですか?

読売の場合は、入社試験の時点で、部署別に受けなくてはいけなかったんですね。だから、入社試験の段階から広告局を志望していました。ただ、就職活動開始当初は、広告局を志望していたわけではないです。最初は、事業局志望でした。考古学も少しかじってたし、語学も使えるかなと思って、展覧会をやるような部署を志望していました。展覧会をやるような部署っていうのが事業局なんですね。

ただ、ライバル社A社に面接を受けに行ったときに、「君は広告のほうがいいんじゃないか」「広告向いているよ」と言われたんです。それまで一切、広告っていうのは全く頭の中になかったんですが……。そういった理由で、広告局を志望することにしました。そして、それ以降に受けた試験では、広告局志望で試験を受けました。

―お話を聞いていると、広告局の業務は営業がメインという感じですが、営業っていうのは、人と会うのが好きじゃないといけないんですか?

そうですね。人と会うのが好きということは大切ですね。あとは、お客さんを好きになることもすごく大切。自分の会社が好きで、お客さんを好きになると、営業的にうまくいくというのを感じます。まぁ、今不況だから、それだけじゃないんだけど(苦笑)

ひとに会って、大きなことをやって、お金を稼ぐ

―広告局の醍醐味とかやりがいを教えてもらえますか。

自分でお金を稼いで来られることですね。ちょっとゲーム感覚ではありますが、自分で戦略を立てて、それが上手く行き、結果的にお金が入ってきたときの満足感っていうんですか。

あとは、読売新聞という大きな会社のもとで、大きなことをやらせてもらえること。自分の好きなことをやらせてもらえることもある。自分個人で会社を起こして、企画をやろうと思ったら難しいと思うんですが、会社の名前で企画をやらせてもらえる。そういう意味で、今の会社はすごくいい会社だと思う。意味があり、儲けの出る企画なら、自由にやってもいいよ、と思ってもらえる懐の広さが、今の会社のいいところですね。新聞社はそういう意味で面白いです。

そのほかには、いろんな人に会えることです。大学受験したときに、学習院しか受けなかったんですね。他にいろいろ大学を受験してみたかったけれど、それができなかった。それが心の中に残っていたんですが、英字新聞「デイリー・ヨミウリ」で香港杯という大学のスピーチコンテストを企画していたときに、東京の大学はほとんど回ることができた。また、香港杯の優勝者とも一緒に旅行をするなど、多くの大学生とも接点が持てた。自分は大学をひとつしか受けなかったけれど、会社に入ってこの企画を担当することで、たくさんの現役大学生と交流が持てたことで、いろいろな大学に入ったような気分になれた。いい経験ができたと思っています。

新聞社はいろんな仕事ができる会社。いろんな業種があるのは新聞社の自慢です。

―では最後に、就職活動している学生にアドバイスをもらえますか?

語学は武器になります。帰国生の特技である語学力に、謙虚さを持ち合わせれば強いと思う。あとは、最後まであきらめないことが大切。就職はお見合いみたいなものなので、必ず縁のあるところにいけると思います。だから様々な企業を受けて欲しいです。人の意見に惑わされず、自分を信じて就職活動してほしいですね。

カイロ・アメリカン大学(AUC:The American University in Cairo) :
http://www.aucegypt.edu/
活動報告 vol.19 藤原彰子
http://www.rtnproject.com/2008/08/_vol19.html

インタビューアから一言

藤原さんは、ご自身で勉強が嫌いとおっしゃっていましたが、お話を聞いている限り、すごく知的探究心が強いと感じました。また、エジプトのお話は大変興味深かったです。私も一度エジプトを訪れたくなりました。土日も学校に通われていてお忙しいに、インタビューに応じてくださって、本当にありがとうございました。

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interviewer_s_13_profile.jpg 秋山雪乃。1986年京都府生まれ。中学2年まで日本で過ごし、その夏に渡米。カリフォルニア州サンディエゴ・アーバインなどに滞在し、高校2年の年に 一 時帰国。その夏、再び渡米。University High Schoolを卒業し、帰国後、早稲田大学法学部に入学。1年休学して北京語言大学に留学し、現在4年に在籍。憲法水島ゼミ所属。学生NGOチャオに所属し、中国ハンセン病療養者村でのボランティアに従事している。