帰国子女大学入試・合格体験記vol.34

interviewee_s_169_profile.jpg 吉江奏太さん。1989年生まれ。小学6年生から高校卒業まで米国カリフォルニア州サンノゼ、サンタバーバラに滞在。Dos Pueblos High Schoolに通う。高校ではバスケ部に所属し、州大会CIFに出場。高校卒業後、日本に帰国し、一橋大学経済学部に入学。現在3年 に在籍中。大学では開発金融を専攻し、バスケ・サークル代表を務める。国立バスケットボール・リーグ2010主催者。

【一橋大学経済学部合格】

<国立大学受験について>

まず、私は日本に帰国する前までは、大学受験対策を全くしませんでしたし、一橋大学の名前すら知りませんでした。また、統一試験のSATは、高校を卒業する2ヵ月前に実施される試験を受けただけで、3ヵ月ほどしか勉強しなかったので、非常に低い点しか取れませんでした。その結果、私立大学の試験は、ほぼ全て書類審査で落とされました。一橋大学の入学試験は、他の大学と比べて統一試験のスコアは重視されないということを予備校の講師から聞き、もう後がない立場にいた私は、受験することを決意しました。

一橋大学の入学試験は2月から始まります。つまり、私立大学を受験される人たちよりは、勉強する期間が長くなります。ですから、受験へのモチベーションを高く持続することが非常に重要になります。予備校に通っているのであれば、私立大学志望の人たちが受験を終え、遊んでいるのを見かけると思いますが、彼らの誘惑に負けてしまわないようにしてください。目先の楽しみよりも、より良い大学の合格のために勉強するのが最優先です。

また、受験対策の期間が比較的長いとはいえ、多くの人は海外の高校を卒業してから試験まで半年ほどしかありません。したがって、自分が合格するには何を徹底的に勉強していくべきか把握し、受験スケジュールを組み立てることも重要になります。では、これから、個人的に、どのように受験対策を行ったかを説明します。

<入試対策>

一橋の入学試験には、対策することが三つあります。一つは、英語試験です。英語に関しては、過去問を解きつつ、出題される問題の形式と傾向を完全に把握することを目標としていました。一般的な帰国子女にとって、問題は英語力ではなく、いかに試験の形式に慣れることができるかどうかだと思います。一橋の試験においては、長い英文を的確に和訳することが頻繁に問われていたので、英語の新聞やインターネットのサイトに書かれている文章などを、日本語に訳す練習を毎日していました。試験形式とその傾向を理解し、自分の弱点だと思われる問題を解けるように、繰り返し練習していくことが重要だと思います。

二つ目の対策は小論文です。英語よりも小論文の出来が非常に悪かったので、試験日の2ヵ月前からは、ほぼ小論文しか対策していなかったと思います。なぜなら、12月頃になっても、予備校での小論文の評価は悪く、非常に焦っていたからです。この科目も英語と同様に、とにかく過去問を解いていました。試験当日まで、どのような分野の小論文が出題されるかわかりません。したがって、経済学、法学、社会学といったあらゆる分野で、自分なりの議論を論理的に展開できるように、本や新聞などを通じて各分野の知識を頭にたたきこんでいました

小論文対策で非常に役立ったのが、予備校の講師に言われて作成した「ネタ帳」です。ネタ帳には、新聞の記事に掲載されている時事問題や新書などで読んだ各学問分野の議論などをまとめていました。そして、それらを覚え、小論文の出題分野に応じた知識を使えるように準備していました。新書は一冊200ページほどですが、内容がとても濃いものも多く、受験期に30冊ほど読みました。私は経済学部志望だったので、経済学に関連した新書を主に読んでいました。時事問題や各分野の知識を小論文に取り入れることで、自分の文章に説得力が増し、また議論の内容も深くなるので、小論文の評価もそれだけ高くなります。

また、試験当日の小論文を書く時間は1時間程度しかありません。自分の書いた小論文の内容がいくら優れていても、制限時間内に書けていないと、それは審査側から見たときに小論文として認めてくれません。したがって、知識の蓄積も重要ですが、それをいかに早くアウトプットできるかが勝負となります。私は過去問の模試を何度も解いていましたが、なかなか時間内に書き終えることができませんでした。そこで、まず小論文をそもそも書くことをやめて、問題の出題内容を読んだときに、瞬時にどのような知識や議論を用いるのが適切か考える訓練をしていました。

三つ目の対策は、二次試験である面接です。面接でまず考えるべきことは、面接官が何を求めているかということです。面接官は、基本的に、受験者が合格するに値する人物なのか判断しているだけだと思ったので、志望している学部で勉強する内容の知識や常識を踏まえつつ、熱心に自分の考えを主張しました。相手が求めている人材に合うように自分をアピールすることが重要だと思いました。

面接では、志望理由や時事問題など、様々な質問を聞かれます。そのため、事前にどのような質問をされるか想定し、答えられるように準備していました。また、なぜ自分は一橋大学を志望して、なぜ経済学部なのか、そして、なぜそう思ったのか、自分で自分を問い詰めて、考えを掘り下げることもしました。つまり、自分の考えに疑問を持たれても、的確に答えられるように準備することが必要です。

また、面接官にたまに厳しい質問を投げかけられることもありましたが、そのときこそ焦らずに、数秒考えてから答えるようにしていました。受験の時期に話題になっていたある経済政策の問題について、自分の意見を聞かれたこともありました。しかし、ネタ帳のおかげもあって、面接官とその経済政策について5分ほど議論することができ、非常に知的好奇心が刺激される面接になっていきました。面接では、面接官と上手くコミュニケーションをとれるかどうかも問われているのかもしれません。

<最後に>

このような私の経験から言えることは、大学受験の準備を全くせずに帰国しても、継続的に勉強すれば合格できるということです。また、継続的に勉強する能力を身に付けるということは、大学に入っても、将来的にも非常に大切です。そして、多くの人にとって、大学受験という経験は一度切りです。国立受験を自己成長の機会として、ぜひ挑戦してみてください。

Dos Pueblos High School :
http://dospuebloshighschool.org/