帰国子女大学入試・合格体験記vol.36

interviewee_s_151_2_profile.jpg 稲葉省吾(どうかInaba Shogoと発音してください)さん。1990年神奈川県の生まれ。小学校5年生のときにアメリカ・ニュージャージー州に引っ越し、7年8ヵ月ほど滞在。Parsippany Hills High Schoolを卒業後、帰国。09年に上智大学国際教養学部に合格し、現在2年に在学中。

【上智大学国際教養学部合格】

書類の提出のみで合否が決まる

上智大学国際教養学部を受験する際には、小論文や面接などの試験を受けるのではなく、書類の提出のみで合否が決まるため、合格できるかどうかは高校在学中に決まると言っても過言ではありません。他の方々もそうだと思いますが、僕の場合はSATとTOEFLの試験で出来る限り高いスコアを出すことを中心に勉強し、出願に必要な書類が全て揃っているかも念入りに確かめながら、慎重に準備を進めました。

出願するに当たって一番重視したのは、SATとTOEFLのスコアを出来る限り伸ばすことでした。この2つの試験の成績は、受験者の英語を使っての読解力、および、会話能力を計るための指標です。そのため、これらの成績を基準に受験者の足切りが行われてしまうのです。僕の場合は、学校の勉強だけでは不足だったので、学外で日本人向けの塾に通いながら、SATとTOEFLの対策を行いました。

SATの対策をどうするか

SATでは、読解問題、英文法の問題、エッセイ(点数は英文法のスコアに加算されます)、そして、数学の問題が出ますが、一番時間を要するのは読解問題対策だと思います。

読解を英語で行うこと自体は、英語を用いなければならない環境に自らを置けば、自然と可能になっていきます。しかし、SATで出題される問題に含まれている英単語は、学術的な日常で用いられない単語が多いため、自ら進んで単語の勉強を長期的に行わなければ問題を解くことすらままならないのです。

僕自身は超人的な記憶力を持っているわけではないので、約3000枚の単語カードを塾の先生の指導のもと制作し、毎日地道に勉強しました。その結果、満点ではありませんでしたが、十分満足のいくスコアをたたき出せました。

英文法の問題と数学の問題は、教材と過去問を繰り返し解くことでスコアを伸ばせました。しかし、どちらも1、2問間違えるだけでスコアに大分開きが出てきますので、常に油断はできませんし、余裕はありませんでした。実際に僕は、英文法の問題で良いスコアを出した後、100点近くスコアを下げたことがあります。

エッセイは、インターネットの普及についての是非や、教育制度を改革することについての是非などの意見を問われました。基本的には、自分の立ち位置を決してぶらさずに、SATの読解問題に出てくる難しい英単語を1つか2つ使うことを意識して、文章を書きました。結果的には、エッセイで平均をはるかに越えるスコアを出すことはできませんでした。なにか改善できたはずなので悔やまれます。

TOEFL対策をどうするか

TOEFLは、そもそも英語を母国語としない人々のための試験なので、出題された読解問題は、SATほど難しくはありませんでした。試験は全てコンピュータで行われるため、最初のうちは目がつかれたり、読みづらく感じたりしましたが、何回か試験を受けていくうちに、慣れて行きました。

むしろ、スピーキングとリスニングのセクションで苦戦しました。特に、スピーキングは自ら質問の答えを考える必要が出てくることもあるため、集中力が途切れてと問題を聞き逃し、一気にスコアが下がってしまいます。TOEFLの試験は休憩時間を挟むため、それを有効的に使って、試験中に集中力を切らさないように過ごすよう努めました。

TOEFLでもエッセイを書く必要がありますが、こちらの場合はパソコンでタイプできるし、出題される問題も決して難しいものではなかったため、SATのエッセイ対策を行っていれば大丈夫でした。SATのときよりも、誤字・脱字や内容が矛盾していないかなどを確認するための時間がとれたため、常に20点台半ば(IBTの場合、各セクション30点満点)の成績を残せました。

出願に必要な書類を集める作業は時間をかけ、慎重に行いました。出願した書類の中に不備が1つでも見つかれば、その時点で不合格が確定するからです。国際教養学部の受験には、様々な書類が必要ではありましたが、出願期間直前に慌てて書類集めを始めたりするのでなければ、余裕を持って全ての書類を揃えられると思います。

その他の対策 学校の成績・推薦状・出願理由

学校の成績も受験者の能力を知らせるためには十分役立ちますので、日頃から高い評定を得られるように努力しました。品行方正な生徒であるよう心がけ、特殊な事情がない限りはきちんと学校に行くようにし、成績表を見た上智大学の方々に僕を高く評価してもらえるように、出来る限りのことはしたつもりです。

成績表を提出するに当たっての注意ですが、卒業式の時点では高校4年の最終学期の成績が出ていない可能性があり、卒業前に用意した成績表では認められないことがあるかもしれません。実際に、僕が最初に用意した成績表は最終学期の成績の欄が空白で、日本に帰国した後に、最終学期の成績が含まれた成績表を改めて用意してもらいました。

推薦状は大学が指定したフォーマットを渡して書いてもらいましたが、それ以外は何かを指定して書いてはもらったわけではなく、先生たちの意見を尊重して書いてもらいました。ただし、書いてある内容を僕個人で事前に確認したかったため、1通ではなく3通ほど書いてもらいました。

「出願理由」を述べたエッセイは500ワード程度の短いものでしたので、他校の受験に対する準備と並行して作成できました。純粋に「なぜ国際教養学部に行きたいか」を自分で思いついた言葉で書き、SATに出てくる学樹的な言い回しや難しい単語は使いませんでした。エッセイのチェックは予備校の英語教師に頼みましたが、これといって手直しはされませんでした。

出願書類自体は日本に戻って来る前に全て揃えたので、予備校に通っている間は他校の受験勉強に集中出来ました。集中できたと言っても、結果自体は芳しくありませんでしたが(苦笑) 国際教養学部の受験にあたって、予備校のお世話になったのは「出願理由」のエッセイのチェックだけでしたが、授業を通して他校に合格できるほどの力をつけることはできました。

最後に 帰国受験生に贈る言葉

上智大学国際教養学部の受験は、一般生の受験とも帰国生の受験とも異なった形式で行われます。その分楽だと思われるかもしれませんが、実際には毎年学部全体で200名程度――春学期入学と秋学期入学がそれぞれ100名程度――しか合格できないので、簡単なわけではありません。

最後になりますが、この合格体験記が上智大学国際教養学部の受験を考えている方々の参考になれば幸いです。

Parsippany Hills High School :
http://www.pthsd.k12.nj.us/SCH/PHHS/home.html