帰国子女大学入試・合格体験記vol.42

interviewee_s_157_profile.jpg 矢田部浩平さん。1988年山口県生まれ。関東を点々としたのち、マレーシアで3年半をすごし、帰国後、小学2年から東京で暮らす。高2で渡米、カルフォルニア州ロサンゼルスのPalos Verdes Peninsula High Schoolを卒業後、大学受験のため単身帰国。現在は早稲田大学基幹理工学部表現工学科及川研究室に所属。デジタル信号処理などを中心に音響の研究をしている。

【早稲田大学基幹理工学部合格】

はじめに

帰国子女入試には、実に多種多様なバックグラウンドを持つ学生が集まります。僕は、子供の頃を除けば、高校時代1年10ヶ月しか海外に滞在していません。学生時代のほとんどは日本で過ごし、帰国子女入試受験者の中では最も日本式の教育を受けた部類です。高校受験もしています。そんな僕の体験を、これから帰国子女入試を受ける方の役に立てばと思い、書き記すことにします。

早稲田大学合格への道のり

僕は17歳の夏に、父の仕事の都合でアメリカに引っ越しました。現地の高校に通いましたが、特に英語が話せるようになったわけでもなく、あっという間に卒業しました。在学中に統一試験は何度か受け、SATの最高点は1590/2400(そのうちMathが800)でした。SAT IIは物化数3科目で2310/2400を取りましたが、英語ができないことは大きなハンディキャップだと自覚していました。

6月に高校卒業後すぐ帰国し、入試までの2ヶ月半を予備校の寮ですごしました。音に関わる研究がしたかったため、第一志望は早稲田大学基幹理工学部、それ以外は考えていませんでした。

日本で「入試2ヶ月半前」と言えば冬です。その時期に一時帰国して、同級生が受験勉強をしている様子を見たことがあります。高1の頃は授業をサボってばかりだった友達も含めて、全員が「誰も話しかけるな」という雰囲気で、昼休みでも勉強していました。

一応都立トップの進学校だったので、「1日12時間勉強して、移動と食事に4時間を費やしても、8時間も寝られる」と書いてあるプリントが配られたことを覚えています。当時は「そんなに勉強するわけないじゃん」と馬鹿にしたものですが、実際に友達が受験勉強をする姿を見たら、その言葉以上のすごみを感じました。

ところが、帰国子女の「私立大入試2ヶ月半前」は、一般の受験生と大きく違っていました。人によっては、勉強よりも遊びの方が盛んで、試験2週間前になってやっと勉強を始める人もいました。試験当日に会場まで応援に来てくれた友達が、「帰国生ってすごいね。緊張感のなさにビックリした。」と言っていたぐらいです。

僕は「早稲田に落ちたら一般受験しよう」と思っていたので、確実に受かることだけを考えて夏をすごしました。まず、過去問をあるだけ集め、傾向を分析して必要な勉強を見定めました。そして自分の学力を常に計りながら、入試までの時間を逆算し、優先度の高いものから徹底的に勉強しました。例えば、「いくら数学や物化で張り合えても、英語で大差を付けられては負ける。早稲田の物理は力学と電気しかでないから、熱力や波動は捨ててその分英語をやろう」といった具合です。

その結果、無事第一志望に合格しました。数学と化学で冷や汗はかきましたが、英語や物理は概ね狙い通り上手く行ったと思います。

これから受験をする人へ

受験は、しなければならないことではありません。するかしないか、どれだけ頑張るか、どこの大学を目指すか、全て個人の自由です。でも、受験の結果が残り60年の人生を左右します。「失敗した」と後で後悔をしても、誰もその責任を取ってはくれません。是非、それぞれの人にとって良い結果となるように頑張って欲しいです。

そのために、志望校選びは大事なことだと思います。例えば、「なんとなく良さそう」といった曖昧な志望理由では、勉強に対するモチベーションを保てないのではないでしょうか。しっかり調べて、自分が何をしたいのかを考えて、行きたい大学を選べると良いと思います。

あとは、とにかく頑張って勉強してください。遊びたいなら、受験が終わってからいくらでも遊べます。帰国子女入試は何回も受けられるものではありません。せっかく特別枠で入試をしてもらえるのだから、そのチャンスを逃してはもったいないと思います。

ちなみに、僕のように範囲を絞って勉強することはあまりオススメしません。もし自分の受ける年に過去の問題と傾向が変わったら、捨てた範囲分点数を失う可能性があります。実際に、僕の年は化学で過去問にはない範囲が出て、何も答えられませんでした。また、複数校受験する場合にも、範囲を絞るとリスクになる可能性があります。早め早めから広く深く勉強しておくのがベストでしょう。

Palos Verdes Peninsula High School :
http://www.pvphs.com/