海外生活体験者・社会人インタビューvol.60〜第1編〜

interviewee_s_154_profile.jpg 池光正弘さん。1966年生まれ。徳島県出身。88年、徳島大学を経て、日本マクドナルド株式会社に入社。ビジネスのノウハウを習得した後、03年に株式会社はなまるに入社。その後、独立を決意し、モスクワにて06年に有限会社MIBを設立し、07年7月に日本食レストランУДОНъяСАНを創業。店舗はモスクワに8店舗、ニジニ・ノヴゴロドに1店舗を展開中で、10年4月からはサンクトペテルブルクにも出店予定。現在は社長として、サンクトとモスクワでの展開促進と、日本の居酒屋のような新規業態の展開に向けて精力的に活動中。

今回インタビューを受けていただいたのは、モスクワで日本食レストラン「УДОНъяСАН(読み方:ウドンヤサン)」を経営されている池光正弘さん。彼の独立に向けて歩まれた道のりについて、熱く語っていただきました。

飲食業で独立したい ~マックドナルドが呼んでいる♪~

―初めは、どのようなお仕事をされていたのですか。

初めは、マクドナルドで働いていたんですよ。理由は独立がしたかったからです。

大学はコンピュータ系が専門でした。でも、その専門を選んだときは「なんとなく」だったんです。初めは、同じ工学部でも土木科に憧れがあったのですが、どうせ進むならコンピュータ系に行ったほうがいいと周囲から言われて。そんな中途半端な動機でしたし、コンピュータ系で独立しようとなると、巨額の資本が必要になるし、専門分野での独立には、今イチ実感がわかなかったんです。

なぜマクドナルドかというと、きっかけは学生時代にアルバイトをしていたからなんです。そのときに、社員向けのフランチャイズ独立制度があることを知りました。世界中に展開し成功している企業で、ビジネスについて学べて、しかも、社員独立制度もある。さらに言えば、飲食業での独立は、コンピュータ系の独立よりも実感がわきやすい。そこで、マクドナルドで働くことに決めました。

国立大学に入って、工学系で、しかも、ちょうどバブル期でしたからね。ハンバーガー屋で働くと言ったら、両親はびっくりして難色を示しましたよ(笑) それでも、マクドナルドに入って、私は良かったと思っていますよ。

人材育成に強い印象 ~奥さんにもボーナス~

―マクドナルドに入社されてからは、どのようなお仕事をされたのですか。

実際に行ったのは「店舗の管理業務」と「新制度導入の試み」の大きく分けて2つですね。

店舗の管理業務ですが、これはトラディショナルとサテライトの統括をする業務です。通常店長1人当たりおよそトラディショナル1店舗とサテライト2店舗を受け持っていました。新制度導入では、Made For Youシステムの導入や、グループ店長、新規プロモーションなどをやっていました。

―あ、あのぅ…不勉強で申し訳ないのですが、いろいろとカタカナが……。

ああ(笑) トラディショナル店舗というのは、独立店舗です。ドライブ・スルーができたり、駐車場があったりするタイプのものです。サテライト店舗というのは、デパートのフードコートに入っているような店舗を想像していただければわかりやすいと思います。

Made For Youシステムというのは、お客様から注文を受けてからハンバーガーを作り始めるシステムです。グループ店長というのは、サテライト店舗を地域エリアでまとめる、そのエリアの責任者のことを言います。従来のトラディショナル1店舗とサテライトを2店舗という形態から、サテライト店舗だけを別にするわけですから、そのエリアの社員1人あたりの負担が軽くなります。新規プロモーションとは、新商品を売り出すことです。例えば、マックリブとかご存じですか。

―はいっ!! 懐かしいですねぇ。

でしょう(笑) そういう意味では、いろいろとチャレンジさせてもらえたなあと思っています。

マクドナルドで勤務していたときに一番印象に残ったのが、人材育成システムでした。「部下が育たないのは上司のせい」という考え方が根底にありました。マクドナルドの実際の現場では、社員1割アルバイト9割以上の人数比ですから、人を育てられることが重要な能力なんです。

そのためか、環境はとても恵まれていたと思います。先述の通り、いろいろなことに数多くチャレンジさせてもらえました。また、育った人材を外に出さない制度も充実していました。社員独立制度はその一つですし、福利厚生も面白いものがたくさんありました。一つ具体例をあげると、夏・冬以外のボーナスに決算ボーナスというのがあって、その時は、ボーナスからいくらかの額が社員の配偶者に直接支給されました。「社員が健康的に働けるのは、家でちゃんと支えてくれる方がいるからだ」ということなのだとか。

―初めて聞きました。大変興味深いシステムです(笑)

そうでしょう(笑) マクドナルドで働いていたときに、世界展開で飲食業を行うノウハウを学んだだけでなく、人材育成の大切さも学ぶことができました。

力試しのとき ~社員独立制度の一時廃止~

―マクドナルドからはなまるうどんへと転職されているようですが、なぜですか。

実はですね、社員独立制度がなくなってしまったんです。私がちょうど37歳くらいの頃、マクドナルドは一時的に社員独立制度を取りやめてしまったんです。今は復活したそうなのですが、将来独立しようと考えて入社していた私にとっては、夢を断たれる思いでした。

きっかけとなったのは、はなまるうどんの方から声をかけていただいたからなんです。ちょうどその頃、私は香川エリアを担当していたのですが、事業拡大期にあったはなまるうどんの方から、「力試しをしないか」とお誘いいただいたんです。

自分で言うのもなんですが、マクドナルドにいたときは、比較的に出世している方でした。しかし、「それは自分の実力なのか」それとも「マクドナルドの完成されたシステムの中だけでしか通用しないのか」と悩んでいました。一方、当時のはなまるうどんでは、事業拡大に向けて100人以上の新入社員がいましたから、そのひとたちと横並び一線の競争をして、力試しができる新しい環境でした。

大きな会社でビジネスのやり方を学んで、小さい会社を大きくして、その後独立。流れとしては良いのではないか。自分は37歳だし、3年したら40歳とキリが良くなる。ならば、40歳で独立しようじゃないか。そう思い、3年契約で株式会社はなまるで働くことに決めました。

はなまるでも、それはもうバリバリ働きましたよ(笑) 入社時はスーパーバイザー見習い、入社1ヵ月後はスーパーバイザー、3ヵ月後は統括スーパーバイザー、半年で副部長、2年で事業部長になりましたからね。それまで40店舗ほどだったのに対し、部長になった年には、新たに120店舗開店しましたし、入社後3年目には、上場審査が通るまでになりましたからね。充分に力試しができたと思っています。

―す、すごいですねえ……。圧倒されてしまいました(笑)

第2編はこちらから>>
木村荘一郎。1987年生まれ。高校三年間を米国オハイオ州で過ごし、帰国後は北海道大学経済学部に入学。現在3年に在籍。1、2年は課外活動、2、3年は学業に精力的に取り組み、現在はモスクワ大学外国語学部に留学中。ロシア語の研修をしながら、現地で様々な出来事と格闘中。