帰国子女大学入試・合格体験記vol.44

interviewee_s_158_profile.jpg 上田千佳さん。1989年生まれ。京都出身。4歳から13歳までをロンドン、中学3年 から高校1年までをニューヨーク、高校卒業までをロサンゼルスで過ごし、LAのWest High Schoolを卒業後、帰国し、東京大学文科Ⅰ類に入学。現在法学部2類(公法コース)3年に在籍。大学ではスポーツ愛好会バレーボールパートに所属し、セッターとして日々練習に励みつつ、学外の社会人サークルでイラスト活動にも勤しむ。3年からは刑事政策を扱う川出ゼミでも奮闘中。

【東京大学文科Ⅰ類合格】

はじめに、大学受験が三年前のことなので、記憶が多少曖昧なことをご了承下さい。そしてせっかくなので、帰国前の勉強、帰国後予備校での勉強に加えて、現在の大学の勉強についても多少触れて、合格体験記を書きたいと思います。

帰国前の勉強 SAT&TOEFL対策

東京大学の試験は、SATとTOEFLによる書類選考の一次と、小論文、英語、面接による二次試験があります。海外在住中はひたすらSATとTOEFLの勉強をし、点数を1点でも上げることに努めながら、私立入試に備えて小論文の訓練もしていました。

東大は『同じ学校出身者の人を同じ科類には絶対に取らない』という変な噂があったせいで、同じ塾の友達同士でお互いが何点なのかを競い合う、正直気まずい受験生活を送っていました。あとで、都市伝説の類だとわかったのですが(苦笑)、主に単語、おそらく半年で6000個以上を暗記して、ひたすら過去問を解いていました。

かってがわかってきた頃には、家で一日SATの数学50分、Reading25分writing50分、単語暗記3、4時間のペースで勉強していました。しっかりと日々予定、ノルマを立てた方が、その後は何をしてもいい!という希望が持てて、逆に一所懸命集中して勉強できました。

帰国後 予備校での小論文対策

私立入試の後、日本の予備校を選択した理由は、向こうの塾の先生にそう勧められたからでした。まるで「本当に東大に受かりたいなら、お前は俺じゃなくてもっと良い先生の所に行くべきだ」とでも言うような先生の口調は、今でも覚えています。

帰国後の予備校では、腱鞘炎になるほどの小論文の書き直しと、読んだ本や資料の内容をまとめるネタ本作りの作業を行っていました。「アウトプットできない情報に意味はない」。その言葉が受験中はとても印象的で、それが私の信念だったとも言えます。

私は本を読むのが極端に遅く、もっと言えば嫌いでした。手持ちの武器が少ないのなら、それを人の何倍も使いこなせなければいけない。だから同じような題材についてでも色々な問題に応用出来ることを理想に、何度も何度も過去問を解き、何度も書き直しを行いました。

試験当日 合格答案対策

ちなみに試験当日は、ちゃっかり作戦勝ちと言いますか、問題(確か「弱者の利益をいかにして守るべきか論じなさい」)を見た瞬間に何も思いつかなかったため、受験勉強時代に書いた40本以上の小論文から、一番題材が近いと思ったものを、問題に沿うように少し修正して、あとは覚えていた通りの丸写しでした。何度も添削や書き直しを繰り返していた分、余計な内容のない筋の通った小論文になると思ったからです。実際受かったので、努力の甲斐があったと思いました。

大学入学後 学期試験対策

合格体験記なのに大学の試験勉強について語るのも申し訳ないのですが、私は正直今の試験の方が十倍しんどいです。東大でクラスメイト達が「暗記ゲー」と揶揄するように、それは穴埋めや間違い探しのような、暗記が全ての試験だからです。帰国子女の私には、経験したことのない細かで正確な暗記が要求されて、とても苦戦しました。もちろん一般受験生の皆様は何なくこなします。今までインプットから逃げてきたつけが回ってきたなと感じました。

しかし、学部の勉強が始まると、少し状況は変わります。法学部の試験は東大帰国枠の小論文ととても問題形式が似ています。120分で2問論述、出席点は一切ありません。私は、意外にも法学部の試験の成績は上々でした。逆に、駒場時代にとても楽に試験をこなしていた友達が、ふたを開ければ意外にも成績の評価が低かったのです。本をたくさん読んでいたけれど、彼の答案は評価されなかった。論述のスキルというものは日本ではほとんど教えられていないのでしょう。

人生で使うタイミングは異なっても、読書、暗記を中心とするインプット、論述を中心とするアウトプットは、どちらも必要になると思います。受験勉強は、大学合格のためという都合の良い理由付けで、大切なスキルを訓練する非常に良い機会でした。得意な方だけでもいいです。皆さんも自分の将来のために頑張ってみてください。

Torrance, West High School :
活動報告 「世界の学校から」vol.12 山下博之
http://www.rtnproject.com/2009/08/_vol12_1.html