帰国子女大学入試・合格体験記vol.49

interviewee_s_165_profile.jpg 貫井隆さん。小学校5年から中学2年までの3年間をアメリカ合衆国イリノイ州で過ごす。帰国後、地元の中学校へ半年間通い、中学3年から駒場東邦中学校へ編入。国際基督教大学高校へ進学し、大学は受験勉強を経て、国際基督教大学へ進学。現在教養学部アーツサイエンス学科3年に在籍。

<駒場東邦編入>

~1度目のカルチャーショック~

私は、中学2年の秋にアメリカから帰国し、地元の中学校へ半年間通いました。中学校では、最初はカルチャーショックもありましたが、前にいた小学校のときの友達が多く通っていたこともあり、比較的楽しく通うことができました。

~駒場東邦帰国編入試験~

その後、駒場東邦中学校へ帰国生入試で編入する機会があるということで、ダメでもともと、せっかくのチャンスなのだからと思い、試験を受けました。その結果、幸いにも合格し、中学3年からは駒場東邦中学校へ通うことになりました。ただ、その頃やっと地元の中学校に本当になじみ始めてきたので、また慣れ親しんだ場所を離れることが、少し寂しかったことを覚えています。

~面接の態度がすごく重要~

編入試験についてですが、試験科目は数国英の3科目と、親同伴の面接でした。特別、編入試験のための対策はしていませんでした。試験の出来ですが、英語はできましたが、数学・国語の点数は芳しくなかったのではないかと思います。特に数学ですが、鋭角が30度・60度の直角三角形の辺の比すらわからなくて、筆箱から三角形の定規を取り出して、目分量で比を推測しようとしていた記憶があります(笑) それでも合格したのは、これは後でお聞きしたことなのですが、「面接での態度がものすごく良かった」からだそうです。

~2度目のカルチャーショック~

駒場東邦へ合格したのはよいのですが、そこで私は、帰国して地元の中学校へ入ったとき以上のカルチャーショックを受けることになってしまいました。まず、男子校だったというのが一つの大きな点です。私はそれまで共学の学校しか通ったことがなかったため、男子校という環境にあまり馴染めなかったのです。

もう一つは、生徒が「受験勉強だけしてればいいよ」というふうに育てられたのだろうな、と思うような人が多かったということです。私もどちらかと言うとそうなのですが、とても温室育ちの生徒が多く、少し辟易してしまったところがありました。結局、駒場東邦には中学3年の1年間しかおらず、高校からは国際基督教大学高校へ進学しました。

<国際基督教大学高校>

~ICU帰国受験~

国際基督教大学高校は、帰国入試で受験しました。他の私立や公立高校の受験なども考えたのですが、現実的に一般受験での合格は難しそうだということと、もう一つ重要な理由として、国際基督教大学高校には寮があり、寮生活ができるということで、国際基督教大学高校のみを志望しました。

~寮生活がしたかったから~

なぜ寮生活がしたかったかというと、当時の私は、自分が過保護に育てられたのではないかということについて、強い危機感を持っており、親元を離れる必要性を強く感じていたからです。あとは、国際基督教大学高校は、教育理念のバックボーンにキリスト教があるので、私自身はキリスト教ではないのですが、思想・哲学的な勉強が高校からできるのではないかと思ったことも、国際基督教大学高校を志望した理由でした。

~高校浪人は免れる~

帰国入試の試験科目は小論文と面接でした。それ以外に、過去の学校の成績が評価に加味されます。学校成績は、過去にCが一つあっても入れないという噂があったため、Cが何個かあった私は落ちるのではないかとずっと心配していたのですが、合格することができました。もしあれで落ちていたら高校浪人だったため、両親はとても心配していたようです。

~3年間の高校&寮生活を振り返って~

寮には、大学受験の半年を除く2年間半、ずっと住んでいました。最終学年では寮長もつとめさせていただいたのですが、そこで学んだことは、計り知れないです。当時は毎日が新しい自分との出会いだったのですが、現在の自分の基礎となっているのは、あの寮生活だと今でも思います。そして、毎日が修学旅行のようで、単純にとても楽しかったことを覚えています。高校生活も、充実していて、今でも、あの3年間は自分にとってとても大切な3年間です。

<大学受験>

~いざ一般入試~

私の第一志望は一橋大学でした。これは今から考えるとだいぶ遅いのですが、受験勉強は高校3年の春くらいから、本腰を入れて受験勉強に取り組むようになりました。吉祥寺の駿台へ通い、秋ごろからはセンター試験の対策もやり始め、集中的に勉強しました。その結果、センター試験は9割近い成績をとることができました。

一橋大学は前期社会学部・後期法学部と受けたのですが、社会学部は合格点まで圧倒的な差があり、法学部はあと2点と惜しかったのですが、結局どちらも不合格。併願していた早稲田大学商学部と国際基督教大学へはセンター入試で受かっていたため、どちらに行くか悩んだ末、リベラルアーツ教育を行っている国際基督教大学へ進学することにしました。

~大学入試の反省点~

この受験勉強において、私には二つの反省点があります。一つ目は、受験勉強についてですが、やはり、英語圏からの帰国生にとって、英語はやはり圧倒的に有利なようで、模試の偏差値は70を下回ることはありませんでした。しかし、英語以外の科目で、駒場東邦のような進学校組と圧倒的な差がついてしまっていたため、それをカバーするのが遅すぎました。

帰国生は、日本の義務教育の何年間かがすっぽりと抜けているので、独学で数学や国語をやろうとすると、どこの部分が抜けているかが自分自身で把握できず、高校2年の範囲が終わっても、実は中学3年で理解しておくべき部分がわかっていないなどの事態に陥ることがあります。ですから、できれば帰国生のそのようなハンデを熟知している先生などを見つけて、指導を仰ぐことができればベストだったと思います。

そして、もう一つ反省点は、勉強よりももっと根本的なことについてです。私が大学の志望理由を本格的に自問自答し始めたのは、なんとセンター試験が終わった後でした。高校3年生の春、受験勉強を始めるときに「なぜ大学へ行くのか」ということについて、私は考えたのですが、うまい答えが出ず、「それは今考えてもわからないから、とりあえず勉強しよう」と、そのことを保留にしていました。その疑問が、センター受験後、再び湧き上がってきて、なぜ自分は一橋大学へ行きたいのかという、根本的な疑問に頭を悩ませるようになったのです。その時期になって、初めて、各大学のパンフレットなどを取り寄せたりしました。

~本当はどっちの大学に行きたいのか~

一橋の志望理由は、単純に「偏差値が高いから」「狭き門だから」「友達に尊敬されそう」などの理由でした。それに対して、国際基督教大学の志望理由は、「教育理念に共感する」「2年制の最後に専門を選択するので、専門性を受験の段階で決める必要がない」「英語教育が充実している」など、大学の教育内容に関する理由でした。

実は、一橋大学よりも、国際基督教大学の方が、実は行きたいのではないかと考えて、それを確かめるために両方のキャンパスに足を運んだり、先人の知恵を仰ごうと、なぜかシュバイツアーの伝記を買ってきて読んだりしていました。そして、やはり一橋大学よりも自分が行きたいのは国際基督教大学なのだと国立二次試験の2・3週間前になって思うようになり、一橋大学は二次試験でわざと落ちてやろうとか、そんなことも考えだすようになりました。そんな心配をしなくても、結局は実力で落ちたのですが(笑) このように悩んだ末の最終的な結論としては、「自分の第一志望は一橋とICUの両方ということにして、受かった方で満足する」だったと記憶しています。

~受験直前に勉強に集中するために~

この時期になって深く考え、第一志望に国際基督教大学を加えたことは、全く後悔していません。大学に入ってから初めて志望動機を考えることに比べれば、まだマシだと思うからです。しかし、そうは言っても、この時期まで大学の志望理由の吟味を持ち越していたことは、遅すぎだったと思います。国立二次試験を一ヵ月後に控えた受験生が最優先すべきは、目前に迫った試験に対する勉強であって、行く大学について吟味することではないはずです。

その結果、一橋大学には僅差で落ちました。このことが、良かったのか、悪かったのかは今でもわかりませんし、それを良くするのも悪くするのも、今の自分自身の行動にかかっているという結論に、今は落ち着いていますが、それでも、この「落ちた」という事実は、あの時の心の準備不足が原因だったんだと胸に刻もうと思っています。

~一度決めたら後ろを振り返らない~

これから大学受験や高校受験を控えている方は、私のように直前になって志望していた大学や高校の志望動機がわからなくなって、勉強をする手が止まってしまわないように、時間の余裕や心の余裕がある時期に、前もってきちんと吟味しておくとよいと思います。そして、一度決めたら、後はもう後ろを振り返らずに、行けるところまで行きましょう。