帰国子女大学入試・合格体験記vol.50

interviewee_s_166_profile.jpg 三雲俊介さん。1988年生まれ。中学1年の夏に幼少期にも数年滞在した、米国カリフォルニア州オレンジカウンティー、ニューポートビーチに移り、私立St. Margaret's Episcopal Schoolに高校卒業まで6年間通う。高校卒業後、慶應義塾大学法学部法律学科に進学。現在4年に在学。現在は法律系サークルとフットサルサークルに所属している。

【慶應義塾大学法学部法律学科・経済学部・商学部合格】
【早稲田大学法学部・商学合格】

まず断っておきますが、自分が帰国子女受験したのは07年から08年にかけてで、この体験記を書いている現在から3年前の話です。私が受験した慶應・早稲田・東大についてこれから書きますが、情報が古くなっている可能性が十分にあります。大学のwebsiteで確認するなり、直接問い合わせるなり、予備校や先輩方に聞くなりして、最新の情報を得ましょう。後述しますが、情報は帰国受験における鍵です。

滞在先ですべきこと

~統一試験に関して~

帰国子女にとって一番大切なことは、置かれた環境の中で努力をし、そして、環境を存分に楽しむことだと思います。帰国生は本当に貴重な、実のある経験をすることができたんだなと、日本に帰ってきた今だからこそ思います。

確かに帰国子女受験において、SATやIBなどの統一試験のスコアは非常に重要で、特に慶應では現地校の成績はあまり考慮されず、統一試験の点数さえとってしまえば入れるといっても過言ではありません。従って、現地校での勉強よりも統一試験の対策に時間をあてた方が“賢い”と教わる人もいるそうです。しかし、カリフォルニアでの恩師からの受け売りになりますが、これは賢くもなく、勿体ない海外生活の過ごし方です。

第一に、試験対策だけでは限界があります。統一試験、少なくとも僕の受けたSATは受験者の語学力がスコアにそのまま反映されます。対策は勿論必要ですし、それによって点数を伸ばさなくてはいけません。しかし、語学力がなければ点数はいずれあがらなくなります。普通のテストと同様、実力が伴わなければいくら試験対策だけでは攻略できません。そして、最終的に必要になってくる“実力”をつけるための最短の道が、現地校で精一杯努力をすることです。

第二に、帰国生に求められているのは“点数”だけではありません。帰国生に必要な勉強時間が、日本の一般受験生と比べ圧倒的に少ないのは、それ以外のものも求められているからではないでしょうか。語学力に加え、異文化との交流、文化の狭間で鍛え上げたアイデンティティーなど、日本の学生が持つことのできない経験を買われるのだと僕は思っています。

現地の友達とたくさん時間を過ごし、スポーツに励み、ボランティア活動を行い、異文化に戸惑い、異文化を理解し……。そのように多くのことに挑戦することで、おのずと語学力はあがり、その結果、学校の成績や統一試験のスコアもあがるはずです。

~SATの対策について~

上で散々言ったものの、統一試験の対策は勿論必要です!(笑) 僕がSATを具体的にどう勉強したか書かせて頂きます。

まずはWriting。ここは対策することによって一番点数を伸ばすことができます。文法の問題には完全に傾向があり、ほぼ全ての文法問題が過去に問われた問題の使いまわしです。過去問やPrinceton Reviewの問題集を何回も何回も解き、その傾向を覚えましょう。そして、SATの文法用の参考書があるので、それを使って文法を頭に叩き込みさえすれば、500点は取れるはずです。

そして、最初に書かされるEssayですが、ここでは書く文量も問われるので、帰国生にとっては点をとりにくいところです。25分という短い時間で、トピックを熟考し構成を一から考える時間はありません。まず、構成を決めておきましょう。僕は、イントロ、ボディーバラグラフ×2/3、そして最後にConclusionという流れで毎回書きました。

次に、僕はどんな命題にも関連付けられるexampleを幾つか用意し、絶対的にそれを具体例にあげました。具体的には、アメリカの高校生なら必ず読まされる”The Great Gatsby”や”The Adventure of Huckleberry Finn”、さらには、リンカーンやエジソンといった著名な人物など、例にあげ易い題材を用意し、どんなトピックにも関連付けられるように、それだけはよく調べておきます。

これによって、具体例によって支えられる筋の通ったEssayが書けるだけでなく、何回も練習して慣れれば、考えずとも一定の量の文章を書くことができるようになります。そうすれば、後はしっかりとしたTopic SentenceとConclusionを用意し、文法をシンプルし間違えないようにするだけです。これで僕はEssayの点数で11/12を取ることができました。

次にReading。ここでは語学力がストレートに問われるため、帰国生にとっては鬼門で、時間内に終わらせることは非常に難しいと思います。問題慣れしても限界があります。単語を毎日10個ずつでも覚えること。そして、本を読むことによって語学力をあげ、地道に十単位で点数を伸ばすことしかできないと思います。ただ一つ点を伸ばすこつは流し読みに慣れることです。

最後にMathですが、何も目新しいことは言えません。満点を取れるよう過去問を何度も解くだけです。

良くも悪くも、帰国受験では統一試験の点数で足切りが行われます。特に、慶應では点数で合否が分かれていましたし、東大では高得点を取っていなければ一次で落とされてしまいます。日本語(漢字など)や小論文は、帰国後予備校に通うなどして伸ばすことはできますが、統一試験は帰国前に取らなければなりません。僕はSATで目標スコアを取れず、東大受験時に悔しい思いをすることになりました。滞在期間の少ない人にとっては特に難しくなりますが、現地校で頑張りながら統一試験の対策をしっかりやりましょう。

帰国後

帰国後何をすべきか、特に僕から言える目新しいことはないので割愛させて頂きますが、国立大学を目指す人にとって帰国後の勉強は非常に大事です。予備校の通うのなら、先生の指導に素直に従い頑張って下さい。

帰国前・帰国後に共通して言えること。

情報戦

帰国子女受験において最も大事とも言えるのが「情報」です。目標とする大学を受けるためにどのような書類が必要で、統一試験でどのくらいの点数をとる必要があるのか、帰国後どのような対策をすべきか……。多くの情報が行き交いますが、「正しい情報」を得る必要があります。

最初に言った通り、海外にいながらずっと帰国子女受験の対策ばかりするのは勧めませんが、情報は早めに知っておいて損はありません。どんな大学があって、統一試験ではどのくらいの点数が求められ、いつ受験要項が発表され、いつまでに書類を用意しなければいけないのか。事前にしっかりと予備知識を得て、長期的なプラン(いつ統一試験対策を始めて、いつまでに最低XXXX点をとればいいのか等)を立てれば、受験を簡単にとは言わないまでも、全く焦ることなく乗り越えることができると思います。

「正しい情報」をしっかり集めなかったために、回り道をした人、目標までの道が途切れてしまった人はたくさんいました。

大学別アドバイス

最後になりましたが、大学別のアドバイスを簡単にして終わりにします。

~慶應義塾大学~

商・経済・法学部(法律)を受験し、何とか全部受かることができました。すでに何回か言いましたが、ご存知のように統一試験の点数で決まります。自分も、周りの受験生も、見事に前評判通りそのスコアで合否が決まりました。自分は渡米して、ESLの授業がないどころか、過去に英語が話せない生徒を受け入れたことのない私立の進学校に通っていたため、現地校の成績は最初の数年間それはもう悲惨なものでした(苦笑) それでも合格したので、慶應ではあまり関係ないようです。

~早稲田大学~

商・法学部を受け、これも合格することができました。当日の試験後、友達と慰労会を行うほど手ごたえはなかったのですが、やはり、当日の試験の出来によって合否が分かれたようです。ここでは日本での滞在が長い生徒が有利で、海外に長くいた生徒は苦しんでいた印象を受けました。

~東京大学~

現地校での成績・努力、海外での活動、統一試験の点数、日本語英語両方の語学力など、帰国生の資質が総合的に問われるのが東大です。合格に近道はなく、受かる生徒はみな優秀で、帰国前・帰国後両方で努力することが求められます。僕は成績が良くなく、それをカバーできるほどの統一試験のスコアも取れず、悔しい思いをしました。

St. Margaret's Episcopal School :
http://www.smes.org/main/index.aspx