活動報告 「世界の学校から」vol.25 横山知子

今回ご紹介願うのは、マレーシアの首都クアラルンプールにあるアメリカ教育制度の私立学校International School of Kuala Lumpurです。通称ISKLで知られ、紹介者の早稲田大学教育学部3年横山知子さんは、こちらの高校で4年間を過ごされました。マレーシアはマレー系、中国系、インド系、その他の民族で構成された多民族国家ですが、70年代以降は順調な経済発展を背景に、穏やかで平和な国です。南国特有の青い空と赤い土、激しいスコールはイメージ通りですが、首都クアラルンプール(通称KL)には、近代的な高層ビルが立ち並び、片道6車線のハイウェイも走っています。

横山知子さん。1988年三重県生まれ。 小・中学校をマレーシアの日本人学校、高校をマレーシアのThe International School of Kuala Lumpurですごす。計14年間マレーシアに滞在した後、帰国し、早稲田大学教育学部へ入学。現在3年に在学。社会教育・開発教育系のゼミに所属。

活動報告

マレーシアという国

マレーシアはマレー系約50%、中国系30%、インド系10%、その他10%の民族で構成された多民族国家です。もちろん宗教もイスラム教、仏教、キリスト教、ヒンドゥー教と様々です。異なる宗教の衝突が懸念されそうですが、その心配はいりません。民族間の暴動は、1964年と1969年の華人とマレー人による過去2回に留まっており、かなり平和でおだやかな国です。

また、東南アジアというと発展途上国なので、海、自然、島といったイメージを持たれることも多いですが、マレーシアはmiddle income country(先進国でいう中進国)といえるので、首都のKLとなると大分発展しています。国際空港を含め、近未来的な外観の高層建築物が建っています。海外の企業も多く進出しており、日本企業と生活の結び付きも深いです。日本人にとって住みやすいだけでなく、コリアンタウン等もあります。

インターナショナルスクールの特徴

マレーシアは、異なる人種、言語、宗教、文化が日常で複雑に交差しており、それを肌で感じることができる国です。インターナショナルスクールもアジア系か ら欧米系まで、60以上の異なる国々から生徒が集まっています。そのため、生徒一人一人の必要性に合わせて、IB(International Baccalaureate)、AP(Advanced Placement)、ESL(English as a Second Language)、Early Graduationの制度が用意されています。

時間割

コア科目(必修共通科目)の他はすべて自由に選択科目を設定して、自分だけの時間割を作ります。すべて自分で決めなければならないので、このカリキュラムによって自分に何が必要か、何に関心があるかを考える機会が与えられます。分からないことがあれば自らスクール・カウンセラーのもとに赴き相談します。最終的な判断は自分で下すので、自己決定と自己責任の能力が培われます。

授業形態

他のインターと同じように、授業形態は典型的な参加型学習です。講義を一方的に聞いてノートに書き写すに終わりません。ペアワークやグループワーク、デイスカッション、パワーポイントやポスターによるプレゼンテーションが必ずあり、発言量がとても多いです。授業態度で良いとされるのは、「先生の話を静かに聞く」ことではなく、「能動的に考えて意見する」ことです。文書による毎日の宿題も半端ではなく、たくさんの文献を読み、たくさんのエッセイを書きます。

模擬国連

MUN(Model United Nations)とは、生徒がある国を代表した外交官となり、国連会議を模したディベート大会を開くことです。スピーチの得意な生徒は精鋭部隊で開催校まで出向き、他校と討論します。校内でも全員参加のMUNを2日に分けて行います。この時はスーツを着用し、国名が書かれたプラカードの前に座って、特定の国際問題について議論します。もちろん最後には決議を採ります。くじ引きで自分が担当する国が決まるので、それまで知らなかった国の政治体制や国内状況を入念に調べます。

テクノロジー

インターに通っているとパソコンに強くなります。まず、日々エッセイを打ち込むので、タイピングは速くなります。そして、コンピュータには、フォトショップ、イラストレーター、ドリームウィーバー、スウィッシュ等の様々なソフトウェアが導入されています。授業中や課題を通してこれらのソフトを扱うので、中学生でも操作法が身に付きます。生徒が作るイヤーブック(卒業アルバム)や学校のフリーペーパーは毎回完成度が高いものでした。

そして、ISKLオンラインという、学校が提供するBBSシステムがあります。ここに連絡事項がアップされ、先生や生徒と情報交換をします。毎日まめにチェックしないと後で大変な目に合うことも……。所属大学にも同じようなサービスがあるのですが、高校の方が比べものにならないほど使用頻度が高かったです。インターにいると、学習とコンピュータがかなり密接な関係にあることが分かります。

ボランティア

ボランティア活動も盛んです。孤児や障害を持つ子どもと接するボランティア、もらい手のいない動物の世話をするボランティア等が、毎週一回ずつ用意されています。どの施設も学校近くにあるため、放課後に学校から出るミニバンに乗って向かいます。また、非営利活動法人との提携で、マレーシアを飛び出し、家を建てに行く中期の海外ボランティアも経験できました。

祝日がたくさん

国教はイスラム教ですが、マレーシア憲法は信仰の自由を認めています。イスラム・ヒンドゥー・仏教の祝日はすべて祝うので、アメリカ教育制度の学校ですが、多民族国家らしく、休みが非常に多いです。あとは、ラマダンという断食の時期になると、午前中ご飯が食べられないマレー系の生徒は体育の授業が免除になります。皆が一律に同じプログラムをこなすという観念がゆるく、柔軟な調整ができる学校でした。

制服

インターには珍しく、制服がありました。スクールマスコットである黒ヒョウの刺繍が入った水色か白のポロシャツで、下の服と上着は色の指定に沿えば何を着 ても平気です。しかし、学校行事が近付くと、行事の運営メンバーが学校公認の私服の日を作り、チケットを販売します。たとえば、pajama day(パジャマの格好)やtwin day(仲のいい友達とお揃いの格好)といったテーマに沿った服装であれば3RM(当時1RM=32円)、自由な服装がよければ5RM払って、その代金は 企画の運営などに回されます。

学食

昼食は大抵、キャンティーンという食堂で購入します。RM5~10もあれば十分です。価格が手頃なマレー料理、サンドイッチやフライドポテトといった欧米料理まで揃っており、その日の気分によって色々楽しめます。マレー料理は色々な民族料理の良い部分を取り入れているので、とてもおいしいです。授業の合間におやつを買ったり、スポーツの部活動を終えた生徒たちが夕方もキャンティーンで食べたりします。

インターナショナルフェスティバル

学校行事であるインターナショナルフェスティバルの日には、学校の1階のスペースがすべて解放され、生徒や保護者、チャリティーの団体などが、国別のブー スを設け、有料のゲームや料理で各国の文化を紹介します。先生や生徒も世界各国の民族衣装をまといます。この日ばかりはキャンティーンではなく、ミャン マーのヌードルやイギリスのスコーンを浴衣着で食べ歩きます。

その他の行事とマレーシアウィーク

他にも、海外のインター同様、生徒が主体となる学校行事がたくさんあります。合唱やバンドのコンサート、ダンスショー、演劇、タレントショー、アートの展示、ダンスパーティー等々。生徒が個性を輝かせる場がたくさん用意されています。

また、ミドルスクールでは、普段学校と家庭を行き来をしているだけでは見えてこないマレーシアの姿を再発見するため、1週間弱の国内旅行に出かけます。 “マレーシアウィ-ク”といって、海でシュノーケリングをしたり、ジャングルを探検したりといった体験をします。旅行先は約15か所の中から生徒が希望を 出し、少人数のグループに分かれて訪れます。

International School of Kuala Lumpur :
http://www.iskl.edu.my/index_content.php
帰国子女大学入試・合格体験記vol.40
http://www.rtnproject.com/2010/06/vol40_3.html