活動報告 「世界の学校から」vol.26 越島健介

今回は、早稲田大学先進理工学部3年生の越島健介さんに、母校であるScarsdale High School を紹介していただきます。ニューヨークの郊外、マンハッタンから約20キロ北に位置する、人口約1万7千人ほどの閑静な住宅地にある公立学校ですが、学業優秀な学校として知られ、以前から多くの帰国子女を輩出しています。スカースデールは、極めて裕福なユダヤ系の白人が多く住む地域で、豪邸が建ち並ぶ通りもあり、緑に囲まれたゆとりのある豊かな街です。治安もよく、教育水準の高さも全米的に有名であることから、日本企業の駐在員はこの街を居住地として選ぶことが多いそうです。

越島健介さん。1989年ロサンゼルス生まれ。2歳から9歳まで神奈川県で過ごした後、再び渡米。Scarsdale High Schoolを卒業。帰国後、東京大学理科一類を目指し、約1年間受験勉強をするが、不合格となり、早稲田大学先進理工学部に進学することを決める。現在、電気情報生命工学科3年に在籍。

活動報告

~スカースデールという街~

スカースデールは、ニューヨーク州、マンハッタンから約20キロ北に位置する、人口約1万7千人ほどの閑静な住宅地です。極めて裕福なユダヤ系の白人が多 く住む地域であり、街の中には信じられないような豪邸が並ぶような通りもあります。大都会ニューヨークに近接していながら、街の木々と芝生はよく管理され ており、緑に囲まれたゆとりのある豊かな街です。

緑がキレイで、治安もよく、教育水準の高さも全米的に有名であることから、日本企業の駐在員はこの街を居住地として選ぶことが多いです。よって、ニューヨークの中でもかなり日本人が多い地域となっています。

~スカースデール高校~

授業、学習環境について

私が通っていたScarsdale High Schoolは、全米でもその教育水準の高さで有名です。公立高校の全米TOP100に入ったこともあるそうです。

まず、授業のカリキュラムにかなり力をいれています。生徒は、自分の力に合わせてコースを選ぶことができ、自由に、そして、主体的に学ぶことができる環境が整えられています。例えば、数学の場合、9年生と10年生では “Regular”、“Advanced”、“Honors”の3つのコースがあり、11年生ではその上に“High Honors”が加わり、最終学年の12年生になると “Regular”、“Advanced”、“Honors”、 “High Honors”、“AB Calculus”、“BC Calculus”というふうに、学年が上がっていくにつれ、クラスが細分化されていきます。優秀な生徒は、好きなだけ高度なことを学ぶことができて、数学が苦手な生徒は下の方のクラスで基礎から学んでいくことができます。

“AB Calculus”、 “BC Calculus”は、いわゆる “Advanced Placement”という、大学レベルの授業を受けることができるコースのことです。 “Advance Placement”コースは、数学だけでなく、理科、社会、国語 (English)などはもちろん、フランス語、スペイン語、ラテン語、美術などの科目でも受けることができました。

それだけ豊富な科目を取り揃えていられるのは、優秀な教員を集めているからでしょう。スカースデール高校にいる教員の平均経験年数は18年で、その98% が修士号、10%が博士号をもっています。しかも、教員と生徒の比は、1:9ほどで、教員は一人ずつ別々のオフィスを持っていました。生徒はいつでも教員 のオフィスに行って、雑談をしたり質問をしたりできる環境もありました。

スポーツ、課外活動について

成績面では輝かしい実績を残しているスカースデール高校ですが、スポーツは特に強かった訳ではありませんでしたし、学校としても特に力を入れている様子はありませんでした。特に、アメリカンフットボール部は、試合に勝つと学校中が驚いてしまうほど弱かったです(笑) ただ、やはり裕福な地域なだけあって、ゴルフやテニスなどは強かったようです。

この学校でもう一つ特徴的なのは、Senior Options Programというプログラムがあったことでした。卒業前の2ヶ月ほど、ボランティア、インターンシップ、個人のプロジェクト、グループプロジェクトなど、生徒が有意義な体験をできそうなものならば何でもしていいというプログラムです。生徒はそれぞれ担当してもらいたい教員を選び、その教員はその生徒がSenior Optionsを通じて、できるだけ多くのことを吸収できるように、サポートしていきます。2ヶ月間の最後に、生徒は自分が体験してきたことを発表し、そこで初めて高校を卒業する権利を得ることができるのです。

スカースデール高校の生徒たち

スカースデール高校の生徒数はおよそ1400名。そのうち、85%ほどが白人系、8%がアジア系、そして黒人系、ヒスパニック系、その他のマイノリティーが残りの7%といったところです。

上述の通り、スカースデールには裕福なユダヤ系の白人が多かったため、その子供も同様にセレブです。もともとスカースデールという街は、外に出たときに「私はスカースデールに住んでいる」と言うとイヤな顔をされることがあるほど、「スノビッシュでプライドが高い金持ちが住んでいる」というイメージを持たれることが多いのですが、これは学校内でも確かにありました。16歳や17歳の子供がベンツやBMWに乗って登校してくるのが普通というような学校です。私は、歩いて登校していましたが(笑)

そのためか、マイノリティーで、しかもそこまで裕福でもない生徒たちは、何となくですが肩身の狭い学校生活を送っていたような気がします。私自身も、中国、韓国、ギリシャ、インド、デンマークなどから来ているマイノリティーの生徒たちと仲良くしていることが多く、「生まれも育ちもスカースデール」のアメリカ人とは、やはりどこか距離がありました。

しかし、そんなこととは関係なく、やはり優秀な人が多かったです。行動力や発言力などに富んだ生徒が多く、しかも「スカースデールの人間であるからには」というプライドから、みんないい大学に行こうと努力していました。

~最後に~

スカースデール高校は日本人が多い高校でしたし、その周りの高校にも日本人はたくさんいて、とにかくあの地域は日本人が多かったです。日本人コミュニティーとしてはアメリカの中でもかなり大きい方だったのではないかと思います。

しかし、そういう状態だったからこそ、自分をプッシュしてアメリカ人の中に飛び込んでいくということをしなければいけませんでした。私は、十分に努力したつもりでしたが、それでも不十分だったかなと今でも反省しています(苦笑)

街はとにかく美しいですし、学校の教育水準、生徒の意識の高さは文句なしの学校です。スカースデール高校で学び、感じたことはたくさんありますし、それらは今でも私の中に生きていると感じています。

もし訪れる機会があれば、是非立ち寄ってみてください!

Scarsdale High School :
http://www.scarsdaleschools.k12.ny.us/shs/site/default.asp
帰国子女大学入試・合格体験記vol.35
http://www.rtnproject.com/2010/05/vol35_3.html