海外生活体験者・学生インタビューvol.74〜後編〜

山下博之さん。1988年神奈川生まれ。小学校6年生の3学期からロサンゼルスへ渡り、高校卒業まで、滞在。中学校から高校1年までは日本人学校。西大和学園カリフォルニア校(6th,7th,8th,9th)、Los Angeles International School(10th)、その後、現地のWest High Schoolに転校し、卒業。帰国後、京都大学経済学部に進学し、現在3回生。国際経済学(本ゼミ)とイノベーション戦略(サブゼミ)に所属。サークルは、野球サークルと新書講読会に所属している。

日本人はベタベタするけど、彼らは結構ドライ

―現地校で、他に何か印象に残っていることはありますか?

友達が最高に良いやつらだった! 英語って、仲良いやつには、罵倒表現を連発するんだけど、ずっと罵倒しまくってた(笑) 昼飯食べながら、トランプやったりして、ちょっとゲームで状況悪かったりすると、「ふざけんなよ!」みたいなね(笑) 本当に楽しかった! あいつらとまた、トランプしたいと心から思うよ。

特に仲良かったのがインド人で、彼は頭良かった。インドの教育の話なんかは面白かったかな。インドだと九九を30の段まで覚えさせられるらしい。で、確認テストなんかで、言い間違えると鞭打ちらしい(苦笑) その成果か、そいつは数学とか中々強かった。高校で、CalculasBCまで当然のように履修してたし、プログラミングなんかも得意だった。その友だちの兄貴なんか、ダートマスで、数学の最優秀賞を受賞したらしい。すごいね、本当。

あと、付き合い方も本当バランスが取れてた。偏見かもしれないけど、日本人はベタベタした付き合いを好むけど、そいつらは結構ドライ。でも、学校が早く終わった日なんかは、必ず近くのマックに行ったりしてたし、こっちが遊びに行きたいと思ってたら、すぐ声掛けたりしてくれた。

だから、こっちも変に遠慮しないでどんどん声を掛けることが出来た。SATの勉強などが必要だったわけだから、無駄にできる時間はなかったことを、彼らは理解してくれていた。アメリカの大学に進学する場合は、通常は12月でSATの勉強を終えるから、卒業間際まで勉強していた僕らなんかは、意味不明だったと思うけど、真摯に理解してくれたよ。

以前のインタビューで言われたことなんだけど、僕らはそれなりの経験はしているけど、別に大してすごくない。本当にすごいのは、英語もろくに話せないのに、一緒に飯食べてくれたり、遊んでくれたりした僕の友人たちだと思う。あいつらには今でも本当に感謝しているし、凄いと素直に思うし、本当に見習わないといけないとも思う。

―学校外の活動はどうでしたか?

学校の外で小学生の勉強の面倒をみる「チャイルドケア」という授業を取っていた。アクの強い子どもたちが多くて、教えるのは大変けど。そこで、子供たちがどうしたら、自分の言うことを聞いて、まじめに勉強してくれるかってのを考えてた。割と考えたけど、好かれたら言うこと聞いてもらえるかもと、最後は単純な結論に至った。

で、子供が前々から休み時間に遊びたいと言っていたから、一緒に遊ぶことにした。鬼ごっこや縄跳びなんかを一緒にしたり手伝ったりしてたかな。正直言うと、子供たち以上に僕のほうが楽しんでいたかもしれないくらい、楽しかった(笑) それで、仲良くなって、勉強を教えたりするも、今まで以上に効率的になった。英語を話すいい機会にもなったしね。

あと、やっぱり小さい子供は本当に純粋で、可愛かった(笑) SATなどの勉強の疲れも、小さい子供たちと接していると心が和らいでくるし、本当に良い気分転換になったと思う。

頭の良さは、他人に対する配慮や理解の早さでわかる

―京大に入ってからの第1印象を教えてください。

「京大には本当に賢いヤツが多い」というのが第1印象だったよ、ありきたりだけど。受験勉強で得た知識だけでなく、他人に対する配慮や理解の早さという意味ね。

たとえば、百万遍(京大の北部にある有名な交差点)でコンパの待ち合わせをしたとする。そうすると、「頭のいい」やつは、店と百万遍というだけで十分だよね。もう何も聞かないで、時間になるとこれから向かう居酒屋がある方向に最も近い角で待っている。そういう人は良い意味で「空気」とか文脈を読んでいるよね。

大学だと、そういう友達が出来て、今までとは違った意味で、すごい刺激的。

―山下さんは今年から3回生になりますよね? そうすると就活の準備はもう始めているのですか?

2年後は働いているわけだから、最近は社会がすごい身近に感じてきた。でも、僕ら学生は、大学という守られた環境にいるわけで、社会の実情なんかはほとんどわかっていない。だから、ちょっとでも、知ろうと思って城繁幸さんなどが書いた労働事情の本を読んだりしているよ。城繁幸さんの著作を読んでからは、実力主義の外資系企業に関心が出てきた。

あとRTN Projectを通じて、社会人の人に僕がインタビューさせてもらえる機会も大きいんじゃないかと思ってる。普通、なかなか社会人と接点持てないから。でも、インタビューなどで、企業や社会の話をどんどん聞ける。あと、大学生は限られた人たちとしか、関わらないから、視野が狭くなりがちだし、コミュニケーションも内輪だけのものになりがち。だから、RTN Projectに携わっていて、本当によかったなって思うよ。もちろん、社会人だけではなく、知らない学生にインタビュー行ってるのも、同じ理由で、非常に有益だと思ってる。

一言で言えば、「好きにすれば?」

―海外生活を振り返ってみて、自分は何を得たと思いますか?

さっきも言ったことだけど、一つは人間関係には適度な距離があることを知ったのは大きかったかな。アメリカにいたとき、一緒に遊ぶときはみんなしっかり遊んでたけど、自分でやりたいことがあるときは、無理に他の人に合わせるようなことはしなかった。ある意味「ドライ」な人間関係だと言えるかもしれないけど、だからといって別に嫌われることなんてなかった。そんなことで嫌うような人なら、こっちのほうから遠慮すべきだと思う。そうやってお互いを犠牲にしても、結局お互い不幸になるだけ。

二つ目は、まあ度胸?かな。アルファベットもわかっていない状態で、英語を話してる集団に飛び込んでいったから、後は割と怖いものはなくなるかなって。日本だと、とりあえず日本語は話すことが出来るし、コミュニケーションを取れれば、なんとかなる場合が多い。足りないものも、色々あるんだろうけど、そこは努力で補えたらなあって思う。

―将来の夢は何ですか?

漠然としているけど、色々な国に訪れて、様々な価値観に触れたいと思っている。僕自身、アメリカに行って、それまで住んでた場所だと、絶対に見られなかったものに触れることが出来て、本当に衝撃的だった。多分そこら辺が、自分のルーツなんじゃないかって思う。ちょっと、偉そうに表現するとさ(笑)

でも、今はまだ日本とアメリカくらいしか行ったことがないから、まだまだ世界中に、自分の知らないものなんかがある。だから、もっともっと色々な世界に行ってみたい。そのためには、具体的にどのようなスキルだとか能力が認められるかはわからないけど、将来的に、自分の力が足りなくて、夢を実現させられなかったという状況は絶対に嫌だから、今出来ることをコツコツとやって、力を蓄えたいって考えてる。

―最後に、後輩に向けて何かメッセージをお願いします。

一言で言えば、「好きにすれば?」かな(笑) 大学生になったらもう大人なんだし、なんでも自分で考えて行動するのが当たり前だと思う。「自分が将来やりたいこと」なんてのは、特にそうだよね。そんなもの自分で見つけるべきだし、他人が教えてくれるはずがない。そもそも答えは人によってまちまちだしね。要するに、誰かに何かを与えられるのを期待してるんじゃなくて、自分で積極的に考えろってことですよ!

帰国子女大学入試・合格体験記vol.4 :
http://www.rtnproject.com/2008/08/vol4_2.html
Los Angeles International School :
http://www.la-inter.org/
活動報告 「世界の学校から」vol.12 山下博之
http://www.rtnproject.com/2009/08/_vol12_1.html

インタビューアからの一言

出身予備校が同じことがきっかけで、山下さんと知り合いました。今回のインタビューでは、心の底から楽しそうに現地校時代のことを語ってくれたので、今までクールな人だと思い込んでいた私には、少し意外でした。山下さんは自分とは異なる方向から物事を深く、かつ、はっきりと考えていていたので、得られるものが非常に多く、大変勉強になりました。このインタビューを機会に、今後ともちょくちょくお話させて頂きたいと思います!

前編はこちらから>>
吉村政龍。1989年東京生まれ。小学5年から約8年間台湾に滞在。Dominican International Schoolを08年に卒業し、帰国。予備校で約1年間受験勉強に明け暮れた末に、京都大学法学部に合格し、入学。昨年は大学で学ぶことの意義に疑問を抱き無気力に陥ってしまったが、2回生になる今年からは法学と経済学の勉強を両立させながら、ロースクールを目指すと同時に、いろいろな新しいことに挑戦することを決意した。