海外生活体験者・社会人インタビューvol.65

interviewee_s_172_profile.jpg 山谷剛史さん。1976年生まれ。東京都出身。理工系大学から上場企業のSEを経て、フリーランスライターに。それまでの経験と海外旅行の趣味を生かし、バックパック1つでアジア各国を巡り、月刊ASCII誌やInternet WatchなどIT系メディアでアジアのIT事情を紹介する。その後、東南アジアにも近い中国雲南省昆明に拠点を構え、中国各地や東南アジアの現地IT動向の記事を経済誌・IT誌になどに執筆。日本においては、中国関連の記事はマクロ的観点や新聞翻訳の記事が多い中で、現地発消費者視点での記事が評価を受ける。著作に『新しい中国人 ネットで団結する若者たち』(ソフトバンククリエイティブ)。

中国昆明に居を構えるITライター

―まず簡単な経歴について教えていただけますか?

サラリーマン時代はSEでした。残念ながら、大学は有名な大学じゃなかったんですが、理工学部で情報系、世間で言われるところのIT関連について勉強していました。理工系の情報系学科で、かつモノづくりが好きだったので、大学卒業後はSEとして勤めていたんです。SEという仕事には憧れていたんですが、憧れることと作ることは異なりました。苦手でした。勤めて3年くらいで、中国に留学しました。

―なぜ中国に留学に行こうと思われたのですか?

たまたま、です(笑) 本当はSEの仕事に未練があり、インドに行く考えを当時は持っていました。旅行中に仲のいい女性が中国でできたので、そこにいついてしまいました(笑)

―実は私も中国に留学していたんですよ!

へぇ、場所はどこなんですか?(北京です) 真面目だなぁ。わたしは、昆明に留学していたのですが。

―昆明ですか……。私は行ったことはないのですが、風光明美なところだと良く聞きます。中国留学中に特に力を入れられていたこと、留学中印象に残っていることはありますか?

語学留学でしたが、雲南省昆明という土地柄、ベトナム人、タイ人などの知り合いを作ることが大きかったんですね。ベトナムやラオスにバスに乗ればいける近さも魅力でした。中国だけでなく東南アジア全体も俯瞰することができたのはよかったですね。

今は、中国に関する記事なんかを書いてますが、特にITに関するものが多いです。IT系ニュースサイトで 「アジアン・アイティー(ITmedia))」 「ニーハオ!中国デジモノ (日経トレンディネット)」 「中国電脳最新事情(日経PCオンライン)」 「マンスリー・チャイナネット事件簿(インターネットウォッチ)」 「中国ビジネス最前線(ソフトバンクビジネス+IT)」 「中国IT小話(ASCII.jp)」 「華流ITマーケットウォッチ(CNET JAPAN)」などで執筆しています。

そのほかにも、旅行ガイドブックを書いています。旅行ガイドブックに載るような宿屋って、現地に実際に行って、使ってみないとわからないでしょう? 現地に行かないとわからないような情報が求められるときに、私みたいな人間に仕事が来るんですよね。

これからの有望な隙間産業とは

―どうしてまた、中国に住み込んで記事を書こうと思われたんですか?

日本語が堪能な中国人が中国に関する記事を書いて、日本のメディアに送るということもあるんですが、やはり中国出身の方が日本人の目線で記事を書くことは難しいんですね。

中国に関する記事を書いている人はたくさんいるんですけど、やっぱり中国在住じゃないことのデメリットは大きい。中国のローカルの生活を見る時間が、忙しいために圧倒的に少ないんですよ。結果論ではあるのですが、現在日本の中国の情報は、そのほとんどが、上海の現地情報とネットの情報かと思います。

ですから、なんだかおっかない中国という印象や、銀座で買い物する金持ち中国人の印象ばかりが強調されます。中国市場はとてもニーズはありますが、先ほど話したように、上海の現地情報とネットのニュースの翻訳がほとんどなわけです。中国全体の普通の生活、貧しい生活、金持ち生活を紹介できることは強みがありますし、隙間産業としてニーズも発生するわけです。

―山谷さんはご自身の中国ITライターという職業を隙間産業とおっしゃいましたが、これから、発展するであろう隙間産業についてお聞かせください。

たとえば、インドのITライターなんてレアですよね。残りのBRICs各国でもそう。ファッションに詳しい人が中国のファッション事情を柱に書いていくのもいいかもしれない。あとは、日本人がなるという意味では、中国企業の日本進出をサポートする日本人はずっとニーズがありますよ。

たとえば、冷凍餃子を販売するとして、中国人社長が販売したくとも無理でしょう。日本人社長だと信用があるから信頼する企業があるでしょう? 日本人はどちらかと言えば中国人を信じず、日本人を信じるので、中国企業の日本支社を日本人が作ると日中でモノとカネが流れるわけです。

―お時間の関係で少ししか伺えなかったんですが、今日は本当に貴重なお話をありがとうございました。

海外ITライター、山谷剛史のページ
http://www.geocities.jp/dtgoshi/

インタビューアーから一言

山谷さんのような職業の方は、今までのRTN PROJECTのインタビューに応じてくださった方の中でもめずらしいと思います。中国の昆明で暮らしながら、ITについての記事を書くことで、誰にも真似できないキャリアを確立されていて、本当に素敵だと思いました。お忙しいところ、インタビューのためにお時間を割いていただいて、本当にありがとうございました。
秋山雪乃。1986年京都府生まれ。中学2年まで日本で過ごし、その夏に渡米。カリフォルニア州サンディエゴ・アーバインなどに滞在し、高校2年の年に 一 時帰国。その夏、再び渡米。University High Schoolを卒業し、帰国後、早稲田大学法学部に入学。1年休学して北京語言大学に留学し、現在4年に在籍。憲法水島ゼミ所属。学生NGOチャオに所属し、中国ハンセン病療養者村でのボランティアに従事している。