海外生活体験者・学生インタビューvol.77〜後編〜

石田真理奈さん。1986年生まれ。小学校6年生から6年間アメリカのカリフォルニア州に滞在。Woodbridge High School を卒業後、日本に帰国し、浜松医科大学医学部医学科に入学。現在6年生で学生生活最後の年。

大学生というのはもっとIndependentなもの

―大学生活はどうですか。

私は、大学生というのはもっとIndependentなものだと想像していました。「日本の大学生」といういい方が正しいかは分かりませんが、日本の学生の幼さに驚きました。大学は親に払ってもらうのが当たり前と思っているところとかですね。アメリカだと、自分でローンを組んで将来設計を立てるということを、高校生のときから視野に入れていて、入学手続きの時点で奨学金手続きとかを考えています。大学は自立のための練習期間と位置づけられていると思います。「自立しなきゃ」という意識が低いことにビックリしました。

―確かに日本は中高の延長上に大学があって、それで社会人の最初はまだ学生気分が抜けきれてない状態という気がしますね。一方、アメリカは大学生活が社会人への導入という感じがしますね。

親がそういう教えだから、「自立しなきゃ」という意識が低いのは仕方がないし、学生自身だけの問題ではないとは思うんですけどね。

アメリカだと18歳になったら“You have to get out of the house.”っていって、家から大学に通うことがちょっとおかしい、みたいな感覚なので、大学は外に出なさいっていう親が多いと思います。日本だと、特に女の子は、近くに住んで近くの大学を受験して、という人が多いですよね。

アメリカは比べない&日本は比べる

―先ほど、「人との距離感が違う」っておしゃっていましたが、どんなときにそういうふうに感じましたか?

アメリカだと、あまり自分と他人を比べない。でも、日本だと比べてしまう、比べられているという気がします。それがひしひしと伝わってきますよね。違うことがいい、彼女は○○が私より得意だけど、私には○○があるっていう自信があるから、相手のいいところを評価して受け入れられる。アメリカではそういう空気があると思います。

日本は上下、直列に並べて比べるから、決まったところに向かわなきゃいけない! というプレッシャーがいつもあります。良いという点が一つしかなくて、そこに近い人だけが優れていて、周りが羨んで妬む。だから、情報を共有しなかったりして、疲れてしまいますね。

でも、アメリカだと色々な価値観があり、それぞれがそれぞれの点に向かっているので、やりやすかった。自分のやりたいことをやっていて、他の人のいいところを客観的に見ながらも、自分を見失わず、自分を律してやってこられたと思います。

日本に帰ってきて、それが分からなくなって、自分に自信がなくなることもあります。もちろん、日本のせいってことではないですけど、環境に左右されてしまう自分がいます。

―今こうやって日本で生活を送っているわけですが、どういうふうにして順応していきましたか。

順応するしかない、ですよね。最初は反発しました。でも、それでは潤滑な人間関係を築けないし、私がその技術さえ身につけてフィットするようにすればいい。社会に出てから必要な礼儀とかも学びました。どうやって順応したんでしょうね。でも今は今で楽しいし、これからも一生続くような人間関係もできました。

―入口が違うのかもしれないですね。入ってしまえば、そこにはそこの良さがありますよね。

現在ハワイ大学で実習中

―さて、このインタビューはハワイで行われているのですが、石田さんは今ハワイの病院で実習をしているのですよね。どういうきっかけでこちらにいらっしゃるんですか。

大学がハワイ大学に学生を送るというプログラムを作ろうとしていて、英語ができる帰国子女ということで試験的に送っていただきました。

―今は授業期間中ですか。

授業はあります。6年生になると、選択で自分の興味のある科と実習先を選んで10週間実習を行うのですが、その中の単位の一つとしてハワイ大学で実習をするということで来ています。

―どういうことをしていますか。

日本での実習と似ていて、一人の患者さんを毎日問診・診察して、それでカルテを書くという内容です。書いた内容に関して、指導医の人にその日の状態を報告し、自分がそれをどう評価して、それに基づいてどのような治療計画を立てるかを考えプレゼンテーションするという練習をしています。

―今は何科にいるんですか。

総合内科といって、基本的になんでも来ます。それを振り分けて専門医にコンサルトするという仕事ですね。

―石田さんはアメリカに住んだ経験もあって、英語も話せるから実習がこなせるのだと思うのですが、初めてで英語での生活経験も少ないとすごく大変なことですよね。

ある程度話せてやる気のある学生が来るとは思います。あと、怖気づかない子でしょうね。やっぱりさっきも言ったように、人との距離感とか、そういう感覚というのを分かっているから、私の場合はやり易いかとは思います。でも、必ず頑張りを評価してくれる国なので、せっかくの留学経験とかのチャンスがあれば、そういう機会をものにして頑張って欲しいですね。

―今、日本から外国への留学生が激減しているというニュースをよく耳にしますが、科学の研究分野などでも是非外に目を向けて、経験してみようと思ってくれる人が増えるといいですね。

―さて、後1年で大学を卒業するわけですけれども、今後はどういう予定ですか。

就職は日本で研修病院を見付けて2年間やって、専門に進みたいと思います。アメリカは、今のところ特に考えていません。生活や仕事の人間関係は、私はアメリカの方が合っていると思いますし、やり易いとは思うのですが、「医者」という仕事をやる上でアメリカに来なければいけない必要性は感じないですし、日本でもアメリカで医者をやっている人と同じくらいのレベルには十分いけると思います。私が日本で学んだというのもありますが、日本なりの医療のやり方には利点ももちろんあって、それを身に付けてから外に出るのでもいいのではないかと思っています。

―今後の活躍を期待しています。ありがとうございました。

ありがとうございました。

Woodbridge High School :
http://www.woodbridgehigh.org/

インタビューアーからの一言

頑張り屋で意志の強いカリフォルニアンで、苦労をして乗り越えたが故に光るオーラを感じます。予備校時代からの友人で、一緒に受験期を過ごしてきた仲です。離れても通じるもの、また、惹かれるところのある魅力的な友人です。相変わらずの辛口で思い出話も交えながら話し、とても楽しいインタビューでした。これから就活、国試、インターンと大変でしょうが、頑張ってください! 立派なお医者さんになるのを楽しみにしています。ありがとうね!

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岡村美佳。1986年東京生まれ。4歳から8歳の4年間をアメリカのニューヨーク・カリフォルニアで過ごし、日本に帰国。その4年後、中学1年生12歳でイギリス・ロンドンに渡り5年間過ごし、Marymount International Schoolを卒業。その後、日本に帰国、06年に東京大学理科II 類に入学し、教養学部生命認知科学科を卒業。10年春、東京大学総合文化研究科に進学し、現在修士1年に在籍。大学では、現在酵母を使ってDNAの転写・組み換え機構について研究を行っている。