海外生活体験者・学生インタビューvol.81

interviewee_s_186_profile.jpg 長川美里さん。1990年生まれ。東京都出身。小・中・高を東京の女子校で過ごし、高校生のときにアメリカのコネチカット州にあるBridgeport International Academyに留学。高校を卒業後、上智大学国際教養学部に進学。現在は同学部の2年生として、勉学に励むと同時に、模擬国連の活動に積極的に参加している。

卓球少女が留学を決意する

―美里さんは小さい頃、どんな子供だったんですか?

小学生の頃はドッジボールが好きで、とにかく活動的だった(笑) 女子校だったから、皆ハッチャけてたっていう面があったと思う。クラブは絵画クラブに入って、お菓子を食べつつ絵を描いたりもしてたし、色んなことをしてた小学校生活だった。中学の頃の部活は卓球部で、大会にも出ていたし、それなりの成績も残せたよ。もともと小学校でも卓球をやろうと思ってたけど、部活は抽選で決まってたからできなかったんだ。

―では、その卓球少女だった美里さんが高校のときに留学を決意した理由は?

中学生のとき、イギリスに3週間サマープログラムで行ったんだけど、そこで英語の大切さに気づいたから。日本の教育を受け続けても、英語でコミュニケーションを取れるような勉強はできないことがわかったんだ。それがきっかけで、中学3年間、毎年海外でどこかのサマープログラムに参加してた。

ただ、コミュニケーションが理由としては一番に来るけど、文学を学びたかったからっていうのもあって……。英語の文献が読める女性になりたい!って、中学の頃は思っていたから、大学は文学部に進学しようとも思っていたし。それで、日本語の文献だけを読んでいたんじゃなにもわからないし、英語の文献を読めて、なおかつ理解できるように集中して勉強したかったから、留学したっていうのもあるかな。

視野を広げたいって気持ちが芽生えた

―留学先の学校について教えてください。

留学先はあの有名なイエール大学があるコネチカット州の私立高校。世界中から生徒が集まる学校だったんだけど、全校生徒は五十人弱。少人数制じゃないと生徒たちがきちんと学べないし、アメリカ人だけでも単一的だからダメということで、世界各国からの生徒を集めるというスタンスを校長先生が取っていたの。

1クラスは多くても10人弱、平均で5、6人。積極的に発言しないと授業についていけないし、先生と仲がよくないと面白くない。その代わり、英語はもちろん、勉強したことはすごく身につくし、単純に楽しかった。

―留学中は勉強以外にどんなことしてたんですか?

すごく色んなことやってた。ブレイクダンス、サッカー、エイズ撲滅団体のボランティア活動、あと公園作りもやった。1年が本当に早かったけど、ものすごく成長できたし、人生が変わった。高校生活は留学で集約できると思う。留学後は受験勉強だしね(笑)

―留学期間中に得たモノは?

ロシアから来たある先生に出会えたことかな。その先生は、課題をハンパない量出すんだけど、こなしたら褒めてくれるし、質問はなんでも答えてくれた。教育のためならなんでもできる先生ってだけじゃなくて、生徒からやる気を引き出すための新しいアイディアもたくさん持っている人だった。厳しいけど生徒のことを真剣に考えてくれる姿勢を持っている先生に会えることって、なかなかないと思うんだけど、そうした先生に留学先で出会えたことは本当に大きかった。

あと、視野を広げたいっていう気持ちが芽生えて、人生が変わってきた。例えば、私の中での文学は英語と日本語っていう、単純な言語的なレベルで終わっていたんだけど、国際色豊かな環境の中で、色々な考え方や文献に触れることが出来たから、自分の中にある文学の世界の狭さに気づけた。それは文学だけに留まらなくて、次第に他のことについても、もっと広い視野で見たいと思い始めたの。それが模擬国連を始めたことにも繋がっている気がする。

模擬国連はスポーツだ

―では、その模擬国連を始めた時期と具体的なきっかけを教えて下さい。

模擬国連を始めたのは大学に入ってから。でも、最初はフリスビーサークルも考えていた。アメリカにいたころ休み時間によくフリスビーをやっていて楽しかったし、身体を動かしたかったからね。けれど、練習日が部活並に多いから、両方入ったら生活が崩壊してしまうと思って、それで模擬国連に絞った。

それで、模擬国連の活動に体験参加したとき、交渉で頭を使ったりするから疲れたということを先輩に伝えたら、「模擬国連はスポーツだよ」って言われて、私がやりたい「視野を広げること」と「スポーツ」の両方をできるじゃん!って思ったの(笑) それが決定打だった。

―活動をはじめた当初は大変だったと思いますが。

活動日と必修の授業が被っていたから、フルタイムで参加できなかったし、夏休み前までは友だちもあまり出来なくて、孤独な戦いを続けてたの(笑) でも夏休みの間に開催された「関西大会」(日本で開催される模擬国連主催の答弁大会のひとつ)で、早稲田に通っている偉大な先輩とペアを組むことができて、「Best Delegates」(大会において最も優秀な答弁を行ったペアに送られる賞)を受賞したのがきっかけで、模擬国連の楽しさに目覚めて、「絶対に4年間続けよう」と思った。

「テポドン落としました」

―ちなみに、大会はどんなことをするんですか?

国連の会議を学生同士でシミュレートするのがコンセプトなんだけど、模擬国連が実際の国連通りに進む必要はないし、学生で「この選択の方がいいんじゃないか?」と思ったらその通りに出来るから、単純な答弁大会ではないと思う。例えば、この間の大会で核について議論したとき、北朝鮮として参加している学生たちが「日本にテポドンを落とすぞ」って脅したんだけど、日本が交渉に忙しくて脅しに振り向かなかったから「テポドンを落としました」ということでカオスな状況になって(苦笑)、だから現実で起こりえないことをやってもいいし、その後の対処も各自適切だと思った判断で行っていいの。やりたい放題だよ(笑)

あと、模擬国連はインカレだから、色んな学生が参加する。東大、京大、一橋、早稲田、慶應はもちろん、北は北海道から南は沖縄まで支部があるから、文字通り全国の大学生が大会に参加するし、海外からも参加者が来るよ。東京の池袋で開催された全日本大会は3泊4日のカンヅメで行われたんだけど、私が参加した会議にはスペイン、台湾、韓国から来た方もいたし、実際にグローバルな環境でディスカッションができるの。他にも、世界大会がニューヨークで行われるから、その大会に参加できれば世界中の模擬国連参加者たちと会議を行えるし。

グローバルなネットワーク

―グローバルですね(笑) 模擬国連を通じて成し遂げたい目標とかってありますか?

もう、本当にグローバル(笑) 私は単純に、上智っていう私立でけっこう有名な大学に入ったから、自分に満足してたんだけど、模擬国連だとリサーチとかをちょっとしただけで問題の全貌が見えたりする人がいて……。私がリサーチするときは、スケジュールによっては一国の視野からしか物事を見ることができなかったりするけど、凄い人は全部の国がどういう行動をするかわかっているからね。これからの3年間で、そういった多角的な視野が自分に身につけばいいなって思ってる。来年は世界大会もでるし。

―留学で広げた視野を、もう一度広げるわけですね。他になにか模擬国連で得た大切なものはありますか?

やっぱりネットワーク。同じ大学の人だけじゃないけど、外務省に勤めている先輩もいるし、JICAのボランティアでエイズ撲滅のためにマダガスカルへ行ってる先輩もいる。現時点だと、私は国連、外務省、JICAのどれかに進みたいと思っているから、学部の勉強も将来の役に立つような授業を積極的に選んでるんだけど、そういった方面に進んだ先輩たちが情報をくれたりするとモチベーションが上がるし、私が何か疑問に思ったことを答えてくれる先輩達がいるっていうことはすごくいいと思う。

あとは模擬国連が提供してくれる「一押し」。先輩たちも含めて皆が持っている信念は人それぞれだけど、模擬国連は自分の頭で考えて、行動に移して、さて後はどうするの?って、背中を押してくれるのが模擬国連だと思う。

周りにいるひとって、単純に大事だなって

―なるほど。ずばりお聞きしますが、美里さんにとって大事なものを一つだけ選ぶとしたら、何になりますか?

一つだけか……、ひとかな。

―それはコネクションとして?

いや、単純にひととして。私のそばにいるひと。最近辛いことがあったんだけど、小学校以来の親友が、わざわざ来たこともない私の家に来てくれて……。学校も忙しいはずなのにずっと話を聞いてくれたの。あと、サークルのひとたちも、サークル以外での繋がりはあまりないから、あまり私のことも見ていないと思っていたんだけど、落ち込んでいることに気づいてくれたひとが沢山いた。だから、周りにいるひとって、単純に大事だなって思った。

―僕が浅はかでした。それでは最後に美里さんのポリシーを教えて下さい。

ポリシーはポジティブ&スマイル! ニューヨークであった模擬国連大会選考のときも、「一番大事にしていることはなんですか?」っていう項目に、スーパーポジティブって書いたの。いつも笑顔でがんばろう!

―美里さんらしい素敵なポリシーだと思います! 本日はどうもありがとうございました。

Bridgeport International Academy :
http://www.bridgeportacademy.org/

インタビューアから一言

美里さんとは大学で知り合いました。明るいだけじゃなく、とても真面目な人でもあります。インタビューを通じて話を聞いていても、自分が目指しているもの、そして、そのために出来ることをキチンと理解して、全力に取り組んでいることがわかりました。僕も美里さんのように、自分の信念を軸に、自分のリソースをフル活用できる人間になりたいと思います。これからも同学部同士、目標に向けてお互い頑張りましょう!
稲葉省吾(どうかInaba Shogoと発音してください)。1990年生まれ。神奈川県出身。小学校5年生のときにアメリカのニュージャージー州に引っ越し、小・中・高を通して7年8ヶ月ほど滞在。Parsippany Hills High Schoolを卒業後、日本に帰国。2009年に上智大学国際教養学部に合格し、2年に在学中(2010年現在)。神奈川新聞社主催、「北条イラストコンテスト」入賞。