海外生活体験者・社会人インタビューvol.83

interviewee_s_210_profile.jpg 岡田麻夏美さん。小学校3年から6年までアメリカのカリフォルニアに滞在後、日本の中学校に進学。高校在学中にアメリカに1年留学。その後、英語で心理学を勉強するために、3度目のアメリカへ行き、Saddleback Collegeに入学。大学卒業後は帰国し、「子供に携わる仕事」である保育士になり、現在保育園に勤務中。

楽しい思い出が多かった

―小学校のときに初めて海外に住まれたんですね。

小学校3年生の夏から小学校6年の夏まで、ちょうど3年アメリカにいました。元々お遊び感覚の英語教室のようなものには通っていたのですが、父にアメリカに行くことを言われたときにあまりピンと来なくて、友だちと別れる悲しさがわからないまま行った感じでした。いつかは日本に戻って来られるという感覚がどこかにあったこと、英語に対しての抵抗があまりなかったこと、親が2人とも一緒にアメリカに行くということがあって、抵抗感はありませんでした。

海外生活は楽しかったです。小学校3年まで日本で勉強したし、早くもなく遅くもない、そんな良い時期に行ったと自分では思っています。「言葉が違って大変だったでしょ?」とも言われましたが、英語も楽しみながら吸収できたし、ジェスチャーをフル活用してコミュニケーションも取れたので、あまり辛い思い出というのはないですね。3年間あっという間でした。現地校と、平日2日通っていた日本人学校の宿題をこなす方が大変でした。私の英語の原点なので、楽しい思い出の方が断然多かったです。

日本にいたときにピアノを習っていたんです。引っ越す際に止めてしまったのですが、アメリカでも音楽を続けたかったんです。それで、キリスト教の学校だったのもあって、ハンドベルを始めました。週末の教会やクリスマスの時期のモールで演奏をしました。キリスト教とかお金を取るとか関係なく、異なる文化に触れるが出来たので、とてもよい経験だったと思います。

私と英語を繋ぎ止める

―日本に帰ってきた後は、帰国子女枠で中学校に入学されたんですよね?

私が通っていた学校は附属校だったんですが、帰国子女枠で入学すると、中学から高校2年まで、英語の時間をずっと帰国子女だけで行うクラスに振り分けられるんです。海外でやっているネイティブの先生が教える国語の授業みたいな感じでした。常に英語に触れられたし、帰国子女の友だちと英語の中で生活できました。この経験がなかったら、英語をきっと忘れていただろうし、高校1年で留学しなかっただろうし、卒業後にまたアメリカに行こうとは思わなかったと思います。

―留学はどうでした?

高校1年のときにMBA(Monterey Bay Academy)に1学年留学しました。全寮制の高校でした。留学に行くかどうかは、すごく悩みました。私以外の何人かも留学を決めていたんですが、帰国子女で留学を決めたのは私だけだったんです。今でこそ、その何人かとは友だちですが、その当時は「帰国子女なのに何で海外に行って勉強するんだろう?」「高校生の留学なのに、ある程度英語ができている人が?」と私のことを思っていたみたいだし、私自身もそう思われていることは薄々感じていました。

私は留学のプログラムが学校にあることを入学後に知ったんですが、この留学は、私と英語を繋ぎ止めるために必要で、逃しちゃいけない「チャンス」なんじゃないかという考えが、頭にビビっ!と来ました。留学中には、自分は英語が好きなんだなっていうことが改めてわかったし、英語で勉強することが好きだということもわかりました。教えられる勉強の内容も、授業の進行も違いますから、色々な発見もありました。

それと、留学期間中に思ったのが、日本の大学ではなく、アメリカの大学で勉強するべきだ!ということでした。

3度目のアメリカ生活

―では、大学受験についてお聞かせください。

親を納得させるために日本の大学を受験することも考えましたが、もしも受かったとしても、私はその大学に行く気はないし、他の行きたかった人たちに申し訳ないのできっぱりやめました。日本の大学は1校も受けませんでしたからね。

高校2年の終わりぐらいから1年ちょっとを掛けて、塾でTOEFLとSATの対策をひたすら1人でしていました。周りに同じ考えの人はいなかったので……。よく、アメリカの大学は入学するのは簡単、卒業するのが難しいと言いますが、実際入学するのは凄い苦労しましたw でも英語が好きだったからそこで投げ出すことはなかったです。ニュアンスがちょっと違うかもしれませんが、楽しみながら受験できました。

―2年間の大学生活自体はいかがでしたか?

3度目のアメリカ生活も楽しかったです。特に、人間関係が広がっていったのが楽しかったです。

子供に携わる仕事に将来就きたいと考えたときに、子供の内面を読み取れる勉強を英語でしたいと思ったので、心理学の勉強をしました。大学で勉強した心理学は児童心理なども勉強し、今の仕事に就いてからも、たまに授業で習ったことを思い出したりします。

あとは、大学の勉強よりも、アメリカでの1人暮らしの方が大変だったかも? 人生初めての1人暮らしでしたからね。大家さんへの連絡を怠った影響で、電気や水道のライフラインを止められたこともありました(苦笑) その時は動くものは車ぐらいの状況で、友だち頼りで少しの間生活しました。

子供に関係している仕事

―大学を無事に卒業されたわけですが、なぜまた日本に戻ってこられたのですか?

心理学の勉強をしているときも、幼児心理学など、なるべく子供に関係する心理学を勉強するようにしていたのですが、講義の課題の1つとして、幼稚園に行って勉強することがあったんです。その時に改めて、「子供っていいな。子供に関係している仕事に就きたいな」と思ったときに、「日本人としての知識をもっと深めていったほうがよいのでは?」と気づいて、日本で勉強することを決めました。国際的に仕事をするにはまだ実力不足なので、もっと自分に自信を持って子供と接することが出来るように、自分にとって近いところである日本の学校で勉強し、実際に働いて、自分が持っている知識、子供に対する考えを固めようと思ったんです。

―現在保育園で働いていらっしゃいますが、大学の心理学は役に立っていますか?

学んだことをそのまま当てはめたり、考える際に役立てたりするまでには至っていないと思います。ただ、様々な子供や保護者の方に接することや、様々な家庭環境を認識することを通して発見される「問題」にきちんと接していくに当たって、自分が心理学を勉強したことが役に立つこともあると実感しています。保育園のクラスで子供1人1人と接してする際にも、「心のケア」が大事。それを行うときに、自分が学んだ心理学が役に立つことも、まだまだ回数は少ないですが、あります。

「保育園は他人の子供を預っているだけでしょ?」と、冷めたことを言われたりすることもあります。確かに、今一緒にいる保育園の子たちが大きくなったときに、私のことは覚えていないでしょう。でも、子供が成長する時期に直接触れ合って、自分がそのお手伝いを出来ているということを、誇りに思っています。それに、子供と一緒に、自分も成長している気持ちが自分の中にはあります。子供と一緒に歩んでいる気持ち……。この感覚の原点がどこにあるか、まだ探している最中ですが、私を支えてくれています。

自分にとっての保育とは

―今持っている将来の夢や目標はありますか?

アメリカンスクールとかそういうのとは全く別に、日本で生活している外国人の家族を支えられるような、しっかりとした保育のシステムの確立に少しでも貢献したいです。海外で生活していて凄く楽しかったので、今度は逆の立場で、海外の方が日本で快適に暮らせるように、役に立ちたい気持ちがあるんです。ただ、今はまだ自分の保育を確固たるものにできていないので、まずは、自分にとっての保育とはなにかを追求するのが当面の目標です。

―最後に、後輩の海外生活体験者の方々にメッセージをお願いします。

大学を卒業して、専門学校に入るまでにも思ったのですが、やりたいと思ったことは多少人の手を借りてでも、やってみるべきだと思います。ちょっとずつでも、きっと道が切り拓かれます!

―素敵なメッセージありがとうございます。

Saddleback College :
http://www.saddleback.edu/

インタビューアから一言

岡田さんは本当に子供が好きな方なんだと、インタビュー中ずっと感じました。現在保育園で働いていらっしゃいますが、学生の頃から持っていた夢を実現させた何よりの証拠ですので、感動しました。僕は最近、自分の夢が何なのか迷っているところがあります。今回のインタビューは、自分を見つめ直すいい機会にもなりました。岡田さん、本当にありがとうございました。
稲葉省吾(どうかInaba Shogoと発音してください)。1990年生まれ。神奈川県出身。小学校5年生のときにアメリカのニュージャージー州に引っ越し、小・中・高を通して7 年8ヶ月ほど滞在。Parsippany Hills High Schoolを卒業後、日本に帰国。2009年に上智大学国際教養学部に合格し、2年に在学中(2010年現在)。神奈川新聞社主催、「北条イラストコンテスト」入賞。