海外生活体験者・社会人インタビューvol.85

interviewee_s_214_profile.jpg J.O.さん。1986年生まれ。東京都出身。小学生の頃、父親の仕事の都合で渡米し、ニューヨークに2年間住む。日本の中高を卒業後、大学進学のために再び渡米し、アメリカの美術大学に入学。デザインを専攻。卒業後日本に戻り、現在はデザイン事務所でインターンをしている。

「行きたくない」と泣き叫びました

―今日はよろしくお願いします。まずは最初の海外滞在経験を聞かせて下さい。

小学生4年から6年までニューヨークに住んでいました。両親から最初に渡米することを伝えられたときは、不安で仕方がなかったことを覚えています。初の登校日前日には「行きたくない」と泣き叫びました(笑) でも、いざ現地の学校に通ってみると、毎日が新鮮で楽しく、授業のレベルも高くなかったので、語学面でもあまり苦労しませんでした。日本に戻るときは、もう少しいてもいいのに……って(笑)

―どのような小学生でしたか?

大人しい子だったかな? 特に、アメリカでは周りの子たちがよく喋ったので、自分から何か話しかけることよりも、友人の話に笑っていることが多かった気がします。向こうの女の子はとにかく自己主張が強くて、喧嘩は多いけどすぐに仲直りする。私はその仲介人のような役割をすることが多かったと思います。

授業でもあまり発言することはなかったのだけど、日本の小学校の方が進んでいるので、先生には優等生扱いされていました。それと、ニューヨークに住んでいる間は外に出かけるのが好きでした。もちろん、出かけるといっても親に連れていってもらうだけなんですけど。近くのモールや映画館にツインタワーや美術館。幼いながらニューヨークが楽しくて、それまでは本当にインドア好きの子供だったのですが、それから活発に動くようになりました。NYの美術館を楽しむには幼すぎたけど、自然博物館に感動したことを良く覚えています。

―印象に残るエピソードを教えて下さい。

1つはフロリダのディズニーワールドに友だち家族と行ったこと。当時ディズニーシーのなかった日本のディズニーランドと比べて何倍も大きく、2日かけても周り切れませんでした。そのときにゲームで獲得した人形はまだ家に飾ってあります。もう1つがハロウィーンですね。シンデレラの格好をして、下手な発音で”Trick or Treat”と言いながらお菓子をもらいにいったなぁ。

成長し、将来の可能性を広げる

―芸術に興味を持ち始めたきっかけはなんですか。

何でしょう。幼い頃から絵を描くことは好きだったのですが、今思えば、アメリカにいた頃、アートの授業で書いた作品が入賞したことも、きっかけの1つだったのかもしれません。自分の絵を先生に褒められたことがすごく嬉しくて、また、英語が関係ない数少ない授業だったので、渡米間もない頃から、いつもアートの授業を楽しみにしていました。市のコンテストに入賞したときは、色々な人に褒めてもらって、私は絵描きになるんだ!なんて得意げに言っていました(笑)

―アメリカの大学の進学はどのように決めましたか。

中学高校では、人並みの学生生活を送っていたと思います。ただ、将来に関しては悩みました。特に大学進学に関してはずっと頭を抱えていました(笑) 自分が興味をもっていること、そして、それをどう実現するのか。ずば抜けた才能があれば、あそこまで迷うことはなかったのでしょうが、将来のことや親の意向、金銭面を自分の興味を比較考慮したときに、簡単には「こうしたい」っていうのが決まらなかったんですね。

いくつかある選択肢のなか、最終的には、アメリカの大学を選びました。まず、もう一度海外に行きたいという気持ちがありました。高校のときに1年の留学を考えて、でも将来や自分の気持ちがはっきりしていなかったので断念したことがあって、今度は行きたいなと。社会人になってから、やっぱり国外に行きたいと思っても、遅いかもしれない。小学校のときも2年しかいれなかったので、もう少し長く滞在したいというのもありました。

そして最大の理由が、海外の大学の方がより多くのことを学べると思ったから。世界中から多くの才能溢れた人たちが集まりますし、デザイン・アートに興味を持つ学生にとって素晴らしい環境が用意されています。また、向こうのアート学校では芸術関係の授業だけじゃなく、一般教養の授業にも力を入れています。デザインに興味を持っているけど、同時にそれ以外の多くのことも学びたい。そういった私の気持ちと合致したことが決め手になりました。自分がより成長でき、より将来の可能性を広げられるのは、日本大学よりも海外の大学だなって。

変だけどすごい、でもやっぱり変

―実際に大学に進学してみてどうでしたか。

1度目の渡米と同じく、全てが新鮮で、色々な人が……変人もいっぱいいて、刺激の多い環境でした。いつも自分の手の彫刻を持っている男とか、いつも変な格好で道端に寝転んでいる女の子とか(笑) 変な人が多い分話題には欠かず、常に何か起こっていた。もちろん、みんな芸術のことになるとやっぱりセンスに溢れる人ばっかりで、魅せられることも多かったです。変だけどすごい、でもやっぱり変……、そんな友人ばっかりです(笑)

課題は大変でした。アメリカの普通の大学と同じですね。毎週複数のデッサンやデザインスケッチの提出を要求されるので、週によっては毎日徹夜をしたり、数日間部屋に籠ったりしたこともあります。クラスメイトが優秀でセンスのある人ばかり。みんな仕上げるペースが速い。そんな学生たちに囲まれながら課題をこなすことが辛かった時期もありました。

とにかく、芸術を志す者として、芸術の素晴らしさも難しさも教えてもらいました。やはり、この世界に進んだ人はみな、世俗から少し離れた道を歩むことに少なからず葛藤を覚えたことがあると思うんです。でも振り返ると、やはり著名な画家の絵が飾られた大学付属の美術館があり、各界で活躍している人たちに直接教えてもらえるなど、恵まれた環境であったことは間違いありません。視野も広がって、将来の可能性も大きくなったと思います。

一歩ずつ確実に進んでいる

―現在の活動について聞かせて下さい。

今はデザイン事務所のインターンと芸術交流センターのお手伝いをしています。大学卒業後少しの間はリアルニートでしたが(笑) やはり、何か強みがないとなかなか評価してもらえない世界なので、最初は思ったほどすんなり決まりませんでした。これは駄目だと、自分から尋ねにいくなど積極的になることで少しお話を頂けるようになりましたけど。

とは言え、現在も将来のことを考えながら日々を送っていることには変わりません。人よりも周り道を歩いていると思います。それでも、一歩ずつ確実に進んでいる実感はあります。何に向かって進んでいるんですかね?(笑)

―海外留学を考えている人、芸術を志している人に、何かメッセージをお願いします。

自分が興味を持っていることに、どれだけ興味をもてるかに尽きると思います。芸術の道を進むと苦労することは間違いないです。ですから、好きでないとなかなか続かないでしょうし、でも、逆に好きであれば、好きなことをずっとやれるので、ハイリスクであることを納得して努力を重ねられると思います。積極的に多くのことに挑戦して下さい!

―ありがとうございました!

インタビューアから一言

アートに関して突っ込んだ質問をすることができませんでしたが、自分が興味をもったことを続けている人の強さや魅力をひしひしと感じました。インタビューウィはとても素敵な方で、途中から世間話になってしまいましたが、楽しく有意義な時間を過ごさせていただきました。また、お勧めのアートや美術館を教えて下さい! ありがとうございました。
三雲俊介。1988年生まれ。中学1年の夏に幼少期にも数年滞在した、米国カリフォルニア州オレンジカウンティー、ニューポートビーチに移り、私立St. Margaret's Episcopal Schoolに高校卒業まで6年間通う。高校卒業後、慶應義塾大学法学部法律学科に進学。現在3年に在学。現在は法律系サークルとフットサルサークルに所属している。