海外生活体験者・学生インタビューvol.103

interviewee_s_227_profile.jpg 菅野龍太郎さん。1988年生まれ。東京都出身。2歳のときに、父親の都合で半年間スイスに。その後東京、栃木で育ち、高校1年の終了とともに、イギリスのボーディング・スクールHaileybury Collegeに2年ほど単身留学。帰国後、慶応大学法学部に合格。現在は3年生。平野研究会に所属、財産法を中心に民法を広く学んでいる。また、法律サークルにも所属し、そこでの友人を中心にフットサルサークルの運営にも携わっている。

海外の大学院を卒業した父の勧めで

―それでは早速ですが、海外生活についてお聞きしたく思います。留学したきっかけはなんですか?

俺の父親は海外の大学院を卒業してて、いつか留学をした方がいいってことを、いつも父親から言われてたんだ。高校生ぐらいだったら、日本語の基礎もできてるし、日本人の友だちもいるし、それくらいの年で留学するのがいいんじゃないかって言われた。そのときは正直、留学するかしないかはどっちでもよかったんだけど、留学しとけばよかったって後悔するのは嫌だったから、「じゃ、しとくか」ぐらいの気持ちで決めた。

ギャビタスっていう留学の仲介業者を通して、高校1年目が終わる3日前くらいにイギリスへ行ったんだ。最初は語学学校に4、5ヶ月入って英語の勉強をしたんだけど、ネイティブスピーカーがいなかったから、あんま上手にならなかったかな……?

その後、現地のボーディング・スクールで2年間勉強したけど、語学学校であまり英語を勉強できなかったから、最初のうちは苦労したよ。聞き取るのが大変だったのかな。元々耳がちょっと悪いから、余計大変だった。1年目は本当に大変だったけど、2年目からは色々慣れてきて楽になったよ。

実際、留学してみたら結構大変だったけど、今は結果オーライで、留学して本当によかったと思ってるよ。交友の幅も広がったし、日本に帰ってからも、上智とか早稲田とかの外国人留学生と遊んだりもしたし。交友の幅が広がったっていうのは、本当によかったと思う。

―ちなみに、留学されていた際には、既に法曹界を志していたんですか?

高校の頃に、自分は文系だな~と思ってたから、そのまま法学部に入るのかなっていうイメージはぼんやりとあったけど、特に絶対っていう感じではなかったかな。

イギリスの大学でローに進むことも考えたことはあるけど、イギリスの大学で法を勉強するにはGCE でイングリッシュを取っていなきゃいけないところが多かった。その時点で、1年ちょいしかイギリスにいなかったから、俺はイングリッシュをやってなかったんだ。それで、経済学部を何校か受験して、UCL (University College London)の経済学部に受かったんだけど、英語があまり出来なかったのと数学があんまり好きじゃないからっていう理由で、日本の大学の法学部を受験して、慶應に入ったんだ。

他人に引っ張られないようになった

―帰国して、大学に入学した後の生活はいかがですか?

特に苦労もせずに大学生活送ってるかな。そもそも、日本の大学って、そんなに苦労しないところなんじゃないかな? ただ、もっと友だちの幅を広げるために、法律サークル以外にも所属しとけばよかったかなとは思ったりする。

学校の勉強はちゃんとやってるけど、資格試験の勉強は中だるみとかあったりして、夏くらいから本格的に始めないとやばいかな。でも、今からでも頑張れば間に合うからね。本当はもっと早くエンジンを掛けるべきだったと思うけど。

あとは、構築できたネットワークから得られることも多いよ。教授や知り合いの勉強や研究の仕方を見て、大体こんな感じにやれば上手くできるかなっていうのはわかった。

―イギリスで得たものは、役に立ってますか?

直接的ではないけど、役に立っていると思う。一つあげられるのは、他人に引っ張られないようになったってこと。ウチのサークルには、他人に引っ張られる人も多くて、そういう人たちはやりたくもないことを渋々やってるけど、俺は絶対やだって言ってる。結局、帰国生は一人もやってないけど、こういうところに差が出るんだなぁと思った! 他には、イギリスでの経験が物事を考える基礎になってる場合も多いね。

どこでも生活できるんじゃないか

―大学生活に限らず、イギリス留学が生活全般に与えた影響はありますか?

まず、心構えは変わったかな? 高校生の頃とかは、テストの度に緊張してお腹とか壊しちゃうタイプだったんだけど、最近はどうでもよくなったっていうか、そこまで緊張しなくなったかな。向こうのキツキツな感じじゃない雰囲気のおかげで、物事を深刻に受け止め過ぎず、楽観的に捉えられるようになったと思う。

―肝が座るようになったんですか?

肝が座ったっていうか……、麻痺したっていうか(笑)

向こうにいきなり単身留学したおかげで、日本語が通じる日本だったら、どこでも生活できるんじゃないかなーって思えるほどにはなった。それ以外に得られたっていうと、英語力はもちろんだし、日本にいたんじゃ得られない友だちの輪ってのもそうだし。

それと、向こうで多少の差別を経験したから、差別はよくないっていうことを肌で感じたし、出来る限り物事をニュートラルに捉えるように努力するようになった。

留学する前は色々心配したけど、物事の実態はやってみなきゃわかんないってことはわかった。話に聞いただけで、留学生活が大変だの、視野が広がるだの言われても、どう大変なのか? どう広がって何が得られるのか? ってのは、わからないからね。事前に予想できない問題もたくさんあるだろうから、やってみないと絶対にわからないもんだなーとは思った。だから、留学みたいな特別な機会を得られるのなら、なるべくトライしようと思うようになった。

今は法律の勉強をしたい

―2年間で大きく変わったんですね。

自分がどういう人間か、よくわかったね。日本にずっと住んでいた、ら同じ環境がだーっと続くけど、喋る言語も自分のポジションも全く違う環境のイギリスに行ったことで、喋る言語ごとに性格が変わったり、違う反応をしたりするんだっていうことがよくわかった。留学時に経験したような、新しい環境に自分が置かれても、自分に自信があったり、自分なりの対処法を事前に見つけたりすることで、気持ちは楽になれると思う。

ただ、こういう辛い状況で得た経験は、辛い状況でこそ発揮されると思うんだけど、日本に帰ってきてから、あんまり辛い状況を経験してないんだよね……。正直、今はぬるま湯に浸かっている状況なのかもしれない。でも、将来イギリスの経験が絶対に活きると思う。

―将来の夢はありますか?

昔はこれっていう夢とかはなかったけど、今は法律の勉強をしたい。他の分野よりも法律の方が勉強していて面白いから、向いていると思うんだ。だから、好きな法律の勉強を続けることと、その勉強を活かすなら法律家になるべきってことを考えると、司法試験には受かればいいなって思ってる。

ただ、その勉強と資格をどう活かすのか。弁護士になるのか、それとも全く違うビジネスに携わるのか、それはまだ解らない。あと、弁護士って言っても、色々あるからね。民事の弁護士の方がいいかなって思ったりすることはあるけど、まだハッキリとは決まってないね。

とりあえず、今はまだ法律を深く勉強できていないから、まだ何をするかっていうのを選べるレベルではないと思うな。とりあえず、「俺法律好きだし、弁護士やるか!」っていうノリもある。

ひとから尊敬される人間になりたい

―では、何か大切な信条はありますか?

なるべく人から尊敬されることかなぁ。人間関係の半分はそれな気がする。残り半分は自分が楽しみ、お互いのために助け合ったりすること。だけど、人からの尊敬っていうか、認められることがないと、人間関係は失敗する気がする。やっても問題ないけど、やってしまうと信頼を失う行動や態度ってあるからね。例えば、友だちが彼女に絶対バレない浮気をしていたら、バレるバレないの実害を除いて、そいつのことを「その程度の人間」って思う人多いじゃん。だから、人から見て恥ずかしくない人間、「その程度の人間」と思われないようにはなりたい。

あとは、後悔しないように生きたい。留学を決めたのも後悔をしたくないって気持ちがあったからだしね。

―最後に、帰国子女の後輩たちへメッセージをお願い致します。

帰国子女は、日本国内にずっといた学生よりも、多くの選択肢を持っているはず。だから、むやみに選択肢を狭めるのは良くないと思う。情報をたくさん集めて、広い視野を持って、一所懸命考えて、それから一つの道を選ぶといいんじゃないかな。 それと、人生で一番重要なのは健康だと思うから、身体を大切に(笑)

―僕も参考にさせて頂きたく思います。本日はインタビュー、ありがとうございました。

Haileybury College :
http://www.haileybury.vic.edu.au/

インタビューアから一言

とても爽やかな方で、楽しくインタビューできました。ただ楽しかっただけでなく、菅野さんの仰る言葉やポリシーは、全て経験に基づいているものなので、説得力が抜群で、参考になるものばかりでした。信条として挙げていただいた「人から尊敬されること」ですが、菅野さんのような方だったら問題なく人からの尊敬を勝ち取れると思います。インタビューアとして、菅野さんの生き方に憧れを抱く瞬間もあり、自分もしっかりしなければならないと、思いました。菅野さん、どうもありがとうございました!
稲葉省吾(どうかInaba Shogoと発音してください)。1990年生まれ。神奈川県出身。小学校5年生のときにアメリカのニュージャージー州に引っ越し、小・中・高を通して7 年8ヶ月ほど滞在。Parsippany Hills High Schoolを卒業後、日本に帰国。2009年に上智大学国際教養学部に合格し、2年に在学中(2010年現在)。神奈川新聞社主催、「北条イラストコンテスト」入賞。