海外生活体験者・社会人インタビューvol.89〜後編〜

interviewee_s_220_profile.jpg 古澤允悟さん。1984年生まれ。小学校3年生から高校2年生までの8年間を、アメリカ・オハイオ州で過ごす。高校2年の夏に帰国後、南山国際高等学校に編入、卒業。上智大学比較文化学部(現国際教養学部)比較文化学科に入学し、International Business & Economicsを専攻。現在、岡藤商事株式会社で海外ファンド&システムを担当。社会人4年目。

合気道にOutback Steak House

―そして大学生活が始まるわけですね。

はい。上智の比較文化学部に入学しました。今の国際教養ですね。

―帰国子女と留学生の多いところなんですよね。

そうですね。あとはTOEFL対策をして入って来た子ですね。ここの学部の特徴は、英語で全部の講義を受けるっていうことです。Liberal Artsみたいな感じで初め入って、色々学んでから自分の専攻を選ぶんです。社会学、政治学、ビジネス、歴史と色々あって、自分はそこでビジネスを選びました。

周りは自分と同じような感じの人ばかりで、日本語と英語をごちゃ混ぜに喋っている人もいますし、日本語しか喋れない英語を学びたい人もいます。逆に、自分みたいに日本語を学びたいって言って、入ってきている人もいます。で、半分以上が留学生ですね。学期が終わると人が入れ替わるんです(笑)

―本当に色々な人との交流があっていいですね。

そうですね。今でも交流のある人が多いです。

―大学時代に熱中したことはなんですか?

合気道です。大学に入って始めました。

―また新しいことに挑戦ですか!

大学入ってアメフトを始めたんですけど、半年で腕を折ってしまって。で、他に何かないかなと思っていて、高校時代の友だちに誘われて入ってみたら、はまりました(笑)

―合気道はスポーツなんですか?

武道ですね。自分だけじゃできないし、相手がいて、相手のことを考えてやる武術です。争いごとがないのが魅力ですね。ここまで達成すればマスターできたっていうのがなくて、一生やれるものなので、いくらやっても至らない部分があるって思いながらやります。

―アルバイトはやっていらっしゃいましたか?

はい。Outback Steak Houseでウェイターとバーテンダーをやっていました。300人入る店舗で3年間ずっと走り回っていました。

―お~~、だいぶ鍛えられたんじゃないですか?(笑)

週4入ってたので、鍛えられましたね~。家庭教師とかだと、どうしても上に立つことになるので、人の下に立つという仕事を経験するのは大事ですね。

-どうしてOutbackで働こうと思ったんですか? ステーキが好きだったんですか?(笑)

(笑) レストランが好きだったんですね。バイトするんだったら、自分の好きなところでやりたいと思って、食べてお客さんに勧められる料理をやっているところで働きたいと思って。

―バイトで楽しかった思い出はありますか? 仕事は好きでしたか?

大好きでしたね! バーテンダーのときは、お酒を扱っていて、品卸の管理もさせてもらって、勉強になりました。お酒にも興味をもって、色んなお酒が好きになりましたね。

―なんでも、やったことを好きになって、のめり込むタイプなんですね!

熱中する方ですね(笑)

自分が就活で決めたルール

―そして、大学生活後半、就活をなさいますね。大変でしたか?

大変でしたね。3年生の10月に就活を始めて、決まったのが4月でした。早いと思うかもしれませんが、元々狙っていたのがメジャーな金融系の会社で、そちらは採用が早いので。最終まで行ったところもあったんですけど、ダメで、じゃ次自分は何をやろうって、考える時間がありました。色々見て回って、金融と全然関係ないお酒のカクヤスとか、ラーメンの幸楽苑とか、サービス業、飲食、銀行、etc。で、その中で見付けたのが今の仕事、商品先物取引で、最終的にそこに至ったと。

―就活の何が大変でしたか? それに向けて取った対策があれば教えてください。

自分が就活で決めたルールは、なるべく週末には入れない、でも、平日は一日3、4社、説明会だったら5、6社聞いて、出来るだけ多くのイベントに参加するってことですね。最初の金融にしか行かないという固定概念を外して、自分のフィールドでないところも見るようにしました。休むときは休む、活動するときは活動する。あとは、周りに流されないことですかね。

大変だったのは、ペーパーテストですね。数字だけなら大丈夫なんですけど、日本語文章が入ってくると……。面接は大好きだったので、キャリアセンターとかで練習とかは全くしていないです。と言うより、キャリアセンターの存在を知ったのが、就活が終わった後だったので(笑)

―ご両親への相談、OB・OG訪問はされましたか?

OB・OG訪問は全くしてないですね。親には少しだけ話しましたけど、自分が生きていく上でやることなので、いつまでも頼っていられないないし、あまり相談はしなかったです。とは言っても、私の業界は印象が悪いので、「えっ、そんなところ行くの?」と言われましたけど、最後は「自分が判断したことだから、やりなさい」と言ってくれました。

将来の値段を今取引する

―商品先物取引について説明していただけますか?

先物取引というのは、将来の値段を今取引するんです。何ヵ月後かの商品を今の値段で取引して、将来的にその値段が上がったときにその高い値段で売る。そうすると、その差額から利益が出るという取引です。

今、手元にないものを取引するので、売ることからスタートするんですね。私は何ヵ月後に売りますと宣言して、その何ヵ月後までにその売りを買いで相殺すれば、約束したものは売らなくてもいいわけです。

例えば、商社がトウモロコシをアメリカで買って、船で持ってくるまでに3、4ヵ月掛ると。その間に値段が上がったり下がったりします。もし値段が下がった場合には、安い値段で売らなければいけなくなって損してしまうので、先物市場で売っておけば、高い値段で売る約束をして安い値段で買ってるわけですから、現物で損せずに済むと。保険みたいな感じですね。

扱うのは、金、銀、パラジウム、石油といったものからトウモロコシ、大豆、小豆まで。金融の中でも、国内ではすごくマイナーでニッチな領域ですね。おじいちゃんおばあちゃんの世代になると、「そんな! 先物屋さんなの!?」というふうに思われるんですね。「赤いダイア」という小説やエディー・マーフィーの「大逆転」っていう映画があって、先物市場を題材にしたものがあります。よかったら見てみてください。

―どうしてこの仕事を選ばれたんですか?

大学で経済、ビジネスをやっていて、絶対に金融関係の仕事に就きたいと思っていたんですが、銀行を見てどうなんだろう、証券会社を見てあまりしっくりこないなと。で、商品先物を見ていて、あーこんな世界があったんだって。知らなかったんですね。身近なものを取引しているんですよ。

例えば、この携帯に半導体が使われているだろうし、この飲み物に大豆が入っているだろうし、そういうすべてのものが関わってくるんです。値段も動くし、世界情勢が変われば動くし、色々なことが絡んでくるんだという発見があって、ここにしようと思いました。

フロント、ミドル、バックと全てカバー

―お仕事にシフトがあるって仰っていましたけど、どういうルーティーンなんですか?

東京市場は朝の9時にオープンして、夜の11時までやっているんです。一日中は無理なので、シフト制で24時間体制でやっています。

―そうなんですか。古澤さんはどういう商品を扱っていらっしゃるんですか?

私はファンド担当なので、これといった商品ではなくて、色々扱っています。ブローカーという、お客さんの注文を頂いて、東京の市場に発注する仕事をします。システム・トレーディングの担当をしていて、お客さんの注文がちゃんと流れているか、発注したものがちゃんと東京に届いているかを監視、確認しています。

あとは、お客さんに資金がちゃんとあるのかとか、なかったら請求してということもします。金融は基本的にフロント、ミドル、バックって分かれているんですけど、私は全部やっているんですね。

―今後のキャリアプランや夢があれば教えてください。

今の会社の今の業務で、全部カバーしているんですね。お客さん持って来て、お客さんに合ったことを設定・提案して、お客さんを連れて来て、そこを繋いで、その後のケアもあってと、それを全部やっているので、これが全部できるようになったら、もっと特化したことがやりたいと思っています。今よりも、もっと規模の大きな会社に行きたいとも思っています。日本の会社がどういうものかっていうのも見ていますしね。

―日本企業のいいところはどういうところですか?

外資に行ったことがないので分からないですけど、日本の企業は社員を大事にすると思います。

―週末はどういうふうに過ごされていますか?

週末はずっと外にいますね。合気道や大学時代の友だちだったり、金融繋がりの友だちだったり、色々な情報交換をします。週末は半日出勤して、そこから「週末」ですね。

名前ではなく納得できるところ

―就活に向けて、アドバイスがあればお願い致します!

自分が納得するところに行かないと、結局長続きしないですね。自分がやりたい、この業界でやっていきたいって決めたら、軽い気持ちで大手の名前だけで入らないことです。入って違うって思うと、「仕事」じゃなくて「作業」になっちゃうんですよ。

―それこそ、仕事が嫌で、既に転職なさってる方も、周りにいらっしゃるんじゃないですか?

同期が30人いて、今もう10人ですね。公務員になった人とか、メーカーに行った人とか、中にはアパレルに行った人もいますね。

インターンにガンガン行ってください。行ってマイナスになるってことは、絶対にないですから。私はインターンに行かずに仕事に就いたので、他の仕事、職場を知らないんですよね。でも、色んな職種を知りたいし、職場を体験してみればよかったなと。私の学生生活での唯一の後悔ですね。意欲ですよ!

―はい、がんばります! 今日はお忙しい中、ありがとうございました!

こちらこそ、ありがとうございました。就活がんばって下さい!

南山国際高等学校 :
http://www.nanzan-kokusai.ed.jp/

インタビューアからの一言

一見、すっかり日本のサラリーマンになられたのかと思ったのですが、話が始まると、手の動きやお話の仕方がしっかりアメリカ人でした(笑) どんなことにも挑戦し、興味を持って臨む姿勢が、とても素敵な方だと感じました。とにかく、ガツガツと頑張らなければと思います。インタビュー後、ランチをご一緒していただき、引き続きご家族や就活について面白いエピソードなどを伺い、とても楽しかったです。ありがとうございました!

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岡村美佳。1986年東京生まれ。4歳から8歳までの4年間をアメリカのニューヨーク・カリフォルニアで過ごし、日本に帰国。中学1年生のときに、今度はイギリス・ロンドンに渡り、5年間過ごす。Marymount International Schoolを卒業後、日本に帰国し、06年に東京大学理科Ⅱ類に入学。教養学部生命認知科学科を卒業後、東京大学総合文化研究科に進学し、現在修士1 年。大学では、酵母を使ってDNAの転写・組み換え機構について研究を行っている。