海外生活体験者・学生インタビューvol.104

interviewee_s_229_profile.jpg 栁原優さん。高校1年の終わりからベルギーに移り、International School of Brussels (ISB)卒業後、東京大学理科Ⅰ類に入学。学部時代は剣道部に入り、剣道と研究を両立した生活を送る。現在は、東京大学教養学部生命認知科学科で分子細胞生物学を専攻。我々の記憶や学習の形成に関与すると言われている、アストロサイトからの分泌に焦点を当て、研究を行っている。現在修士2年に在籍し、2011年4月からは、化粧品メーカーに勤める予定。

女の子バージョンもあるんだけど

―ベルギーってあまり馴染みがないのですが、どんな国でしたか?

とにかく毎日のように雨が降っていて、なんかうつうつとした感じ。だけど、やっぱり街はすごく奇麗だったよ。

―治安はいいんですか?

治安は良い方だったと思う。アラブ街だけは、アラブ人が多くて、そこはやっぱり治安が悪かったみたいだけどね。ニューヨークはどうなの?

―僕の街は安全でしたけど、やっぱり危ない場所はあります。夜の地下鉄とかハーレム街とか。ベルギーの人って、どんな人たちなんですか?

ベルギーの人は、意外と控えめで、奥ゆかしい感じがありました。だから、なんとなく日本人に似ているのかな。最近は日本の企業もたくさん進出しているみたいで、日本人も結構多い。

あと、小便小僧って知ってるでしょ? あれって、もともとはベルギーのもので、本物がいたんだよ。しかも、小便小僧がある場所の近くの小さい路地に入っていくと、小便少女っていう女の子バージョンもあるんだけど、そっちはなんかすごかった(笑) だから、あんまり有名じゃないんだろうね。

―女の子もいるなんて知りませんでした!! ベルギーでの優さんの生活について教えてください。

ベルギーでは、アメリカンスクールに通ってたよ。ベルギーの人はほとんどいなくて、基本的にはアメリカ人、イギリス人、韓国人とかが多かったかな。最初は、とにかく友だち作りのために、バスケットボール部と数学クラブに入りました。数学クラブでは、大会とかのために、普段は行かないような国に行けたから、すごく面白かった。

あと、ボランティアも頑張っていた。現地に乗馬クラブがあったんだけど、私は乗馬ができたから、そこで小さい子供たちのお世話をしながら、乗馬を教えるっていうもの。すごく楽しかった。全体的に、高校は勉強!!っていうよりも、そういった課外活動が中心だったかな。

「大学では剣道をやる!」って決めてた

―大学生活、大学での活動について教えてください。

中学から剣道をやっていたから、大学に入るまえから「大学では剣道をやる!」って決めてました。それで、大学では、剣道部に入った。すごく伝統のある部だから、いろいろと豪華! 元世界大会の監督の人が師範として指導して下さったり、たくさんのOBの人たちが資金援助をしてくれたりとか。

結構大きいサークルで、60人くらいはいたのかな。私の代の女子は4人だけだったんだけど、少数派でも、男子に混じってちゃんと練習してたよ。メインの目標は関東大会で、それに向けて、みんなで頑張ってました。ソウル大学との定期戦っていうのもあって、そういうときは、海外での体験を活かして、交渉役をやったりもした。いい経験になりました。

実際の部活動はどうだったかというと、やっぱり体育会なだけあって、かなりハードだったかなぁ。毎回剣道をするために、駒場から本郷キャンパスまで通わなくっちゃならなかったしね。練習は、大体2時間で、最初の1時間は基本打ち。その後は、回り稽古って言って、約2分間ごとに相手を順次変えながら、ずっと打ち合いをする練習。あと、師範や監督の先生が相手をしてくださるときは、ひたすらこちらが立ち向かって行くような稽古も多くあったよ。

―剣道では、基本的な体力トレーニングとか筋トレとかはしないんですか?

剣道では、そういうのはなかったなぁ。ベルギーの剣道はかなり力技って感じがあるから、そういうのもあったんだけど、日本は違った。やっぱり技が磨かれていれば、力はそんなにいらないのが剣道っていうスポーツだと思う。

研究室の決め方がちょっと

―研究活動について伺っていいですか?

今は、生命認知科学科っていうところにいて、研究の分野は分子細胞生物学。その中でも、今は分泌について研究しています。具体的にいうと、脳内に存在するアストロサイトからの分泌メカニズムの解明を試みてるの。この研究を通じて、私たちの記憶や学習の形成に、アストロサイトがどのように関与しているか分かればいいなと思っています。

―どうしてその分野を選んだのですか?

もともとは、脳に興味があったのね。そこから脳神経疾患に対して興味を持ち始めて勉強してたんだけど、脳の病気のほとんどが、分泌異常によって起こることを知ったの。それから、分泌についての勉強を始めたんだ。

―研究室はどんなところですか?

研究室はかなり特徴があると思う。まず、うちの学科はほんとに小規模で、1学年12人しか学生がいないんだ。でも教授陣の数は多い(笑) だから、学生が比較的多く集まる研究室もあれば、ほとんど学生がいない研究室もあって色々なんだ。私が今いる研究室は、私を含め学生は4人だけ。出来たばっかりの研究室だからっていうのもあるんだけど、少人数だと、先生にもよく見てもらえるから得なことも多いんだ。

あと、他の学科と比較したことないから分からないけど、うちの学科の研究室配属の決め方は結構シビアだよ(笑) とりあえず初めは、人気が高い研究室に人が偏ったら話し合いをするんだけど、最後は有無を言わさずジャンケンで決めちゃう。勝てればいいけど、負けたら、あまり興味のない研究をしなきゃいけなくなるってことだから、わりと酷だよね。でもまぁ、負けてもその後にいい研究出来る人もいるし、何が自分にとってプラスとなるかなんて分からないもんだけどね!

―へえーー。。。僕の学科の研究室の決め方もわりと変ですけど、そっちも大変ですね。

大切なことは「全部行動につなげる」

―じゃあ、ちょっと話は変わるんですけど、自分が帰国子女であることを意識したことはありますか?

正直、あんまりないかなぁ。。。3年半って、期間が短かったのもあるのかもしれないけど、意識したことはほとんどない。周りの人から見ても、あまり帰国子女に見えないみたい。んー、強いて言えば、さっき言ったソウル大学との交渉をしていたときかな。だけど、そのときも周りの人は、「あ、そういえば帰国子女だったね。」くらいの感じだったから(笑)

―なるほど。就活はどうでしたか?

分泌の研究をしていて、やっぱりそれを活かしたかったから、メーカーか化粧品会社を考えていたのね。一昨年の12月頃に始めて、終わったのが去年の4月末あたり。35社くらいエントリーしたかな。うちみたいな研究室だと学生が4人しかいないから、教授からの無言のプレッシャーなんかもあったりして、ちょっと就活はやりにくかったんだけどね(笑)

―将来のビジョンは?

3年間ほどは基礎研究をしたい。ハーバードとかフランスとかの研究所と提携を組んでいる研究所があるみたいだから、いずれはそういった外の研究所で研究をしてみたい。 長期的には、経営にも関わっていきたいと思ってる。

―就活生になにかアドバイスを!!!

とにかく使えるものは全部使ったほうがいいってことかな。私は、大学のキャリアサポートセンターをたくさん使ったし、友だちとできるだけ情報交換をしたよ。東京ビッグサイトとかでやってるおっきな説明会には、一度も行かなかったけど(笑)

あと、これは就活に限らず言えることだけど、私が大切にしていることは、「全部行動につなげる」ってことなの。例えば、何か学びたいことがあったら、すぐに実験をしてみるとか。実際に行動してみないと、相手に伝わらないし、自分の身にもならないから。

―ありがとうございました!!!

The International School of Brussels (ISB) :
http://www.isb.be/

インタビューアから一言

栁原さんは、初対面でも優しく迎えてくれて、インタビュー中も、時々こちらに話題を振ってくれたので、インタビューとは関係ない話をしてしまうくらい、やりやすかったですし、居心地がよかったです。同じ理系なので、お話の中で共感できるところもたくさんありました。お忙しいところ、どうもありがとうございました。
越島健介。1989年ロサンゼルス生まれ。2歳から9歳まで神奈川県で過ごした後、再び渡米。Scarsdale High Schoolを卒業したのち、帰国。早稲田大学先進理工学部に進学し、現在3年生。大学での最初の2年間は、学校の課題やレポートに追われながらも、音楽活動に明け暮れ、COLLO SOUND ROOTSというバンドでキーボードを担当するが、3年生になりバンドは解散。音楽は趣味として続けている。