海外生活体験者・社会人インタビューvol.93〜後編〜

interviewee_s_230_profile.jpg Rie fuさん。本名船越里恵。1985年東京生まれ。小学2年から5年までの3年間を、アメリカ東海岸メリーランド州で過ごした。高校時代、何気なく弟からギターを借りて作った曲がデビューのきっかけとなる。04年3月にSony musicより『Rie who!?』でデビュー。また、03年からイギリスの名門Central Saint Martins College of Art and Designに通い、日英を往復しながら音楽活動を続けていた。07年に油絵科を次席で卒業。卒業制作は大学や現地企業に買い取られて評価を得る。現在は日本を拠点に、日英米を股に掛け、個展やライブイベントで、画家・音楽家として活動している。

自分でモチベーションをあげていかなきゃ

―ロンドンでは「美大生」として日々どういう生活をしていたんですか?

アートだから、全然課題とか試験とか一切なくて、スタジオのスペースを与えられて、とにかく創作活動をする、と。テーマは自分で決めて、作るものも作品も全部自分次第で、なんでも作っていい、みたいな。完全に自由だから、人によっては毎日朝から晩までスタジオにいる人もいれば、全く来ない人もいて、自分でモチベーションを上げていかなきゃいけないのが、大変だったかな。

―最初はGraphicにいたんですよね。そこからFine Artに移ったということですが、どうして専攻を変えたんですか?

Graphicは課題があって、自分のための作品というよりは、クライアントの要望にいかに分かり易く応えるかっていう、そのための訓練みたいな感じで、自分は音楽も作っているし、純粋にアート活動としてやりたい、アーティストとして自分の好きなテーマで自由に作りたいと思って変えました。

イギリスの美大1年目の基礎コースでは、ファッション、グラフィック、彫刻って、全部1週間ずつ試せて、最初はファッションがやりたかったり~って(笑) すごく迷いました。でも、どれも範囲を狭めちゃうって意味で、Fine Artが一番幅広かったから、そこから勉強したいなって思って決めました。幅の広いところから始めて、結果的には、自分の好きなテーマとかやりたいこととかが分かってきて、良かったなって。

―周りはどういう人たちでしたか?

留学生が多くて、自分の国をテーマにしたり、個性的で独自のカラーを持ってる人が多かったですね。

ロンドンで生活したこと自体が財産

―イギリスの美大に行って良かったと思うのは?

ん~、街が素晴らしいってことかな。大学のカリキュラムは自分次第だから、賛否両論あると思うんですけど、ちょっと歩けばギャラリーがあるし、留学生も多いから色んな意見を取り入れられて視野も広くなるし、ロンドンで生活してきたってことが、何よりも財産になったと思う。

例えば、学校のすぐ近くにNational Galleryがあって、タダだからちょっと息抜きがてら寄り道ができたり。すごい贅沢ですよね。日本では、海外から持ってきた作品を特別展で見るけど、行列に並んだ上に、混み混みでゆっくり見られないし。

日本だと、わりと毎日今日はこういう日になるなっていうのがだいたい分かるけど、イギリスでは、まさかこんなことが起きるとは!みたいなことが、毎日起きていた気がします。大学以外にも、ちょこちょこライブやったりしていたから、そういう場での出会いも貴重ですね。一回やっただけで、次のライブに繋がるとか、色々なミュージシャンとの接点を持てました。

―そういう余裕を持てる空気があるんでしょうね。

美大っていう選択肢は、やっぱりすごく贅沢だよね。私も今音楽活動をやっていなかったら、どうやって暮して行っていることやら(笑) でも、イギリスは比較的そういう選択をしやすい場所だとは思いますね。貧乏でも、アーティスト仲間でルームシェアして、一緒に展示をしたりして、本当にやりたいことを思いっきり出来る場所ですね。

日本を離れた視点で見る

―日本には型にはまっているフォーマットがあって、それに少しでも乗り遅れていると、焦りを感じさせられます。。。

そのレールに乗っちゃえば楽だし、安心感はありますよね。まぁ、麻痺して危険だけど(笑) でも、今は転職とか、辞めて起業したりする人も多いですよね。

―ん~でも、逆に保守的な人も増えていますよ。職選びの安定志向も強まっているし、海外へ行きたいっていう人も少ないらしいですし、女性に関しては「永久就職」指向も強まっているらしいですよ!

そうか~。。。特に、女性は保守的なんですかね? 「結婚すれば人生安泰」みたいな。でも、そういうふうに考えたことある?

―安泰とか結婚して子供を産むことが目標というふうに思ったことはないですけど、やっぱり人生の一部として欲しいですね。ほぼ専業主婦な自分の母親を見ているっていうのもありますしね。でも、今とか特に就職活動中で、色々な形で社会で活躍している女性を見ると、自分もそういうキャリアを築きたいし、「何か」したいって強く思います。だから、それが「ゴール」っていうふうには思えないですね。

でもそういうふうに考える人が多いってことなんですね。私もそういう要素を人生の一部として欲しいけど、専業主婦にはなれないなぁ。そういう面でも、海外に行くと日本の固定概念から抜け出せるきっかけが出来るし、視野が広がりますよね。

色んな場所を見ることが大事ですね。日本から出るっていうことよりも、日本を離れた視点で見るっていうこと。日本人として、教養というか、日本人としての自覚を高めるためにも意味のあることだなと、最近改めて思いましたね。

参加型っていうのも面白いなって

―やってみたい仕事、作ってみたい物ってありますか?

絵本とか。雑誌を買う人は減ってるけど、絵本なら色んな人、色んな年齢層にリーチ出来るかなって。後は、ジャケットアートとか。最近、アーティストの友だちの写真を撮ったりしてて、そういうのもやってみたいですね。でも、仕事というよりかは、撮りたいから撮ってて、徐々に仕事を貯めて作品にしていきたいなって。

―以前、ライブを見に行かせていただいたときに、大きなキャンバスにその場で絵を描いていたのが印象的でした。今後もそういうアートと音楽とのコラボみたいな活動が楽しみです。

今年のライブでは、始まる前に、無地の真っ白なパズルに絵を書いて、終わってから来てくれたお客さんに1ピースずつプレゼントしました。そういう企画も楽しかったなぁ~。

―ライブの思い出を形にして持って帰れるなんていいですね!そういうのは自分でアイデアを提案するんですか?

そうですね。お客さんに持って帰ってもらえるのは、いいな~と思いましたね。

今年のライブのゲストにリリー・フランキーさんが出てくださって、企画していたことではなかったんですけど、突如リリーさんのTシャツに私がペイントしだすっていうハプニングがあって(笑) お客さんとのコミュニケーション・ツールとして、参加型っていうのも面白いなって。

最近、奥田民生さんがやってたんですけど、レコーディングをライブでやるっていう企画。お客さんに手拍子とか合唱とかしてもらって、それを一枚のCDにする。普段は作っている過程は見せなくて、作り上げたものを見せるんだけど、ライブペインティングもそうなんだけど、作っているところを見られるっていうのも、また新鮮でいいですね。それをさらに一緒に作っていけるのもいいなって思います。

―これからも、そういう色々な新しいアイデアで、Rie fuさんならではのイベントをやってほしいです!

今は日本をベースにやって、将来的には広げていきたい

―今後の活動について教えてください。

今後は、「文化的な活動」と称して、何かしら「意味のある」何か象徴的な場所で、ライブをしたりだとか、アートも引き続き色々なところで展示できるようにしていけたらな、と。リスナーだとか絵を見た人たちが、日本の良さだとか、当たり前な日常の素晴らしさに気付いてくれたらなって。そういう作品を作って行けたらなと思います。

―これからグローバルに活躍するということに対してのご意向は?

今年はニューヨークで4、5回ライブが出来て、大きなステップになりました。でも、やっぱり現地に住まないと、じっくりちゃんとした活動はできないと思うから、今は日本をベースにやって、将来的には広げていきたいと思ってます。どこかにベースを置かないと意味がないと思うから、そのベースを日本でもっとしっかりと作って、もっと色んな人にRie fuを知ってもらって、知名度を高めていきたいというのが目標ですかね。

―頑張ってください! 応援しています! 今日は本当に楽しかったです。ありがとうございました!

こちらこそ、ありがとうございました~!

Rie fu
www.riefu.com
Rie Funakoshi
http://www.riefunakoshi.com
Central Saint Martins College of Art and Design :
http://www.csm.arts.ac.uk/

インタビューアからの一言

美術と音楽、無限に広がる可能性を感じました。その世界を自分でどんどん広げていっていて、本当にすごいです! すごいものを作ろうとか、評価されようっていうことではなく、誰でも自分を自由に表現するためにアートとか音楽が広まって、皆に親しまれるものになるといいですね。また、これからも色んなRie fuの世界を創造して、日本やアートの魅力を伝えて行って下さい!

前編はこちら>>
岡村美佳。1986年東京生まれ。4歳から8歳までの4年間をアメリカのニューヨーク・カリフォルニアで過ごし、日本に帰国。中学1年生のときに、今度はイギリス・ロンドンに渡り、5年間過ごす。Marymount International Schoolを卒業後、日本に帰国し、06年に東京大学理科Ⅱ類に入学。教養学部生命認知科学科を卒業後、東京大学総合文化研究科に進学し、現在修士1 年。大学では、酵母を使ってDNAの転写・組み換え機構について研究を行っている。