海外生活体験者・学生インタビューvol.110

interviewee_s_238_profile.jpg 林香菜子さん。1987年青森生まれ。東京や京都で暮らした後、中学2年から約4年間ドイツに滞在。International School Hannover Regionを卒業後に帰国し、東京工業大学に入学。現在は、東京工業大学大学院理工学研究科建築学専攻修士2年に在学。学童保育等教育施設の施設整備に関する研究を行っている。

研究について

―面白い研究テーマですね。どのようなことをやるのですか?

実は学童保育そのものにまだきちんとした制度が確立されていないので、「子供にとって本当によい空間とは何か」を考えています。例えば、アンケートを全国に送ってそのデータを統計分析したり、あとは実際に施設に行って、子供たちが遊んでいる様子を観察したりすることで、傾向を掴もうって感じで。その空間と、子供の活動との兼ね合い、「こういう空間だと子供の活動はどう制限されるのか」みたいなことを調べています。

―建築学科って、建物の構造とかばかりじゃないんですね。

私のいるところは建築計画学って言って、設計の前段階、建築の空間の配置とかをやる研究室です。建物そのものが「素敵」とか「かっこいい」とかよりも、わかりやすく言えば、バリアフリーとか、「それが使う人にとってちゃんと使いやすい建物」だった方がいいんじゃないかなって思っています。実際に、学童保育の指導員の方から「かっこよくなくていいから、安全な作りの施設で子供を遊ばせたい」っていう話を聞くと、私のやっていることも大切なんじゃないかなって思います。

―そうですね。でも、色々と難しいことも多そうですね?

はい。全て子供の目線で考えなければいけないので、何が子供にとって最適なのかを見つけるのは難しいです。同じ面積でも、私たちと子供じゃ全然感じ方が違うし、する活動も違いますので、大人の感覚で空間の位置関係等を決められないので。でも、頑張ります(笑)

海外生活について

―海外生活はどうでしたか?

私が通ったのは小さな学校で、1クラス十数人しかいないぐらいだし、周りに日本人もほとんどいなくて、大変でした。学校内では、基本的に英語だったんですが、ドイツ人が多くて、半分ぐらいはドイツ語しゃべれるから、最初の頃は馴染むのも難しかったし、寂しかったです。英語できないと、友だちもできないんだなーって。でも、色んな国の子たちと毎日を過ごすことで、日本という国をわりと客観的に見られるようになったので、それは良かったです。

―国外に一回出てみないと、わからないことってありますよね。

ドイツに行ったのがちょうど9・11のあった頃で、その後ずっと「戦争する」「しない」ってアメリカが言ってたときに、私のいた学校ではクラスの子も反戦デモに参加したりしてて、自分のすごく近くで世界のことを考えている学生を見て、日本じゃこんなことないなーって思いました。

ちょうどその頃に、日本ではボランティアで現地に行った人たちに対して、「危ないだろ」って批判が出てたんですけど、ヨーロッパの報道では「それはいいことじゃないか」って指摘もあって、何で日本人はみんな同じことを言うんだろうって思いました。それ以来、もっと客観的に日本を見るようになれたので、周りにあまり日本人がいなくて、現地の人とたくさん関わっていたのが良かったのかなって思います。

ただ、日本人のコミュニティがなかったから、情報がほんとに入ってこなくて困りました。IBでは美術を取って、美術を通じて周りとコミュニケーションできたり、すごく楽しかったし、建築をやりたかったから美術を取ったんですけど、日本で理系の大学を受験するためには、美術じゃなくて理科の科目を2つ以上取らなくちゃいけなかったのに、物理しか取ってなくて、後から受験資格がない大学がたくさんあることに気が付いて、大変でした。

―それは大変でしたね。。。

日本に帰ってきて、予備校にいた他の学生は色々知ってるし、勉強してきてるし、ビックリでした。私のいた地域には、日本人のための塾とかもなかったので。やっぱり、情報は大切ですね。何かと情報収集が遅れてしまうことがあって。。。

就活について

―そう言えば、来年は就職ですよね。 どのような方向を考えていますか?

就職活動は、今まで学んできた建築の専門性を活かし、建物や都市の企画・計画を行う開発系の職種と、それに類似した仕事内容が行えることを、企業を選ぶ際の軸として行いました。そして、卒業研究のテーマで扱ってきた学童保育施設と近い、医療福祉施設の開発に携われる部署(ゼネコン会社)から内々定をいただきました。

―どのようなことをアピールされたんですか?

私はこの就職活動を通じて、海外生活で培った広い視野で物事を見るという姿勢を評価して頂けることが多かったと思っています。学部生時代の部活動や研究室での研究テーマを決める際に、自ら積極的に課題を見出し解決していこうとしてきた経験がアピールポイントとなりました。

International School Hannover Region :
http://www.is-hr.de/

インタビューアから一言

林さんには今回初めてお会いしましたが、明るくて前向きでとても素敵な方でした。早稲田の建築の学生を見て「建築学科の人は家に帰れないほど忙しい」という印象を持っていましたが、東工大には研究室に配属される前から24時間使える施設があるそうで、そんな中で頑張ってきたなんてすごいなぁと感心しました。就活も決まり、あとは残された1年の学生生活を充実させるだけですね。頑張ってください!
矢田部浩平。1988年山口県生まれ。関東を点々としたのちマレーシアで3年半をすごし、その後小2から東京で暮らす。高2で渡米、Palos Verdes Peninsula High Schoolを卒業後すぐに帰国。現在は早稲田大学基幹理工学部表現工学科及川研究室に所属。デジタル信号処理など音響の研究をしている。