海外生活体験者・社会人インタビューvol.102

interviewer_s_102_profile.jpg 岡本純一さん。1985年生まれ。ロサンゼルスの現地校に5年半通い、日本に帰国してから、小中高は啓明学園で過ごした。高校卒業後は中央大学経済学部国際経済学科に入学し、大学在学中は開発経済学を専攻し、ゼミ活動に没頭した。卒業後は株式会社ADKに入社し、現在はADKが出資している株式会社medibaで営業本部広告ビジネス戦略部に所属している。

人生そのものが変わった

―今回はお忙しい中、貴重なお時間を作っていただき、ありがとうございます。早速ですが、岡本さんの海外生活について聞かせてください。

幼稚園のときに海外の学校に通ったので、自然に英語が身に付きました。そのため、私は学校に入学してからすぐに友だちと馴染むことが出来て、海外で辛い出来事は特にありませんでした。というよりも、私の学校では人種差別がなかったことが大きかったかもしれません。白人だけではなく、アジア人、ヒスパニックなど、色々な人種の人たちが集まっていたため、差別された体験はなかったのです。

―岡本さんは小さい頃から海外に滞在していらっしゃいましたが、海外に住む魅力とは何ですか?

日本から出ることが一番大きいです。日本に滞在してしまうと、日本人としか付き合いがありませんが、海外に住むと違います。色々な人と出会え、一人ひとり考えや価値観が異なり、またそれを共有することが出来るので、それが非常に大きかったと思います。

分かりやすく表現すると、人生そのものが変わったことです。もし海外に住んでいなかったら、高校は違っていたと思うし、私の人格も違っていただろうし、もちろん、この会社にも入っていなかった。それから「英語力」です。英語を学んだことを通じて、人生そのものが変わったと確信しています。

―ちなみに、ロサンゼルスに住まれて、一番印象的な出来事は何でしたか?

そうですね……。あえて挙げるとしたら、私の家の近くでオ—ジー・シンプソン氏の殺人事件が起こったことですね。あまり良い話ではありませんけどね。たとえ地域的に安全と言われていても、そこで殺人事件が起こったり、アメリカは自動車免許を保持していれば、銃を買えることができたりと、日本では考えにくいことが多いため、そういう面で貴重な体験ができたと思います。

インドできっかけを摑む

―小中高は啓明学園で過ごしたとお聞きしていますが、それまで海外に住んでいたわけで、日本の文化に適応するのは困難がありましたか?

そんなことはなかったですね。日本に戻ってからも、辛かった思い出はありませんでした。むしろ、今の方が辛いです(笑) 確かに、日本にはいじめという風習がありますが、「人は人、自分は自分」と思っていたので、周りに何を言われても絶対に気にしないようにしていました。

帰国子女は日本の文化に適応することが難しいとよく聞きますが、私はそう思いません。海外で異文化理解が出来たなら、日本でもその異文化理解力を応用することが出来るはずだと信じています。要は「柔軟性」です。帰国子女も一応日本人ですし、柔軟性を発揮できれば、日本の文化にも必ずフィットすると思います。

―大学時代はいかがでしたか?

大学生のときは自由に、とにかくやりたいことをやるよう心掛けました。大学は自由だからこそ、自分がやりたいことを見つけることができ、何かに熱中することができます。

私が最も力を入れたのはゼミです。開発経済専攻し、日本とインドの合弁企業について研究するゼミに所属しました。例えば、実際にインドに訪れ、現地の日本人講師から開発経済のお話を聞きました。そこで私は、日本の企業力の弱さを知りました。日本はアメリカや欧州などに強いと思いますが、途上国となるとまだまだ日本の良さが浸透できてないことに気付いたんです。日本の企業がどうすれば途上国で浸透できるかについて考えさせられるようになりました。

向こうで電通や博報堂の方と出会い、「あ、そうやって広告を打ち出し、海外に進出したら面白いんじゃないかな」と思い、広告業界を受けてみようというきっかけも摑みました。徳井さんも大学生活の中で何かに没頭すれば、何かの縁で企業を受けるきっかけになると思うので、是非色々な活動を通じて、きっかけを探してみてください。

―頑張って探してみます!

大切なことはひとと会うこと

―就職活動の話になったので、岡本さんの就職活動について聞かせて下さい。

広告代理店業は上位三社(電通、博報堂、ADK)しか受けなかったです。他にも、自動車メーカー、ホテル業を中心に受けました。なぜなら、その業界の方と話したことによって、「この企業を受けてみよう」という気持ちが強くなったからです。

―社会人の方と話すことで、受ける企業が絞られるのですか?

会社によって雰囲気が違うからです。固い人やフランクな人もいるし、ふんわりとした人もいました。つまり、就活をする上で大切なことは、人と会うことです。社会人の方と会うだけで、入りたい気持ちが湧き、十分自己分析できますし、どのような業界に向いているか認識することができます。就活生であれば、とにかく社会人の方と話すことをオススメします。

例えば、OB訪問が良い機会だと思います。OB訪問をすることで、「この人と一緒に仕事をしたい」「こういう会社に勤めたい」と思った瞬間、それはあなたが向いている業界に違いないです。逆に、つまらないと思ったら、それはミスマッチです。ですから、OB訪問する際は、様々な業界の社会人とコンタクトを取るべきだと思います。

Pay Forwardな人間になる

―わかりました。それでは、現在の仕事についてお聞かせ願います。現在はどのような仕事に携わっているのですか?

現在はADKのデジタルビジネス部門、コミュニケーション・チャネル・プランニング・ユニットに所属し、ADKが出資しているmedibaという会社に勤めています。具体的な仕事内容は、主にau oneの広告を打ち、販売代行を行っています。そこで私は、この枠をどのように売るかとか、スマートフォンに対してどういう広告を配信しているかとか、そういうことを考える仕事をしています。

この仕事に携わり、終わりがない毎日です。日々時間に追われています。土日でさえ、仕事について悩んで落ち着かないことが多いです(苦笑) 例えば、CMのプランニングを企画するときが難しいです。いつもより早く終わらせ、やり直すというジレンマに陥ることが日常茶飯事です。仕事では常に動き回っています。

―学生と社会人の違いは何ですか?

責任感です。社会人の仕事現場では失敗できない。そのために、もっと自発的に動くことと、吸収力が求められていると思います。パッと答えられる人が求められていて、代理店業は何が起こるか分からない。予測可能なことを想定し、どう対処するか。確かに、ビジネスの現場では正解がありませんが、最善な策を考えることが重要です。そのために、予測出来るものから潰して、出来ないものは他の人を巻き込んででも、人に聞きます。あと、学生ではtake and takeという受け身態勢になりがちですが、常にgiveを意識することを注意して欲しいです。つまり、Pay Forwardな人間になることです。

想像力&情報力が求められる

―これから岡本さんはどのような夢を抱いていますか?

飲食店の店を持つことです。冗談です(笑) 現時点では、スマートフォン事業を成功させることを考えています。ユーザーに適切な情報を伝え、ライフにスタイルに合った広告を出すことがこれから大切になってくるのではないでしょうか。そのために、スマートフォンで広告を打ちたいです。この市場で成長するかは未知数ですが、未知数だからこそ、成長の見込みが無限大です。この市場のポジショニングをしてから、私自身が市場を動かしたいです。そして、お金に余裕が出来たら、私が経営する飲食店を持ちたいなという淡い夢を持っています。

―最後に、広告代理店を志望している人にアドバイスをお願いします。

私からは二つアドバイスがあります。一つ目は、自分自身が持っている想像力を大切にして下さい。広告業界を目指したい方は、想像力を活かすことが重要です。人とは違う考え持ち、「こいつは一体何を考えているんだ?」と思わせる人材になることです。そのためには、色々な経験を積む必要がありますが、帰国子女ならそれが可能だと思います。海外で勉強したことや体験したことは、広告業界でも通用すると思います。二つ目は、情報に敏感になることです。情報を制する者は、ビジネスを制す。この二つがこれから求められている広告業界の人材なのではないかと思います。

―本日はありがとうございました!

インタビューアから一言

今回のインタビューは、私が興味を持っている告業界に勤めている方からお話を伺うことが出来たという理由だけではなく、岡本さんが忙しい中でも、気さくに引き受けてくれたため、とても楽しいインタビューになりました。また、インタビューは岡本さんが実際に勤めている会社のビルディングの一階で行われ、インタビュー後は仕事現場を案内してもらいました。この機会を通じて、OB訪問の重要性や広告代理店の仕事について考えさせられ、改めて広告業界に魅力を感じました。これからは憧れだけに終わるのではなく、実際に私も岡本さんと同じような仕事に就いて、活躍できるようになりたいと強く思いました。

徳井洋平。1989年生まれ。三重県出身。小学1年から中学3年まで、アメリカのロサンゼルス、シカゴなど、様々な土地で暮らし、高校3年間はカナダのト ロントで生活し、Pine Ridge Secondary Schoolに通う。大学受験を機に帰国し、立教大学社会学部に入学。現在4年に在学。大学では、朝から講義、午後は放送研究会のサークル活動のため、多忙を極める。趣味はサッカー観戦で、ACミランのカカをこよなく愛す。