海外生活体験者・学生インタビューvol.117

interviewees_s_248_profile.jpg 前田瑛介さん。1990年生まれ。幼少期をドイツで過ごし、帰国。再び日本を離れ、小学校の3年間をアメリカのニューヨークで過ごす。高校在学中も、スイスへのホームステイを経験。09年FIT入試で慶應義塾大学に合格し、法学部政治学科に入学。現在3年に在学。大手外資系証券銀行インターンシップや英語塾教師をする傍ら、ダイビングで世界中を飛び回っている。

訳がわからないまま、ポンと

―今日はよろしくお願いします。さっそくですが、前田さんの海外経験について教えてください!

僕は、0歳から3歳まで、ドイツのデュッセルドルフに住んでいました。ただ、ドイツ語は話せませんし、ここの記憶はあまりないですね、小さすぎて。帰国後は私立の小学校に入ったのですが、すぐに渡米し、小学校2年生から6年生までをニューヨークのウエストチェスターで過ごしました。高校では、夏にスイスのジュネーブにホームステイに行きました。

―いろいろ行っていますね! 小学生のときはどんな子供でしたか?

特別運動が出来るわけでもなく、ごく普通の子供でした。ニューヨークに行って、いきなり現地校にポンと入れられて、なにもわからないまま、英語をしゃべらざるを得ない環境に強制的に入れられました。英語塾に通ったり、家庭教師をつけてもらったりして、向こうでは英語を勉強していました。

好きなようにやっていいって

―海外経験を通してよかったこと、得たことは?

キャラが強くなりましたね! 昔から独特なキャラクターを持っていたと思うんですけど、海外に行って、個性的でいいのだという考えに拍車がかかりました。もし日本にずっといたら、今の自分はないですね。日本は、平均化と言うか、目立たない方がいいっていうのがありますよね。アメリカってそれとは真逆で、自分で責任が取れるなら好きなようにやっていいって教えられるじゃないですか。周りに物怖じしない、自分自身のスタイルを追求することが出来たことです。

向こうでは英語の家庭教師が来ると逃げ回ったりしていたのですが、そのあとに今でもやりとりする素敵な先生に出会って、英語がおもしろくなりました。3年間しかニューヨークにいなかった割には、英語をシビアに追求する環境にいたので、今でもあのときやっていてよかったなと思います。今では、アメリカで通っていた英語塾で、帰国子女に英語を教えています。

―帰国後、中学校や高校でギャップなどを感じたことはありましたか?

私立の中学に入学したのですが、帰国子女が40人くらいいました。帰国子女は帰国子女でまとまって授業を受けるような学校でした。周りの一般の生徒からの理解もあって、お互い刺激にもなっていたと思います。だから、日本の学校に馴染めなかったということはないですね。

ただ、高校1年生の夏に、スイスにホームステイに行ったのをきっかけに気づき始めたことがあって。すごく楽しかったんです! スイスの人たちの生き方が、かっこいいなって思いました。基本的に自分の軸を持っていて、それが絶対にぶれない。具体的に言えば、勉強、趣味、遊びなど、なににおいてもバランスの取り方がうまい。

そのときに初めて、自分が野球をやる意味を考えました。自分もバランス良く、いろんなことをやってみたいと思い、帰国後すぐに野球部をやめました。案の定、周りの態度も変わり、ショックを受けたりもしました。でも、そこからですね。自分、前田瑛介がどういう人間かというブランドや価値を確立して勝負していかなければいけないと思ったのは。個人の魅力を持つことの大切さに気付きました。だから、このことは絶対忘れません。僕にとって、大事な経験でした。

自分のスタイルを貫く

―大学生活も折り返し地点にきましたが、大学生前半はどうでしたか。

この2年間で、インターン、帰国子女英語塾講師、遊び、読書、外資系企業のスチューデント・ブランド・マネージャー、北京大学の日中韓学生会議、OVALという国際ビジネスコンテストなどに参加したりしました。こういうときに、英語を頑張ってよかったと心から思います。

ダイビングは、僕一応、プロになったんですよ! あと、旅行が好きで世界中回りましたね。この2年で、タイ、モルジブ、マレーシア、インドネシア、シンガポール、カンボジア、中国、パラオ、スイス、フランスとか。この間行くはずだったモロッコは、反政府デモで行けなくなってしまったんですけどね。大学生じゃないといけないところに行きたくて。

毎日を頑張っているかと言われれば、きっとフルで頑張ってはいないのですが、全力で楽しんでいるので、毎日に後悔はしていません!

―前田瑛介のポリシーみたいなものがあったら教えてください。

バランスとスタイルですね。気をつけていることって言うのでしょうか、自分はスペシャリストでもなく、ジェネラリストでもなく、バーサタイリストを目指したいな思っていて。何事においてもバランスを保ちつつ、かつ、深く知るということが大切だと考えます。偏りが出ないように。嫌いなことを避けたり、遊びが多くなったり、まだまだ出来てないですけどね。

大学に入ってからですね、自分のスタイルを守っていて、一番よかったと思ったのは。「自分はこうだ」と思っているだけで、どんどん実現してくるんです。普段から思ってないと、普通になってしまうんですよ。

実際に、自分の持つ独特なスタイルを意識して主張してきたことで、いろんなチャンスが転がって来ました。今はRed Bullという飲料会社のスチューデント・ブランド・マネージャーとして活動したり、英語塾で保護者向けの講演会をさせてもらえたり、ダイビングで世界中を旅したり、普通の大学生ができない体験をさせてもらえていると思います。おもしろい体験を持っているというのも、それも一つの特技ですよね。スタイルを貫き通すことから得たものは大きくて、今後もそれは曲げたくないです。

―FIT入試で入学されたんですよね。この制度についてどう思いますか?

これもスタイルの話に戻るんですけど、日本の入試制度って、学校の勉強で全てを判断されるじゃないですか。でも、FITって社会で生きていく能力を見られていると思うんですよね。いろんなことをやっている高校生ようやく評価されるという新しい制度に共感しました。自分も、今までやってきたことが合格という形で評価されたことが嬉しかったですね。FITって、男子少ないですし(笑)

自分を正当化させてくれたっていうんですか、心強かったし、嬉しかったし、これでいいんだって、すごく安心しました。FITで受かっている人って、おもしろい人が多いので、話していると勉強になることがたくさんあります。これで受かったことが、今でも人とは違うことをしようというモチベーションに繋がっています。「FITなのに普通だね」って言われるのは嫌ですからね。FITの名も守らなきゃいけないですし。

僕は日本に誇りを持っています

―将来のビジョンなどがあれば、教えてください。

将来も、自分のスタイルに合うところを見つけたいですね。今は、大手外資系証券銀行の調査部というところで、6ヵ月のインターンシップに参加しています。世界中から入ってくる投資レポートを編集して、投資家向けの新聞を作っています。外資系企業、ベンチャー企業がどんなことをしているのかを知りたくて。可能性を狭めずに、いろんなことを見ていますね。固定概念を払い、自分の目で見て、自分の基準で判断したい。社会に出ても、自由な分だけ責任がともなうというのは、アメリカで学びましたから。

やるかやらないか迷ったときは、やるようにしています。時間が許す限り。そうすると出会いってやってくるんですよ。僕も人に「会いたい」と思ってもらえる人になりたいですね。いい意味で人に強烈なインパクトを与えられる人、影響を及ぼすことができる人。自分の周りにそういう大人が多いので、最近は自分の価値はなんだろうと考え始めて、ちょっと焦っていたりします。

―帰国子女へのアドバイスなど、あれば教えてください。

アドバイスですかー(笑) 外国にいるっていうのは、間違いなくとっても大きなチャンスなので、最大限に生かしてほしいです。やれることはすべて全力やることですね。勉強も全力で、課外活動も全力で、友だちと話すのも全力で。すべてが勉強なので。外国という環境の中で、仕事でなく「生活」をするっていうのは、帰国子女しかできないことで、貴重なチャンスですよね。それを無駄にしないでほしい。全力で学んで、楽しんでほしいと思います。

結局、僕たちは日本人なんですよ。どれだけ海外に住んでいても、外国人にはなれないですよね。だから、常に日本人としてのアイデンティティを忘れずに、いろんなものを吸収してほしい。僕は日本に誇りを持っています。控えめとか発言しないからよくないとか言われるけど、外国の人の議論がうまいかって言うと、必ずしもそうじゃない。攻撃的な意見ばかりでて話がまとまらないことも多々ある。

その中で帰国子女はうまいポジショニングが出来ると思っています。静かに考えることが得意。攻撃的にならずに、冷静に適切なときに適切なことが言える。意見を、人を、まとめられる。今の帰国子女は、日本を動かしていくリーダになっていくと思います。だから頑張ってほしいです。

僕も負けずと頑張ります。年齢とかって関係ないですよね。下からくるライバルたちに、僕も負けないように頑張ります。そして自分も、いつまでも人に刺激を与え続けられるように頑張ります。おもしろい人の周りには、おもしろい人が集まりますよね。人間関係もgive and takeですから。僕はいつも、自分がgiveできるメリットはなにかなと考えています。

―ありがとうございました!

インタビューアから一言

前田さんとは大学入学時に知り合いました。当時から個性的で社交的、また、行動力もあり、一目置かれる存在でした。今回は、彼の魅力をさらに深く知ることができたと思います。たくさんの人と彼の話を共有することが出来て嬉しいです。そして、私自身もこのインタビューを通してたくさんの刺激をもらいました。私も負けないように頑張ります!

interviewee_s_117_profile_3.jpg 馬場愛弥華。1991年1月生まれ。福岡県久留米市出身。父の転勤で、5歳からの5年間をアメリカのカリフォルニア州とイリノイ州で過ごす。帰国後、高校で英語弁論大会に挑戦し始める。高校3年のときに、ECC主催の「全日本青少年英語弁論大会」で優勝。09年FIT入試で慶應義塾大学に合格。現在は法学部政治学科3年に在籍。アカペラサークルに所属し、週末は都内のライブハウスを中心に歌を歌っている。