帰国子女大学入試・合格体験記vol.53

harada.jpg 原田幸実さん。1990年アメリカ合衆国オハイオ州生まれ。16年間シンシナティで過ごす。Sycamore High Schoolへ2年間通い、06年の9月から神戸市立葺合高校へ編入。現在は早稲田大学国際教養学部の3年に在籍。大学ではビジネス、文学、フランス語など複数の科目を勉強中。ゴルフサークルに所属し、サッカーサークルのマネージャーもしている。

【早稲田大学国際教養学部合格】
【関西学院大学部総合政策学部総合政策学科合格】


〜はじめに〜

私はアメリカで生まれ育ったので、4年前まで日本のことはあまり知りませんでした。兄弟もアメリカの高校と大学を出たため、親は私に日本の大学へ通ってほしいと思っていました。その気持ちに応えようと思い、「行ってみようかな」と、軽い気持ちで日本に来ました。

〜初めて暮らす日本〜

アメリカの現地高校に2年まで通い、その夏は一時帰国し、神戸の葺合高校の編入試験を受けました。編入試験の科目は国語、英語、数学。受かると思っていませんでしたが、結果は合格で、家族や友人に驚かれ、本格的に日本へ来る準備にとりかかりました。

アメリカへ帰って1ヶ月で荷造りをした後、母と2人で帰国したのですが、初めての環境に慣れないことが多く、カルチャーショックもたくさんありました。まず、学校です。アメリカの高校はカーペットやマーブルタイルが敷き詰められていて、年中冷暖房がきいています。しかし、日本の高校はコンクリートやウッドで作られ、夏は暑く、冬は寒いのです。

次に、先生やクラスです。担任のような人はアメリカの高校にはいなかったし、決まったクラスもありませんでした。ただ、こちらは、同じクラスメイトと先生と毎日すごすことで、家族のように仲良くなり、団体行動にも慣れました。

学校の厳しい規則や、日本語で受ける教育にはついていけず、悩みやストレスが多い2年間でした。私が知っている日本は、一時帰国の楽しい時間だけだったと気づき、さらに問題ないと思っていた日本語力は一番の悩みの種となりました。アメリカでは何一つ不自由はなかったので、慣れない言語、授業、環境は辛いものでした。

〜大学選び〜

大学で、アメリカへ戻るか、日本に残るか、とても迷いました。苦労した分、アメリカへ帰りたい気持ちは強かったですが、日本に来ていろいろ経験し、それを活かしたいと思いました。大学受験のシステムは日本へ来て知り、AO入試も知りました。今までの経験で自己アピールをする受験方法は面白い。大学の知識はあまりなかったので、先生に勧められた大学に足を運んで、7校のオープンキャンパスへ行きました。その後はフィーリングと、受験方法は英語のみであること、入ってからも英語を使う機会が多いことから、早稲田大学の国際教養学部と関西学院大学の総合政策学部を受験することにしました。

アメリカに帰れば何が待っているか想像はつくけれど、日本にいることで何が起こるかわからない。もっとたくさんいろいろな経験できると思い、さらに自分の日本語も完璧に近づけたいと思いました。第一志望は早稲田大学の国際教養学部です。なぜなら、英語で教育を受けた方が私には理解しやすい。また、幅広く授業をうけることもでき、専攻は3年になってから選ぶことができるからです。語学の授業も豊富ですし、広いキャンパスにも憧れ、地方からたくさん学生が集まって来ることも魅力です。早稲田大学が自分に合っていると感じました。

~受験の準備~

AO受験の書類に書くため、TOEFL、SAT、英検一級を受けました。TOEFLはアメリカで一回、日本へ来て一回受けました。SATは最初上智大学や海外の大学を受けるために必要です。選択肢を増やすために受けました。ただ、点数があまりよくなかったので、SATの成績を重視するところは受けませんでした。英検ははじめなめていました。そのせいで一回目は落ちてしまい、勉強したあと受け直しました。

受験対策のための予備校ではなく、日本語力を磨くため個別塾に通いました。新聞や本を嫌でも読めと言われ、勧められたものは全て読みました。

~受験の結果~

親元を離れずに家から通える関西学院大学も受験しました。早稲田に行きたいという気持ちが強かったのですが、父の母校でもある関西学院はなんとなく受けてみました。幸い両方の大学に合格したので、早稲田を選ぶことができました。一般受験は一切考えていませんでしたし、日本語力の問題もあり、誰からも一般受験をするよう勧められませんでした。

〜もっとチャレンジを〜

大学受験に対して、2つほど反省があります。ひとつは周りの受験生のように受験勉強をしなかったことです。英語以外の知識があまり身に付かなかったと思います。自分の強みである英語にしか頼れませんでした。

ふたつ目はアメリカの大学を受験しなかったことです。自分がどこまでできるか試すことも出来たはずです。チャレンジし切れなかったことを反省しています。受験に関しては、ほかの人と比べて、あまり時間もかけていないと思います。入学後はその反省を活かし、いろいろなことにチャレンジするようにしています。

〜日本の大学を選んでよかった〜

日本の高校、大学へと進学してよかったことがたくさんあります。新しい環境や日本語の壁はストレスでしたが、それを乗り越えたという経験は、どのような環境に置かれても対応できる強みになりました。AO入試のために自己PRを何回も書き直すことで、自分をどう表現すれば人に評価されるのかを知るきっかけも摑んだと思います。今では日本にもソーシャルライフもあります。アメリカと日本に自分のネットワークがあるというメリットができました。日本にいながらも、アメリカの大学のように英語で授業を受けられますし、グローバルで多様な人々と接する大学に通えて嬉しいと感じています。