帰国子女大学入試・合格体験記vol.54

interviewee_s_219_profile.jpg 江藤煕樹さん。1990年ソウル生まれ。1歳の時帰国したが、6歳の頃両親の事情で就学前に再び韓国へ渡航。18歳まで韓国に滞在。現地の小中学校を経て、09年Cheongshim International Academy卒業。同年京都大学法学部に合格し、13年ぶりに帰国。現在学部3回に在籍。2回まで所属していたバンドサークルをやめ、就職活動と勉強に専念中。

【京都大学法学部合格】


私はもともと親の生活基盤が韓国にあったため、高校選択までは韓国での大学進学と就職を念頭においていました。高校1年生から現地進学と帰国入試を並行して始めたので、帰国入試を考えている方々とやや境遇が違うことを、まず断っておきます。

私が本格的に日本大学の受験を考え始めたのは高校2年の頃です。法学に興味があったのですが、韓国では私の入学年度から法学部が廃止されることが決定し、法学部のある日本に戻ることを決定しました。実家の経済状況も考え、当初から国公立で関西にある京都大学に絞って、現地校で独学しました。東京大学は記念受験で出願だけはしました。

1.入試情報の収集

私が最も大事だと思うのが、受験校の情報収集です。日本に帰国して予備校に通うのが一番だと思いますが、私は経済的事情や日本と韓国の学期は1ヶ月しか違わないので、どうしてもGap Yearが生じてしまうことなどがあったため、独自に情報収集に当たりました。当時RTN Projectを知っていれば、大変楽だったかも知れません。金銭的、時間的余裕がある方は予備校に通うのが無難でしょう。

入試要綱は、大体大学のホームページに掲載されていますので、まずはそれを精読し、受験要件など不明な点があったら、即大学の入試課に連絡をするのがベストです。そのほかに、「海外・帰国姓のためのスクールガイドBiblos」(東京学参)を参考にしました。この手の本は、入試要綱のリストが載っていれば、どの本を使っても構いません。とにかく、正確に自分が何を勉強すべきか、それをはっきりさせることが第一歩となります。

2.書類選考に向けての勉強

京都大学は統一試験の点数が任意提出となっていますが、Exや英語の成績が良くなかったので、私は逆に統一試験に力を入れました。私が提出したのはSATやバカロレアではなく、現地の大学修学能力試験で、みなさんの参考にならないと思いますので割愛します。

TOEFLも勉強していましたが、成績が良くなかったため、これを提出せず統一試験の成績表のみを提出しました。京都大学法学部の一次選考はあまり厳しくないと思います。現地の内申書と統一試験の成績(上位5%ほど)で通りました。ですから、入試戦略としては書類選考よりも、二次試験に主眼をおくのが大切だと思います。

因みに、同時期に出願した東京大学(文Ⅰ)の一次選考(統一試験提出、TOEFL成績未提出)は見事に滑りました。次の年に後輩が出願したときは、国家統一試験を提出せずに、TOEFL100点前後の成績で通ったという話ですので、東京大学は英語の成績をより重視するのかも知れません。

3.二次試験の対策

京都大学法学部の二次試験は小論文と面接です。私は文章を書くのが苦手な上、受験勉強を始めた当時は、日本語の読み書きがまったく出来なかったので、準備が大変でした。

3.1小論文

とにかく、たくさん読み、たくさん書くことが重要だと思います。「日本の論点」(文芸春秋社)などを読み、入試年度の時事ネタを仕入れたり、法学の入門書や高校で使う経済学の教科書を読み、必要な知識を習得したりしました。自分が進学したい学部や授業内容と関係のある本を読むことは、モチベーションの維持にもなります。

しかし、読む本が難しすぎると、取り入れられる知識量が逆に減りますし、逆にモチベーションも下がってしまう恐れがありますので、読みやすい本を選ぶ方がいいと思います。帰国受験生に深度のある知識は問われませんので、広く浅く、でもしっかりと読みましょう。

小論文の練習は基本的に東大の過去問を使いました。東大の入試問題はやや長い小論文を書くスキルが求められています。私は近くに住む早稲田大学法学部のOBの方に添削指導や構成の指導をお願いし、欠点を補っていきました。構成はいまだに下手くそですが、日本語は結構改善したと思います。

私の推測ですが、小論文としての構成以前に問われるのは、日本語で長文をちゃんと書けるかどうかではないかと思います。ですから、しっかりした文章を読み、漢字の練習をし、2000字前後の小論文を書く訓練をしたことは、大変役に立ったと思います。日頃から日本語に触れる機会を増やすことが最重要です。

3.2面接

面接は、国語力を試すという意味で、小論文の延長線上にあると思います。文章を声を出して読まされ、ちゃんと漢字を読めるかが試されます。その後、全体を黙読し、面接官との簡単な問に答える形式です。文に関係のある事柄については滞在国での経験などを問われますが、それ以外の身上に関する質問、たとえば志望理由や入学後励みたいことなどは問われませんので、予め想定した答えを暗記することは不要です。小論文対策をきっちりしていれば大方問題はないでしょう。

4.最後に

忙しい人のために3点に要約して挙げておきます。

●入試にあたって最重要なのは情報収集であり、予備校にはその情報量が多いこと
●書類選考より二次試験に主眼をおいた入試戦略を練ること
●二次試験で最も問われるのは国語力であること

以上です。